soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2012/04/22 第二回スキマアワー「学校で教わらなかった音楽」2日目(キツネの嫁入り、ボギー、トクマルシューゴ、ラキタ、Jim 'O Rourke band) @ 元・立誠小学校


廃校した小学校で行われる音楽イベント。一度学校での音楽イベントって体験してみたかったんですよね〜。
トクマルシューゴジム・オルーク狙い。この二人以外はほとんど知りませんでした。


本当に普通の学校。部屋札も校歌も階段も。なにもかもがノスタルジーを感じる。素敵な場所だなぁ。

キツネの嫁入り

本イベントの主催バンド。メインステージにあたる講堂(体育館)でのライブです。
最後の一曲だけ聴けた。アコースティックな歌モノ。


曲も素朴で良かったんですが、なにより良かったのが雨の体育館というシチュエーション。
ポタポタと雨どいから水が流れ


小雨も味方してくれた主催のライブ。
高校の体育館とかこんな音してたよなぁ、と思い出す。
入り口で貰ったパンフレットを見てると「このイベントで音楽が、何かを与えてくれる事、中を思い出させてくれる事を、願います。」の一節。さっそく「今日は京都まで出てきてよかった」と思いました。

この時点でタイムテーブルは押してたけど、他ステージのライブを被せることはなく前のバンドが終わるまで待ってた。イベント中ずっとそのスタンスでした。全部のアーティストが見れるように、との主催の意向なんだろうな。*1


しばらくは学校の中で紡がれる優しい音楽を聴きながら探索したりぼんやりしたり。
キツネの嫁入りメンバーが客の誘導をしてたりと人間味溢れる空気が漂ってました。ボロフェスタといい京都の音楽イベントは独特の空気があるなぁ。

ボギー

アナーキズム溢れるフォークシンガー in 職員室ステージ。
曲をはじめる前に黒板に「性教育」と書いて起立、礼をさせたりとエンタテイナーな持っていき方。


ラップ気味に早口で荒々しく歌ったと思えば透き通るような高音を出したりと表現力豊か。ノーチェックでしたがすごく良かったです。


綺麗なフォークバラードなのにサビでう◯こを連呼する曲や「サブちゃんはブラックミュージックだ」を力説したりと自由奔放。
極めつけは(曰くブルースシンガーの)森進一のカバー。最初はまだまともなカバーだったモノの「スタートミュージック!」の掛け声で『U Can't Touch This/MCハマー』が流れるw。ラップしーの、ウェイブハンドしーの、コール&レスポンスしーの大暴走。トクマルのため講堂の前に待機してた人も集まってくる騒ぎ。


と、ド派手にやらかしておいて、そのあとにやったラスト曲がめちゃくちゃ良い曲。「青い春」というストレートなフォークソング。「自分が自分である為に 歌える場所が欲しかった 歌える場所が見つかれば 今度は仲間が欲しくなり」「自分が自分である為に 自分の言葉で話そうか」「ひとりで歩くにゃ淋しいと 同じ仲間が集まって 焼き鳥の串を1,2本地面に突き刺した」と歌詞がビシビシ胸を叩きつけてくる。


フィナーレは全員でサビをシンガロング。教室という場でに現れたこの光景は教師が生徒に歌を送るみたい。映画のワンシーンに加われた気がした。不覚にも泣きそうになりました。口開いたら泣いちゃうから「hooo!!」とか言えずに拍手しかできなかった。
学校という舞台がもっとも生きたアクトでした。ボギ八先生ー!*2


トクマルシューゴ

saturnで見たときは田中馨 (Ba)がいなかったけど今回はフルメンバー。



現代音楽的な手拍子で始まる『Green Rain』からスタート。体育館ステージでも音は綺麗。学校にやってきたおもしろ楽団みたい。


この日は新曲を4つ披露。そのうちの3曲目ぐらいでステージ上手がリズム隊、下手がメロディやら小物というメンガー配置がくっきり見えて面白かった。上手はロックなんだな。


MCでは挙動不審というか日本語が不自由なのがおかしかったです。しまいには「次にでるジム・オルークさんのほうが日本語が上手です」w


時間が押してるとのことで後半はえらく急いでた。真面目だなぁ。
ノンストップで曲を演奏し、ドラムに対してBPM上げてのサインを何度も出してました。『Parachute』がいつもより速い。”躍動感”より”勢い”って感じで新鮮だった。
MC無しでグワーッと3曲通して不自由なMCをしてからの『Rum Hee』。トクマルシューゴを囲む4人が祝祭するように鈴を鳴らすイントロに感動。


本当に面白い音楽をやってるなぁ。
直前のボギーさんのライブがえらく人間的だったので前半は機械的にも思えたけど、スピードアップした後半は『Parachute』で上擦った歌い方をするなどとても人間味溢れる演奏で素敵でした。



ラキタ

エレキの弾き語り。あのボ・ガンボスのどんととZELDAの小嶋さちほの息子らしい。
一曲目の音響なギターが良かったなぁ。父の曲もやったみたいで年配の方達がウルウルとした目で見てたのが印象的。


Jim 'O Rourke band

RO69にある1月にやった石橋英子とのライブレポを読むにが歌モノ中心ということで今回もそうかなと思ってた。学校って舞台とも合う。
しかしこの日繰り広げられたのは実験的な攻めまくりのライブ。アンコールまでMC無しのノンストップ演奏。拍手する隙すら与えない強烈なライブでした。


メンバーは、ジム・オルーク(ボーカル/ギター)、石橋英子(ピアノ)、山本達久(ドラム)、須藤俊明(ベース)、波多野敦子バイオリン)。全員座ってのライブ。波多野敦子さんは初めて見たけどにこやかな笑顔で美人でしたたい。


体育館の後ろ入り口からノソノソとメンバーが歩いてきて、ジム・オルークはピアノの前に腰をかける。石橋英子のドローンシンセとジム・オルークのピアノでダークにスタート。バイオリンを重ねて音を分厚くしていく。


次曲で、石橋英子の高速トリルから他メンバーがガシガシ音を重ねていく。緊張感のあるインプロージョン。ジム・オルークは前かがみでギターを鳴らし続ける。
ここらへんからバンドの音に完全に没頭していく自分がいました。


インプロが静まったころにジム・オルークの手元から聴こえてきたのは一番好きな曲『Life goes off』!まさかやると思わなかったからめちゃくちゃ嬉しかった!
終盤のノイズは山本達久がドラムで再現。5分間ぐらい32分を叩き続ける驚異のドラミング。ジム・オルークも耳をギターに寄せながらギターをかき鳴らす。ヤバイバイバイ!凄すぎました……。


次の『Hell In Hello But More In Goodbye』でもまた山本達久さんのドラムが大活躍。トライバルなドラムからワンポイントをサインにグルーヴを解放させての派手なリズム。気持よすぎる。


スゴイ……。かっこいいとか美しいって言葉じゃなくて「スゴイ」としか形容のしようがない音楽でした。
体育館内は心からアンコールを求める拍手で溢れる。体育館だからこだまする。卒業生退場とかで何度も聴いてきたあの音です。


早いタイミングで帰ってきたJim 'O Rourke bandはさっきまで別次元の音楽をしてたとは思えないとぼけたMCを連発。
この「クソなギターはハードオフで3万で買いました」。
そして「この曲は立たないとムリ」と起立。ピアノの石橋英子も含め他のメンバーも立つ。「ヤマモトも立って*3」発言のジム・オルークが鬼すぎる。


曲は『Therefore I Am』。同じリフをくり返しすシンプルなロックナンバーなのにメンバーが豪華だからものすごいパワー。
ジム・オルークは顔を真っ赤にしながら感情剥き出しで熱唱。(といっても髭もじゃもじゃでほとんど肌見えなかったけど)ビートルズみたいに涼しげに歌ってるCDと全然違う!
ひたすらリフを刻みながら客を殺す勢いで睨みつける印象的なパフォーマンスで終了。


演目が終わると体育館をぐるっとまわって退場。全員が完全に退場するまで惜しみのない拍手。あれだけの大拍手が送られるライブはなかなかないです。それぐらい素晴らしいライブだった。




トクマルシューゴもボギーさんもよかった。そしてトリメインとしての別次元へと持っていたJim 'O Rourke bandにはぶっ飛ばされました。


全アクトがマットの上に座って聴くまったり音楽イベント。でも保守的じゃなく面白い音を奏でている出演者が多かった。
環境はいいし、音楽もいいし、心から良いと思えるイベントでした。帰り道もずっとホクホクした気持ちが残ってた。

*1:ただ「次のライブ始まるんじゃ……」と落ち着かない気分でライブを見てたので通路にいるスタッフさんが告知してくれたらよかったかも

*2:自分はすぐ移動しちゃったんですが、終わったあとも「贈る言葉」を歌いながら胴上げしてたらしい

*3:山本さんは足を怪我して杖をつかないと歩けない