soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2011/10/01 ANBB:alva noto & blixa bargeld @ Fanj Twice

インダストリアルの先駆者ノイバウテンのフロントマン・ブリクサ電子音楽alva notoのユニットanbbのライブに行ってきましたー。
ブリクサが来日すると聴いて速攻でチケットゲットしました!ちょうどalva notoも興味あったし。


会場はFanJ Twice。
元々そんなに大きくないハコですが、フロア半分くらいをPAスペースにしてさらに狭くしていました。
実際、客は30〜40人くらいと少なかった。ブリクサでこれぐらいしか集まらないのか……。

(オープニング・アクト)NHK yx

開始1分でマシントラブル(「?)でいきなり「ごめんなさい」と中断し、ステージ中もずっと機材の調子を確認していたので本調子ではなかったのかな?
サウンドは純インダストリアルにも通ずる「気持ち悪くて最高な音」を使ったエクスペリメンタルなテクノでなかなかかっこ良かったです。
釘を耳に打ち込まれるような音でじわじわと耳を侵食してくれた。シールドをアンプに挿した瞬間の「ブツっ!」って音でリズムを作ってたかのようでした。
最後に流したノリの良いトラックを突然終わらせて帰っていった。

anbb

5分ほどの短い転換でスタート。
あまりにそっけなく出てくるもんだから気付いたらステージ上に二人がいたw
ブリクサプクプクに太ってしまいましたがパフォーマンスは圧倒的。

ブリクサの声でリアルタイムサンプリング/エフェクトをかけて、神経質なalva notoのビートの上に乗せていくスタイル。とにかくブリクサが魅せてくれる。
異なる声を重ねまくってノイズを作り出していく様子はその場で新たなダークマターを作り出すかのよう。
人間の声だけなのにノイズの強烈っぷりが半端無い。「人間はこうも簡単に機械(楽器)を超えられるんだよ」と言われているようでした。


機材の調子が悪いのか苛々しげにPAを睨むシーンがなんどもありピリピリした空気を醸しだしていましたが、曲が終わるごとに「アリガトウ」「メルシィ」「シェイシェイ」と世界各国の言葉で俺を言うお茶目の一面も覗かせてくれました。
alva notoは優しくて真面目そうな顔(命令されたら人殺しもやりそうなくらいクソ真面目)でブリクサよりはソフトな印象がありました。職人的に淡々とシンセを弄ってた。ただ時折ブリクサのサインを待って睨む表情が怖ぇ。彫りが深いからなぁ。


アルバム、ミニアルバムの曲はおおかたプレイした1時間20分ほどのセトリ。
印象に残ってるのは『Berghain』のCDの数倍はアグレッシブな「バイバイタ…」の連呼、何度も繰り返された『Wust』ラストのノイズ(alva notoの一挙一動に緊張感が)、アンコールラストに演奏され「フォークのカバー」と紹介された『I wish I was a mole in the ground』のメロディ。
あと『Mimikry(模倣)』では模倣/真似事するためのイメージを喚起させる歌に、作詞家そして語り部としてのブリクサの凄さに気付かされました。いつも経歴に作曲家と並んでボイス・パフォーマーと書かれているのも納得。


そして一番圧巻だったのがアンコールでやったアルバム一曲目の『Fall』。そのブリクサの奇声(今風に言うならホイッスルボイス)をループさせて重ねていく部分。あまりの人外の音(声)に耳そのものから風切音が発生したような感覚になって「ついに俺の耳も逝ったか」とすら思いました。スピーカーは前に二台、どんっと置いてあるはずなのに音の出処がわからなくなる状態に陥った。
ライブでの強烈過ぎる音の洪水で体が音に包まれる/囲まれるかのよな感覚はいままでもありましたが、この時は体/耳の中から音が出てきてた。比喩ではなく本当にそう感じた。こんなの初めてだ。
Mogwaiでも非常階段でも出会ったことのない感覚。いやーすごい体験をしました。


各方面でトップを走るanbb二人のスゴさを感じ取ることができたライブでした。
ただどっぷり二人の世界に浸りたい音楽性なのに、照明がかなり明るかったり、上のTwice cafeの音が漏れてたりしたのが残念だった。正直ハコはミスセレクトだった気もします。


『Fall』での新感覚は忘れられないなぁ。
そしてライブが終わってから『I wish I was a mole in the ground』のメロディが頭から離れない。