soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

ナルキッソス/ステージ☆なな

ねこねこソフト所属のシナリオライターともさん制作のノベルゲーム。背景や音楽も恐らくはねこねこ関係の人が手伝ってると思います。選択肢は無しの一本道ノベルです。プレイ時間は45分ほど。
プロ関係の人が作ったとか関係無しに素晴らしいゲームでした。


このゲームは絵、声、感情表現のある文章が抑えられたノベルゲームの方がプレーヤーの想像力を掻き立てられるのではないか、というコンセプトで作られています。
キャラ絵はゲーム中数回しか表示されず、基本的に背景、文章、音楽のみで進んでいきます。背景がかなり綺麗。
レイアウトが独特で画面の上下は映画のように黒くなっており、真ん中に細い背景が表示され、その下に最大2行まで文章が表示されます。これが映画を見ているようでゲームの儚いイメージにマッチしていました。
音楽も良い曲が多かった。自己主張しすぎない穏やかな曲でこれまたゲームの雰囲気に合ってた。途中挿入歌が入るのですが、シーンに合っていてほんと美しい、


ストーリーは、事実上死を宣告された主人公とヒロインが病院を車に乗って抜け出し…というもの。コンセプト通り感情が抑えられた文章ですが冷たい印象は受けませんでした。ストーリーは決して明るいモノではないのでそういうのが暗い話が苦手な人は注意。といってもそこまで鬱って感じでは無かったです。
短い中にも心揺さぶられるモノがある良い話。


このゲームはストーリーのあらすじよりも、ストーリー全体から滲み出てくる雰囲気が素晴らしいです。何気ないシーン、例えば「大通りを車で走っている」それだけのシーンが背景、音楽の力が相まって想像力を働かせることができ自然にその美しい情景を頭の中にイメージできました。おそらく自分は制作側の意図通りの反応をしたんだろうな。
淡々とした文章の中から垣間見れる主人公とヒロインの人間性がホント輝いて見える。
メインイベントから少し外れたシーンが美しく感じ取れるのは映画「I am Sam」を見ている感情に似ていました。あれもセリフの無いシーンが音楽と役者の表情で色づいて名シーンとなっていた。



このゲームは読むというより感じるゲームだと思います。ここまで書いといてなんですがとても言葉じゃ表せない、そんなゲーム。
やってない人はやらないと絶対損です。背景が綺麗とか話が良いとかだけじゃなくて、このゲームの全体の雰囲気が好き。


ちなみにヒロインのみボイスも付いてるのですが、最初に有り無しを選択できます。ボイス無しと有りどちらが良く感じるか比較するためのボイスなので決してボイス付きがデフォのゲームでは無いです。
俺は無しを推薦。あんまりキャラに合ってなかった気がするってのと、このゲームは自分の想像力で補った方が楽しめるんではないでしょうか。

現在、ナルキッソスの続編を製作中だそうです。すんごい期待。

↓ネタバレ↓


・挿入歌の入る浜での運転シーンは泣きそうになった。悲しくて泣くとかじゃなくて、イメージできる情景が美しすぎて泣きそう。他にもセツミがナビをしながら主人公が車を運転するという何気ないシーンも泣きそうに。
・服選びシーンのセツミがカワイイ。クールキャラの魅せるこういうしぐさはクルものがあるね。