soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2012/04/28 サカキマンゴーの親指前線ツアーwest @ アララギ

昨年に同じ場所でサカキマンゴーさんのライブを初めて見て親指ピアノの魅力とカレー屋でライブのダブル・インパクトにヤラれました。
あの体験をもう一度、ということで今回も行ってきましたー。ライブラッシュなGWの記念すべき一発目!




開場ギリギリに到着するとすでに人がいっぱい!椅子だけじゃなくステージ前のお座敷までびっしり詰まってる。去年の1.5倍ほどの集客だと思います。サカキマンゴーさんの名が広まってきているのをヒシヒシと感じました。
ギリギリ座るところがあったので席を確保してさっそくカレーをば。*1
うん、ウマいっ!何杯もおかわりしたくなる優しい味です。


まもなくしてサカキマンゴーさん登場。一度見たら忘れられないパイナップル・ヘアーにも貫禄が出てきている。
そして音にも貫禄が。



1曲目に歌モノを演奏して2曲目からかなりドープな音楽へと入っていく。アッチの世界へと連れて行ってくれるループフレーズが5分間以上は繰り返されてた気がする。うおー、いきなり飛ぶ……。


前回は親指ピアノ(+周辺の楽器/音楽)を紹介する、入門編な箇所が多かったけど今回はそういった要素が少なめでがっつりと”サカキマンゴーの音楽”を観客へ届けようとしていた気がします。『茶わんむしのクンビア』などキャッチーな曲よりドープ方面。
アルバム発売やツアーを通じて自分の音に自信を持ったのか、自分の出す音にしっかりと居場所を見つけたのか……。


親指ピアノの音色を聴きながら目を閉じると強烈な視覚イメージが湧いてくるのは前回と一緒。
しかし、前回浮かんできたイメージが「青白く光る水の洞窟をボートで進む情景」と未知への冒険的だったのに対して、今回は親指ピアノの音色が「鉱物にハンマーを叩きつける」イメージが浮かび「プリズム色に輝く鉱物を採掘する様子」が頭の中に現れました。
つまり冒険の段階が終わり場所を見つけて技術が開発されていく様子。音がイメージとしてここまで鮮明に目の前に広がったのは初めての体験かも。


歌モノバラード『SMALL』も違って聴こえた。
震災直後に聴いた時はこの曲から怒りを感じました。こんな時に団結できない世界への怒り。
今回は外への怒りより無力な自分に対する憤りと奮い立たせる気持ち、を感じた。
後半に叫ぶように歌うサカキマンゴーさんを見ていて胸がぎゅっと締め付けられるようだった。
同じ曲でも感じるものが変わってくる。表現者としての凄さを見た気がします。




20分ほどの休憩を取って*2、親指を用いず洗濯板のようなシェイカーを使った『Ngomangoma』で後半が幕開け。これは前回と同じパターン。気持ちを後半へ向ける儀式みたいなものか。


「みなさんシートベルトを絞めてください。白目空間*3に突入します」。前半でも幾度か白目になりかけたけどこれ以上の白目空間ってどうなるんだろう?
実際に今回のツアーでトランスしすぎてぶっ倒れた人もいるらしいです。


サカキマンゴーさんは自分作曲ルールで「一曲に3コードしか使わない」とのことですが「1コードで延々と白目に向かわせる」のが理想らしい。そんなMCの後に始まった曲がルーパーやエフェクターも使いながら延々とループを繰り返す曲で……めちゃくちゃ気持ちいい。聴いていると身体がポワポワ暖まってくるような感覚に陥る。
終わったあとはサカキマンゴーさん自身もかなり”キテる”。
足元がふらついてて「戻ってこれるか?」と不安になりましたがなんとか正気は保っていた様子。


最後に僕の大好きな『Nhemamusasa』。「またね」という終わりの音楽らしいです。
オリエンタルなループと一歩一歩、踏み歩くように鳴る鈴の音が心地良い。白目空間と現実世界の橋になる曲かも。


最後はアンコールに答えて『GURUGURU』。曲名通りグルグルとアタマの中がかき混ぜられるような心地良い終わり方。




今回もいい具合に白目にされました。
ライブにしても他の体験にしても一度目の印象が強いと続く二回目、三回目は美化された過去の衝撃を追い求めて「前回ほどではないな……」ってなることは非常に多い。
しかし今回のサカキマンゴーさんのライブは前回と同じレベルの気持ちよさに浸ることができました。見えたビジョンも違うしね。
本当に面白い音楽を奏でる人です。


*1:この日はライブ1000円 + カレー500円 + ドリンク500円 = 2000円の破格チケット!

*2:休み時、店側のドリンクの捌きは悪かったなぁ

*3:サカキマンゴー用語であっちにぶっ飛んだ状態。トランス状態に近いと思われる