soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

everyday magic / RMT


うりうり〜としたくなるジャケ娘がかわいいオリジナルのフルアルバム。サイトにてライナーノーツあり



ちょっとおセンチなゆったり電子音楽BPM遅めでほどほどにメロディアス。
ゆるーくエレクトロニカやドローンの要素はあるけどモロじゃない。むしろゆったりとした音楽を作ってたらポップス、ニカ、ブレイクビーツ、ヒップホップ、トリップホップゲーム音楽など、いんやんさんが聴いてきたであろう音楽が血肉となって曲に溶け込んでいった印象を受けます。意図的に混ぜようとしたのでなく勝手に出てしまった感じ。
うーん、これは既存ジャンル名で説明するより「ゆったりした電子音楽」ってのが一番しっくりくる。


日常を感じさせる素朴なジャケですが、私が受けた印象は「穏やか」より「寂しい」というフィーリング。穏やかな日々なのに独り、さらに強い表現をすると何気ない日常を思い出して死ぬ瞬間ってな感じ。言い過ぎな気がしないでもないけど「死ぬ直前の音楽」ってフレーズがピンと頭に浮かんできたのは確か。
本作はゆるいテンションで「陽」の音使い。でも全体に寂しさがにじみ出ているのはメロディに動きが少ないからかな?


センチでアンニュイ楽曲群は、色んな曲をがーっと詰め込んだけどトーンが一定で締まりが弱くなってしまったイメージ。
たまに聴くと一曲一曲で「おっ」と思うこともあるのですが通して聴くとダレがちかも。
がっつり聴くには向いてない、けどサイトのライナーノーツを見るとそこらへんは狙ってやったところもあるのかもしれないので難しいところ。
やりたいことはわかるけど、全体的に間延びしちゃったかなってのがそのまま作品を受け取った正直な印象です。

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①まったり〜。心温まる良い雰囲気。この曲ひとつで今作のアルバムの方向性が見えてきます。ここから良くも悪くもぶれない。


②ゆったりとしたウワモノにちょっと駆け足気味のリズム。終盤の忙しいビートが好きです。テラポップなSquarepusherってなイメージ。


④はっちゃけた明るさ。なんだかんだでこういう路線好きだな。心がウキウキする良いメロを書きます。


⑥しんみりするシンセにヒップホップ的なリズム感。個人的にCD内でもっとも心が落ち着く〜。ぼけーっと聴いて一番気持ちいいのはコレです。


⑦これも琴線を刺激する泣きフレーズが溢れたアップテンポの良曲。チャリで田んぼの横を走るみたいな素朴でスキッとした感情が湧きだってくる。


⑧空間系。この曲は今作の中で異質な気がします。他の曲がどこかポップス寄りなデフォルメがされているなか、この曲は明確な形状が無い音楽で深々と音の世界に取り込まれる感覚がある。

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ウキグモのようにゆったりした電子音楽
えらく辛口になってしまったけど、なかなか感想が難しい一枚でした。
ざっくりと力を抜いた作風は嫌いではない。良フレーズもちょくちょくあるけど
レイジーな空気が強すぎて「コレ」ってのに欠けるかなぁ。
ポテンシャルを感じまくる過去作があったゆえハードルが高くなったのかも。
と、正直に書いてみました。