soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

GOING RHYTHMIC LIVE / ケモノレコーズ

サークル他力本願(aka ケモノレコーズ、salvation by faith records)によるオリジナル第二弾。データトラックにライナーノーツあり。


今作のテーマは「世界旅行」。様々な地方を音で表現してよくあるコンセプトですが、インドネシアアンデスと妙にチョイスがマニアックだったり、次第にどこまでいくねんってなとこまで飛んで行ったりと一筋縄ではいかないのがsbfr。
前のオリジナルのFly To Free Skyに比べるとだいぶ明るくなった。最近のSBFRらしいハチャメチャ度も大幅アップ。ハウスあり、ドラムンあり、ガバありと各作曲者の個性が出まくりの癖のある曲の数々。良い意味でバカバカしさに溢れています。
そして純粋に曲としてのクオリティが格段にアップ。
前作は各者がどこか抑えているような印象を受け、しこりのようなものが残りましたが、今回は各々のカラーが出た良曲で溢れている。
前半は明るくてノリの良い曲が多く、後半は愁いのあるメロディや変化球が目立つ。個人的には前半が好き。特に開始6曲の流れは素晴らしい。


※「」内はテーマの国名。
①「ブラジル」100-200さんによるハウス・ドラムン。ハウスなピアノが大好き。シンプルだけど良いフレーズです。さっぱりしてて旅のオープニングにはぴったり。いきなり良曲。
②「イタリア」kozatoさんによるハウス・ポップス。とにかくメロディが素晴らしい!涙腺を刺激するメロの数々に完全ノックアウトです。そんな複雑な事はやっていませんが、だからこそメロディの良さが生きている。今作で一番好きな曲。
③「ブリテン」siromaruさんによるドラムンウッドベースがお洒落な穏やかパートとブレイクコアばりにビートが暴れてるダークパートを行ったり来たり。グルーヴィなベースも、コロコロ表情を変えるブレイクビーツもカッコイイ!
④「オランダ」AOiRO_Manbowさん曲。最初はとぼけたテクノポップかと思いきや後半で突然変異的にガバ化。アホっぽいノリが最高。ヘンテコなループフレーズも次第に癖になってくる。
⑤「アラビア」Yamajetさんによるアラビアンレイヴ。レースをイメージしたサウンドとアラビアなフレーズの組み合わせが面白い。後半で爽やかなフレーズが登場したりとスピード感あふれる良曲!ベースが動き出す0:57あたりから怒涛の展開にヤラれたのですよ。
⑥「インドネシア」Glomeさんによるケチャ+ハードコアテクノ。民族的なウワモノ、男臭いかけ声、激しいキックの絡みが暑い、もとい熱い。
⑦「ロシア」スパイチックなビッグビート。基地に潜入していくかのような地を這うベースが印象的。
⑧「バビロン」えらく王道から外れた土地へやってきました。壮大な感じのするドラムン。どこか愁いの残るフレーズが昔は栄えていたであろうバビロン王国をうまく表現してる。
⑨「アンデス」民族要素の入ったユーロビート。アホみたいにアゲるのでなく、切ないメロディで聴かせるタイプ。
⑩「フィンランドバイキングっぽいメロディをチップチューンで。バイキングメタルならぬパイキングチップチューンです。民謡みたいなメロディが耳に残ります。
⑪「ノルウェイ」staさんによるポストロック……といって良いのかな?フィルターかましまくりでロックしてるいつもの氏の作風。開始のバスドラがすごく気持ちいい。相変わらずの音選びの上手さですが、多少ワンパターン化してきてる気がしないでもない。
⑫「ヴァン・アレン帯(wiki)」いきなり宇宙行っちゃったんですけどー。makiさん(旧名guna)のいつもの曲調。この人はもう完全に作風が出来上がってるよな。浮遊感のあるメロディが気持ちいい。微チープな音色なのが良いです。
⑬「金星」まったりしたテクノポップ……のようで中盤はノイジー。なかなかカッコイイノイズです。和やかなムードながらも機械っぽくて人間味を感じないのが近未来の金星っぽい。
⑭「ホワイトホール」場所についてはもう何も言うまい。不協和音のピアノが大暴れする曲。ドラムは変にチープ。かもすればやっつけにも写る奇妙さ。なるほど。
⑮「地球」サバンナなオケ・ポップス。勇ましいメロディが力強く奏でられる。
⑯「日本」和なウワモノのJ-spiritual core。全体的に妖しい雰囲気。


国も曲調もなんでもアリ。音の玉手箱のようなとても楽しいBMS系クラブサウンドCD。
普通にメロディが良い曲もあれば、予想もつかない要素を混じり合わせる異色曲もある。曲調はバラバラなのにsbfrカラーで充満している。次にどんなサウンドが出てくるかわからないの面白さがあってダレてる暇なんてまったくありません。
sbfrのここ数作の中でも特に良い一枚。オススメ!