soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

真説・万華鏡奇談 ver 3.5 / 偽書[香津宮綺譚]

ホラーであり伝奇ドラマであるノベルゲーム。プレイ時間は4時間ほど。
最初は「万華鏡奇談」として公開されており、ver.3以降は「真説・万華鏡奇談」に名前を改め「万華鏡奇談」を第一章にして大きく話を広げた構成になっています。
旧バージョンしかプレイしていない人は是非「真説〜」もプレイすべき。


祖母の葬式のために実家に帰ってきた修一は、離れの土蔵で見慣れない万華鏡を見つける。
そして蔵の扉が開かなくなっていることに気付いた。


写真素材を使用したよくあるホラーゲーかと思いきや、とてもよく練られた話が展開されて驚いた。
知的な文章から漂う和モノ固有の妖艶さはセンスの高さを感じさせるし、章ごとの関連性も面白い。
かなり読ませてくれるストーリーです。熱中して止めどころがわからず一気に読めました。
そのおかげ真夜中に怖い思いをすることになりましたが。


もちろん、ホラーとしても良作。
写真の選び方と表示の仕方がうまくて、怖い絵が表示されるたびに「ひぃっ!」と驚いていました。


各章ごとの感想〜。

1章

土蔵の持つ圧迫感と閉鎖感がうまく描写されているホラー。
オチがナイス!

2章

1章のネタばらし的な意味合いもある。
こちらも演出による怪談的な恐さがあるのですが、それ以上に人間の恐さがある。終盤の怒涛の展開は目を見張るものがある。
ただ14章の激しいBGMは雰囲気を壊しているような。

3章

振り出しに戻って都市伝説的な直球ホラー。王道ではありますが、それまでの積み重ねにより深みが出てる。
絶妙な終わり方には拍手を送りたい。

あとがき*1

力の抜けたあとがきでやっと緊張感から開放された……と思ったら鈴の音と共に次章が(((( ;゚Д゚))))
ある意味一番ドキっとした瞬間でした。


ホラーとしても、ドラマとしても高品質な良作。
昔の慣わしが巻き起こす悲話に魅せられちゃってください。是非夏にプレイしたい!
悲しい物語なんだけど後味が悪くないのは、最後の最後が典型的なホラーで終わるからか?ホラーなら恐怖させてなんぼで片付けられるもんな。

*1:現在(08/12/19)公開中のVer3.7ではあとがきは収録されていないとのことです。