soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2012/08/03 BO NINGEN、ダモ鈴木、MASONNA、蛸地蔵 @ 十三Fandango

BO NINGEN来日ツアー。日本から迎え撃つはMASONNAに加えダモ鈴木まで登場。こんなステキなメンツ、行くしかないでしょう!
といってもMASONNA以外はまともに音源聴いたこと無かったり。あえて予習は少なめにファンダンゴへゴー。

蛸地蔵

ラスト一曲だけ見れました。
三人組のサイケガレージ。
歌舞伎エッセンスががちょっと入った長髪ギター、革ジャンにオールバックのベース、天野ジョージ(撃鉄)に女性成分を足したようなドラムと異質なルックス。
なかなかに強烈な轟音サイケサウンドを奏でてました。歌い方が和のこぶしが効いてて独特。


ランランとした笑顔で派手なパフォーマンスをするギターが良かったです。
最後に180度回転を何度も披露しながらギターを弾くパフォーマンスはアッパレでした。よくコードが絡まないもんだ。
予想外に良かったです。


ダモ鈴木 (with BO NINGEN & 河端一

元CANのダモ鈴木。まぎれもなくレジェンドです。
でも「ダモ鈴木ってそんなすごいのか?」「CANというバンドが凄かっただけじゃないか?」そんな考えも頭をよぎってました。
ステージには長髪3人(BO NINGENのギターs)+モジャモジャ髭3人(ダモさん+河端さん+BO NINGENのドラム)。うーむ、浮浪者にしか見えない。


しかしいざ即興セッションの演奏が始まるとすごいの一言。
サイケデリックな爆音に合わせ、ダモ鈴木はマイクにかじりついて造語をひたすら唱え続ける。やってることはインスト曲に勝手に鼻歌で歌をつけるお母さんのアレとほぼ一緒です。
最初は「ルォンドンウォルオス」みたいなことを言ってるので「ロンドンオリンピックにかけてるのかな?」とか余裕持って観てたんですがどんどんと盛り上がっていく演奏にしだいに圧倒されていく。特に河端さんのつんざくようなギターが鳴きはじめたときは強烈だった。


即興とは思えない完成度の高い楽器群。特にベースはシンプルながら確かなグルーヴでひたすらバンドを引っ張っていくセンスの良さに脱帽。ドラムもパワフルだし、ギターのカッティングも強烈。河端さんは稲妻やレーザー光線なんて単語が浮かぶ常識外の音をギターから放ってました。


でも中心になるのはダモ鈴木だったんです。嘆いてるだけなのにあくまでもダモ鈴木・バンド。
歌はひたすら呪術的に祝詞を繰り返すばかり。パフォーマンス的な動きもほとんどない。
その中に英語っぽい発音*1を入れたり、モータウンなメロディを挟んだり、がなるように歌ったり。感覚が鋭い!


即興セッションによくある「相手の出方を伺う」って場面が殆どありませんでした。ひたすら巨大化し続けた怒涛のセッション。各人のセンスの良さをこれでもかと見せつけていました。それはブレること無く嘆き続けるダモ鈴木が核に居たのが大きいと思う。
終わったあと、いや見てる途中から「スゴイもん見てる」って気持ちでいっぱいになりました。この日で一番印象に残ったのはこのアクト。



終わった瞬間にスパっと『Super Coming / BoredomsボアダムスをかけるDJのセンスにも拍手。
さらに”世界一美しいノイズ”と言われるMOGWAIを"世界一凶悪なノイズ"のMASONNAの前にかけたりと素晴らしい選曲でした。(DJ:TOMO(STYLE BAND TOKYO)とクレジットされてました)


MASONNA

知り合いと話したりなんだかんだしてたら中央のど真ん前へ。正真正銘のマゾンナの最前列です。ついにやってしまった感。


目の前でMASONNAがセッティングするのを眺めながら心拍数が徐々に上昇。スタッフがガムテープでスタンドをガチガチに固めてる。普通のライブこんなことしません……。


サウンドチェックのあといったん捌けるMASONNA氏。
ファンダンゴはステージ脇に楽屋への扉がなくフロアの後ろから出演者がやってくる構造になってるんですが、この時ほどこの構造が怖いと思ったことはないです。「いつマゾンナが降りてくるんだ」とドキドキしながら何度も振り返ってました。


しばらくして登場。そしてノイズとシャウトの嵐。
ぶっちゃけ詳しく覚えてません。余裕ありませんでした。ただ衝動的に拳を突き上げて叫んでました。


微かに覚えてるのが、マイクスタンドが倒れこんだエフェクタに対してなんの躊躇もなく全力踏みつけてた*2。僕の好きな「ドゥゥゥウウン」のノイズを連発。客に飛び込んで床を転げ廻る。起き上がったら殺しかねない勢いで人に掴みかかる。その姿は凶悪そのもの。


ステージに戻って数秒暴れたあとに思いっきり腕を振りかぶる仕草とともに破裂音のような強烈な音。危険を察知して思わず目をそむけてしまったんですけどマイクを投げつけましたよね?
音が後方から聴こえたからフロアの奥に投げつけたと一瞬思ったのですがどうやらそこまではしてない様子*3

自分が状況を理解したころにはフロア後ろにある階段を昇って楽屋に戻っていくMASONNA
ライブ時間は1分55秒。


前回のワンマンではそこまでこみ上げてこなかった「マゾンナのライブが終わったあとの笑顔」が爆発しました。もう笑うしかない。空気が詰まった袋を開けたように。どんだけ張り詰めてたんだ、自分。


ドッと精神的にも体力的にも疲れがやってきました。いやー、すんごい。
自分の方に倒れこんできたマイクスタンドを支え直したのも良い思い出です。


BO NINGEN

ダモ鈴木MASONNAとものすごいアクトのあとに登場したBO NINGEN。
日本人だけどイギリスに在住、CDも海外レーベルから出しておりあちらで評価されている。dj hondaみたいなもんです。ゆえに今回も”来日”ツアーなわけです。


ベースボーカルがいいわー。派手なアクションでの演奏ももちろん、めっちゃくちゃ細いスタイルに綺麗な髪。MCのハァハァって息遣いとか……なんか変なものに目覚めそうなほどセクシーw
すごく綺麗な高音で歌ってたけどあれはエフェクタかましてる?

音の迫力、各個人のセンスの良さはダモ鈴木バンドで確認済み。サイケデリック・バラードから攻撃的なロックまで素晴らしいライブ。楽曲の質も高い。


キラーチューンの『KOROSHITAI KIMOCHI』、綺麗な音像で音の幅を魅せつけてくれた最後から二番目に披露されたサイケ・バラード。そして一転ワイルドな音に戻った『4 Seconds To Ascension*4』はこれ以上ないくらいの大爆発をかましていきました。後半のジャム気味にぐわーっと盛り上げていくのがたまらない。


比べるのもか安易かもしれないけど先日同じサイケロックのルーキー・下山が微妙なライブをしたのに対して、BO NINGENはムラがなくて常に100%の力を引き出せるなと思いました。場馴れしてる。



メンツ最高だし、ライブ自体も最高だった。大満足!
逆輸入のBO NINGENに元CANのダモ鈴木。日本の誇るノイズMASONNAに和な蛸地蔵。イギリスと日本をタイムリーに繋いだ側面もあった素晴らしい一夜でした。

*1:タモリもひれ伏すであろう”それっぽさ”

*2:間違えてスタンドを踏んだら確実に足を痛めるレベルで全力

*3:後ろのほうがパニックになってなかったから、たぶん

*4:若干この曲だったか自信無い