soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

electraglide 2012 Osaka (KODE9、NATHAN FAKE、TNGHT、SQUAREPUSHER、FLYING LOTUS、ORBITAL、FOUR TET、ANDREW WEATHERALL)

イベント自体の開催が3年ぶり、大阪での開催は7年ぶりのオールナイト・テクノフェスティバル、エレグラ。行ってきましたー。


実はエレグラがどんなフェスなのか詳しく知らなかったんですが、過去の出演者を見るとUnderworldorbital、Fat boy slim、Aphex twinkraftwerkLFOProdigy……とすごいアーティストがラインナップされてたんですね。


今年は直球ダンスよりベース・ミュージックやブレイクコアが中心といえる少々変則的なラインナップです。大物が集まっているのは変わらず!



ATCに到着すると開場時間から大勢の人が集まってる。関西人はオールナイトイベントに飢えてる!
整理番号を呼ばれて中に入ると通路に、ドリンク&フードの店が3つ、グッズ&CD販売スペース、クローク、休憩スペース(イスとテーブルが30人分くらい)が設置されてました。レイアウトが詰め気味でちょっとせせこましい?
また、客数が1000人〜くらいの規模だったんですが飲食店が少ないのでアホみたいな長い列を形成してました。
結局イベント中はほとんど飲まず食わずだったなぁ……。これが一番痛かった。


メインステージはL STAGEとR STAGEが向き合う開場配置。
交互にライブが行われるので振り向けばOK。全アーティストが被りゼロで見れるのは大阪の魅力!
音はスピーカーとの距離で差が大きかったですけど悪くなかった。


KODE9

ヒップホップとベース・ミュージックをブレンドした黒いサウンドでイベントの幕開け。
クロークに並んでたんで一部しか聴けなかったけど、ドス黒い音でここまでアゲられるのかー、と驚く良いプレイでした。クールに切り込んでくる感じ。


自曲の『9 samurai』や『City Star/Rustie』を織り交ぜ、ラストは今回の出演者でもあるTNGHTの『HIGHER GROUND』で締め。
HIGHER GROUND』はこの後もイベント中に何度も耳にすることになります。


ステージの視覚情報は赤を基準したレーザー照明のみ非常にシンプルで曲調に合ってる。赤いレーザーがDJブース前に赤外線トラップのように壁を作るのがかっこよかった。


Nathan Fake

プログレッシブなテクノ。
会場の音がそこまで綺麗じゃないので魅力半減した気がします。独特のズレて聴こえるリズムがうまく身体に染みこんで来なかった。
う〜ん、ちょっとハズレだったかなぁ。あまり印象に残っていません。


セトリは最新アルバムからの曲が多かったと思う。

TNGHT

HUDSON MOHAWKE X LUNICEのユニット。
ドスンドスンと降り掛かってくる重いビートは身体を大きく動かしてノると超気持ちいい!
ブース上ではMOHAWKE独特のリズムのノリ方と狂ったように踊り煽るLUNICEがいる。LUNICEのアグレッシブなパフォーマンスはTyler, The Createrのようなヤバさが漂ってる。


前列ではダブステ・ヘッドバンガーが続出でさながらヘヴィロックのライブのような状態になってました。


EPの曲は全部プレイ。もちろんKODE9がかけた『HIGHER GROUND』もドロップして大盛り上がり。
『Goooo』もめちゃくちゃ好き。シンセが繋がるところがたまらん。


終盤にLUNICEがDJブースを飛び出し、フロアまで乱入していくスリリングな場面もありました。
音はヒップホップ〜TRAPだけどアゲ方はロック!
よかった〜。派手にノれたという意味ではこの日一番。


SQUAREPUSHER

本イベントのヘッドライナーのひとりと言っていいでしょう。
噂の巨大/顔面LEDスクリーンは思ってたより衝撃はなかった。ただ顔面に映像が流れるのはかっこいいよね。


曲は新譜中心。踊るというよりLEDスクリーンも含め”見る”感じでした。
ビートは暴れ狂っておりノイズに片足を突っ込んだ状態。
『4001』の印象的なリズム、『Unreal Square』の爆発感、『ON Crack』のVJとの連動に興奮。



そして待望のベース・タイム。ステージ脇のベースを肩にかけるとフロアからは大歓声。
といっても音が歪みまくりでほとんどベースなのにドリルンベースのビート部分を演奏してるみたいな状態。そこにハードロックみたいなフレーズも挟み込んで美しさより音が暴れまわる感じ。


最後は『A Journey To Reedham』でフィニッシュ。明るいループフレーズにベースを絡めていくスリリングなプレイは興奮しました。
前半はどう楽しめばいいかわからなかったけど、後半(特にベース・プレイ以降)はどんどん気分が高まっていく自分がいました。


終演後、ベースをスタンドに戻した時に「ビキィーーっ!」って大音量と共に映像が一瞬動いたのがえらくかっこよかった。*1



FLYING LOTUS

こちらも話題になっていたVJが凄かった。
Layer3と呼ばれるシステムで、DJブースの前と後ろにスクリーンを置くことで3D効果を得られるというもの。
例えばスクリーン上で爆発する映像が流れると、その爆発の真ん中にFLYING LOTUSが入ってるかのうような錯覚を得られます。
これがえらくかっこよくてしばらくアホみたいに口を開けて見惚れていました。
デジタルなデータを示すモノに包まれたり、泡の後ろで見えなくなったり、技術が進化したのを感じました。
クネクネとしたFLYING LOTUSの動きが映像にマッチしてまた良い!


音はオサレでドープなFLYING LOTUS唯一無二の音。
先週亡くなったピアノプレイヤーAustin PeraltaへのRIPとして『DMT Song』、ダンスするVJ(PV)とのマッチが興奮を生んだ『Getting there』、大好きな『Galaxy in Janaki』も終盤にプレイしてくれました。
またここでもTNGHTの『HIGHER GROUND』がかかりました。この規模のイベントで同じ曲が3回もプレイされるとは……それでも印象的なイントロが聞こえたらアガっちゃう。完全にアンセムだな。


後半の高速で動くVJはFLYING LOTUSがワープするようで快感。『Putty Boy Strut』のベースとマッチしてヤバい方面へトビそうになりました。


ORBITAL

大好きなオービタル!

スタートレックの声ネタを、スティーブ・ライヒの『Come Out』の手法*2で加工したワクワクするスタート。


セトリは新譜半分+旧作半分くらい。
『Halcyon On and On 』で始まり2曲目でいきなりの『Heaven is a place on earth / Belinda Carlisle』ネタ!
ド派手な曲でプッシャー、ロータスの混沌とした世界から一気に”コッチ側”に客を引き戻す。
新譜からは『Straight Sun』『New France』『WONKY』は思ったほど盛り上がらなかったかなぁ。ダブステ影響下にあるヘヴィな『Beelzedub』は『SATURN』とも違う今までにないorbitalを感じました。


旧曲からは『Dr.who』『Belfast』、そしてもちろん『Chime』。この特大アンセムはやはり気持ちいい!


いままでのアクトがストレートなクラブミュージックから外れているのばかりだったのでシンプルな四つ打ちが踊りやすくて良かった。


ただ個人的にはバッキバキでフロアが踊り狂ったサマソニ2010の方が良かったかなぁ。思ったよりすんなり終わってしまったという感覚もあった。




FOUR TET

ノンビートの『Peace for Earth』で静かに始まる。ゴッチン先生みたいでめっちゃ気持ちいい。オービタルでがっつり踊ったあとの癒し枠?フロア後方(=さっきまでの最前列)には大量の死体が寝転んでる。自分も座り込みながらまったり聞いてました。気持ちええ……。


ようやく……ホントにようやくドリンクの店が空いてきたので並ぶ。NATHAN FAKE以来の飲食。アルコール in で踊る!


ステージに戻ると警告のような赤い照明で妙にハードな雰囲気に覆われている。
スピーカーから流れる『Pyramid』をあからさまにBPM上げていきまたたくまに高速BPMに。突然の攻めのプレイに湧きだつ観客。呼応するようにガバキックまで混ぜてきました。癒し担当かとおもったら殺しにきた?!


『Pyramid』で盛り上げて続く『Ocoras*3』でもがっつり踊らせる。
いや〜、この時間はめっちゃ踊りました。アルコールが入ったのもあるだろうけど、FOUR TETの見事な持って行き方にヤラれたのがデカイ。


メインアクト3組み後の癒しタイム → 盛り上げて最後のストレートなダンスアクト・ANDREW WEATHERALLへの見事なパスには大きな拍手を。
この日で一番良かったのはここかも。
Saturn'11のDJ KRUSHがJames Blake後の終わちゃった感を巻き戻したのを彷彿させる。

ANDREW WEATHERALL

どストイックなテクノ/ハウス。
2音ぐらいのベース・ラインとシンプルなリズムだけ。一音づつ時間をかけてリズムが増えていく。
ただ無心に踊り続けました。
最後の方にすこしだけウワモノがきただけでほとんどリズムだけ。それでも何時間でもずっと揺れてられそうなDJプレイ。


最近は客が体力切れかけでゾンビみたいに足を動かしてるこの時間帯が好きです。





終演後、ATCがスタート地点の大阪マラソン参加者と逆方向に帰っていく。酔って踊って疲れ切ってる我々と健康的なマラソン参加者。なんかよくわからない罪悪感が……。
Metamorphose(会場は本来サイクリング公演)の一般利用者とすれ違うのと似てるなぁ。




”踊る”から”観る”に考えをシフトしてから真の面白さが湧いて来ました。
自分から楽しんでいかなきゃな。


混みすぎでもなく踊るスペースがある人口密度。
柄が悪い輩もそんなにいない*4。良い環境でした。
ただもうちょっとみんな踊って盛り上がって欲しかった気もする。先日のSaturnでも思ったけど最近の大阪クラブ・イベントは大人しい気がする。
この街で一番馬鹿になれよ!(裸族/モーモールルギャバン


イベントとしてはドリンク&フードに並ぶと1アクト見逃さないといけないのが辛かった。
特にドリンクはこの手のフェスには必須だもんなぁ。やっぱアルコールは重要だなぁ。


楽しかったー。
来年もぜひ開催してほしい!

*1:おそらくベースの音とLEDスクリーンの映像が連動してる

*2:音声のリピート

*3:Jupitersだったかも……

*4:ナンパされてる場面は幾度か見かけましたが