soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

同人音楽研究会 レポ

昨日は同人音楽研究会なるものに参加してきました。
簡単に言うと同人音楽についてアカデミックに研究しようという研究会です。詳しくはHPへー。
今回は、一同人音楽ファンとしてはもちろんですが、大学で専攻している音楽社会学という観点からも興味深い研究会だったので参加しました。
(この分野では権威と呼べる方の元で学ばせていただいてたりします。引きずり込めないかなぁ。)


以下、当日の様子を記していきます。
内容についてはあまり深く書きませんが、全体の空気だけでも伝わればー。
※私が把握できた限りのことなので、詳細については正確でないかもしれません。ご了承ください。


参加人数は約20名。場所は比較的小さな部屋でテーブルを囲むような席配置。50人くらいでもうすこし大きい部屋でやるかと思っていたのでちょっとびっくりしましたが、向き合う形になるので話やすくて良かった。
全員の軽い自己紹介からスタート。
長いこと同人音楽に触れてきた人が大半でしたが、つい最近同人音楽を知ったという人もチラホラ。また参加者の中には、大御所同人系サイトの管理人様、同人イベントを運営してるスゴイ人や、(音楽)同人歴史の生き証人と呼べる方など大物も参加していて、ちょっと緊張しました。
私のようなサークル側でない一般同人音楽ファンは5〜6人。意外にも現在活動しているサークル参加者は世話人の北島さんを除くと1人(のはず)。
年齢別では、学生が7人ほど、残りは社会人の方だったと思います。大学教授の方も2〜3名居たかもしれません。

同人音楽の各側面からの俯瞰−分野の紹介に代えて−

まずは同人音楽を簡単に説明する感じのテーマでスタート。
DTM環境の変化に伴う同人音楽の変化、東方ブームの特徴をメインに取り扱った同人音楽の潮流といった内容のプレゼンをして、それに対して皆で突っ込むという形。
なかなか深い突っ込みが飛び交い、真面目な話し合いが繰り広げられます。
ただ、各々が言いたい事がありすぎて、一つの論点に対して皆で議論するというのはあまりなかったかな。
やはり開催一回目らしく、次々と議論点が出てくるところが、まだこの研究会がどういう方向に進むか手探りなところを表している。

音楽CGMのユーザをターゲットとした音楽創作支援システムの開発に向けて

半自動的に音楽を作ってくれる音楽作成支援ソフトが今後どのように使われていくかというテーマ。
ニコ動に曲をアップしてみたいが音楽知識が無い。そんな人達が現在開発されている音楽作成支援ソフトを使いたいと思うかなどについて話し合いました。作成支援ソフトを使ってオリジナルを作ったと実感できるかというのがキーポイント。
「今の音楽ってここまで情報化できてるんだ。スゲー。」とかいかにも頭の悪そうなことを思って聴いてました。

音系同人の生演奏化傾向に関する試論

最近になって生演奏(オーケストラやバンド)のライブが増えてきたよねーというテーマ。
音楽ジャンルでなくゲームの知識により人が集まる、各ジャンルの作法(コンサートでは静かに、ライブでは縦ノリなど)に忠実なようで文化的正統性には準拠してない、など非常に興味深い論点がいっぱい。
ライブなど即売会以外の場所でも「同人」としての表現/交流ができるのは、同人誌や同人ゲームには無い性質だよなぁと改めて同人音楽の特異性を実感。しかし、改めて考えて見るとそれははたして「同人」なのかという問いも立てられるか。

全体を通して
  • 全体の雰囲気は、真面目に議論しながらも決してピリピリした空気にはならず、かなり良かったと思います。発言もしやすい空気だった。
  • 気を付けてはいたと思いますが、やはりどうしても知っているの前提で同人用語を使ってしまう場面が多くあったので、同人に触れていない人には理解しづらいところもあったんじゃないでしょうか?
    全ての用語を丁寧に解説していたら議論まで漕ぎ付けない、だからといって同人の「部外者」からの視点があるのがこの研究会の大きな意味だし……。
    今後、大きくなればこの問題は重大になってくるでしょうし、難しいところです。
  • ちょっと議論の時間が短かかったか。皆さんも、まだまだ言い足りなくてしかたがないという様子でした。
  • 年配者のお言葉はやはり重みが違う。自分が生まれる前の同人音楽の話なんかこういう場じゃないと聴けることは無かったでしょう。
  • イメージアルバムの参考としてWAVEさんの「もうなかないで」が流れた時は吹いた。
    真剣な顔をした集団が、イントロの斧が振り下ろされる音に聴き入っている様子はさぞシュールだったでしょう。
  • 懇談会は和気藹々と同人トーク。みんな同人音楽が本気で好きなのが言葉の節々から感じられる。考え、立ち位置とも良いメンバーが集まったなぁ。用事があって早めに失礼したけど、もっとゆっくり話してみたかった。
  • うーむ、自分の引っ込み思案な性格がここでも発揮。研究会でもっと積極的に発言したり、懇談会でもっと自分を出してコンタクトを取れば良かったと後悔。あんなメンツと話せる機会なんて滅多に無かったのになぁ。


次回は秋に東京で開催するそうです。(HP参照)
同人音楽への関わりがまだ短かかったり、学術的な知識が無いという人でも、同人音楽に熱い想いを持っている人、同人音楽について真面目に語りたいという人、感情をコントロールして発言できる人なら問題なく参加できると思いますし、参加する価値はあると思います。
東京の休日なら倍は参加者が増えそうだなぁ。


色々な立場の人から興味深い話が聴けたし、参加してホント良かったー。
どれだけ貢献できるかわかりませんが、今後も出来る限り関わっていきたいものです。
社会人になっても大学で学んだ社会学を生かせられるんじゃないかと思うと将来の楽しみがひとつ増えました。


最後に、私のような学の無い者でも温かく受け入れていただいた北島さんと井手口さんにでっかい感謝です。
参加された皆さん、お疲れ様でしたー。