soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2012/09/14 平賀さち枝 @ 旧グッゲンハイム邸

今、個人的に最大級の注目をしてる女性シンガーの平賀さち枝
バンドを引き連れての関西ライブはめったにないとのことなのでこりゃいかな〜。


ライブは平日。仕事帰りのスーツ姿で旧グッゲンハイム邸に行くのは変な感じ。
なかなかの人入りで50〜60くらいは居た?前の座布団スペースが空いてたので陣取り。さち枝さんのど真ん前。


しばらくして平賀さち枝さん登場〜。
うわ、小さいっ!あんま小さいイメージはなかったけど、実物はちっちゃくてちっちゃっくて……かわいいぞ!
はじめて夙川のリンダを見た時のような本当に我々と同じ人間かって感覚。妖精ってこの世にいたんだ的な。


イスに座るなり「クリアファイルを忘れてしまいました」と抜けたところはある風だったけど、アングラ女性アーティストによくいるぶっ飛んだ思考回路という風でもない。ナチュラルに可愛らしい人。


野村卓史さんのピアノ伴奏に合わせて『目黒川』が始まった瞬間、歌声がすぅ〜っと身体に染みわたってきてこれ以上なく幸せな気持ちに包まれました。すぐ近くを走る電車のガタンゴトンって音が重なるとより幸福感がアップして早くも泣きそうになりました。この人すごいっ!


曲はフォークを感じさせる。それも親父が入ってるフォーク。頭を小刻みに左右に揺らす仕草なんてまさに。でもすごく優しくて可愛らしいんですよね。声が花から抜ける感じがたまらない。
『今日の出来事』『私生活』『おだいじに』と素敵な曲に心が洗われていく。特に良かったのは『春が来そうでさびしいだけ』元気の良いギターの短い曲。あと『No Music No Life』も良かった。この歌詞は音楽好きにはたまらんです。
数曲の新曲もあり。


「各々トイレに行ってください」とどこかおかしい連絡のあとひと休憩してバンド形態で第二部。


バンドはキーボード:野村卓史さん(NATSUMEN、WUJA BIN BIN、元SAKEROCK)、ウッドベース田中馨(ショピントクマルシューゴ、元SAKEROCK)ドラム:内田武瑠(ショピン)の構成。田中さんの弾いてるベース弦がベチベチ鳴ってるのが聴こえるくらいの至近距離で聴けました。


江ノ島』のピアノが入り方が若干アレンジされて流れるように入ってきたときはブワッときました。モロに鳥肌がたった。このライブのハイライト。
『今は帰らない』もすごく良かったし、多幸感溢れる『パレード』は感動的。


野村さんはキーボードとピアノの二台弾きも披露。
楽しそうにドラムを叩く内田さん。
時折、旧友(野村さん)を見つめながらプレイする田中さんも良い空気。
でもそれを差し置いて一番視線を集めるのは平賀さち枝さん。小さいのに存在感がすごいんです。巧い、声が大きいとかじゃなくて声が光り輝いてる。


私が平賀さち枝にハマったきっかけになった『恋は朝に』を本編の最後に演奏。心地よく終了。
アンコールで『眠ったり起きたり』。いままでの純粋な"歌モノ"と比べると少しだけだけど音響的なイントロではじまり、とても穏やかに終わっていきました。
終演時に客だけでなくバックバンドの3人も平賀さち枝さんを囲むように拍手してたのが印象的でした。


どこかのネットレビューで”ピュアなようでどこか色っぽさも感じさせる”平賀さち枝の世界を『眠ったり起きたり』の歌詞*1に見てるし、今回のライブでもしだいに上着がずれて○○紐が見えてしまっていたのがいやらしくない色っぽさを感じさせる。不思議な人です。
ただ優しい、綺麗な歌声だけじゃなく独特の空気が旧グッゲンハイム邸という特殊なライブ環境にうまく馴染んで素晴らしいライブショウになりました。


見に行って良かった。
ホンモノはめちゃくちゃかわいかったし、なにより歌でたっぷりと心が満たされた。
最初の一声で泣きそうになるライブなんて久しぶりですよ。


*1:夜も朝もなくすまで 君と眠ったり起きたり 敷きっぱなしの布団と カーテンの裾からほのかな風