soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2012/12/07 手ノ内嫁蔵 × N'夙川ボーイズ @ 難波ベアーズ

チケットはネット予約無し、店頭での事前販売というスペシャルなライブ。
そりゃあ夙川ボーイズは2日前にキャパ1300人のShibuya O-EASTを満員にしてるんだからキャパ100人程度のベアーズでやるなんてトンデモナイことですよ。
そのスペシャル感に惹かれたので対バンの手ノ内嫁蔵も一度見てみたかったので事前にチケ購入して行ってきましたー。


ベアーズに到着すると意外と客少ない。60〜70人くらい?PARAやインキャパ vs SOLMANIAのほうが混んでたのは、さすがベアーズといったところか……。
後ろのカウンターにはクリトリック・リスのブログで有名な食笑のマスターもいました。


やはり夙川ボーイズが多いらしくていつものベアーズとフェスT着てる人がいたり若干違う客層*1
そんな人達を取り囲むようにクリトリックリス・ワンマンのチラシが壁に大量に貼られたのがカオスでした。

手ノ内嫁蔵

和田しんじのギターが味があるなぁ。顔芸が面白いし、音自体も原色そのままの下手なりの味があってなんだか惹かれる魅力がありました。


一曲目で緑や赤のレーザー光線がベアーズのステージを派手に彩る装置が発動。お前らサカナクションかっ!
夙川の機材?ベアーズでこんなハデな照明初めてみた。あ、スモークもあったな。
(のちに夙川のペンライトに対抗するために大型ライブハウス用の機材を持ってきたとの情報を耳にしました。アホだw)


曲はダブな曲がよかった。モタコさんがハーモニカで絡んでくる曲。
「なにがなんだか」を連呼する『何が何だかわからないのよ』ではレーザー&スモークでステージが見えなくて本当になにがなんだか。


和田しんじから「ホームだけどめっちゃアウェー」の名言が飛び出す関西らしいライブでした。




N'夙川ボーイズ

じっくり30分ぐらいセッティングしてから笑顔でメンバー登場。

セトリはこんな感じ。

プラネットマジック
24
Freedom
homework
マジシャン
HERO IN BOY
裏路地Be-Bop
Candy People
物語はちと不安定
死神DANCE
EN)フェアリー

下手さは相変わらずだけど演奏に迷いが無い。特にリンダのドラムは今までの曲と毛色の違う『24』でもしっかりと叩いてました。
1stからの『マジシャン』『HERO IN BOY』は最近のセトリでは珍しいらしく、ベアーズを意識してるのが伺えます。
『HERO IN BOY』を歌い終わったあとらへんからマーヤの声がかすれ始める。


途中、「マーヤが道で間違えて声をかけそうになった」というリンダ・ファッションの客をステージにあげて「リンダ!」「マーヤ!」をやらせてあげたり、『CANDY PEOPLE』では台に立って見やすい場所で「フー」をやるなどサービス精神旺盛。
また、手ノ内嫁蔵の曲を(gdgdに)突発カバーする場面もあり、後ろの食笑周辺の”手ノ内嫁蔵側”の人達でさ「なんやこらw」と苦笑いするステージ進行。


ファンは黄色い声援が多いのにびっくりした。8割は女性で「マーヤー!」「シンノスケー!*2」みたいな声がよくあがる。挙げられた腕の先は拳じゃなくてパーでヒラヒラと手を振っている人が多い。
後ろの方から眺めた『裏路地Be-BoP』はペンライトを振ったりしてほとんどポップスのコンサート状態。
『物語はちと不安定』ですら「あれ?盛り上がってない?」と思ってしまう優しいノリ。モッシュ=盛り上がりってのもあれだけど……うーむ。シンノスケのダイブもすぐに落ちて、最終的にごく数名で運んでました。


MCは叫ぶことがほとんどなかったように思います。
”マーヤLOVE”を演じることもなく、ほぼ素の状態でベアーズの思い出や手ノ内嫁蔵や関西シーンへのリスペクトを語ってましたた。
そしていつも以上にテンパってた。何度も自分で何を言ってるかわからなくなってました。逆にリンダは昨年のオドオドしてたファンダンゴと違って堂々としてた気がする。シンノスケはキャラを崩さない。この日のシンノスケのブレなさはものすごく頼りになりました。


新譜の曲のポップ感覚はすごく良かった。でも、ライブ全体にはロック的な衝動は薄かった。
そのロックとポップの狭間でもがいてるように見えるマーヤが熱唱する『死神DANCE』はグッときました。声はかすれて出てないけど全力で歌ってる。
聴きながら「最初はビクビクしながら入ったベアーズも今はすっかりウチのホームになったな」と感傷深い気持ちになったり。
夙川ボーイズって関西のバンドに強く影響を受けたバンドだと思います。そんな彼らはこの一年で取り巻く環境が大きく変わった。このタイミングでのベアーズでのライブは色々思うところがあったんじゃないかな?


このブログではライブのごとにファン層が変わった云々と書いてるけど、今回ベアーズという地でそれがもっとも顕著になった気がします。でも、そのことに関してマーヤが色々と考えたり、感じたりしてるのが伝わってきました
それはまるで憧れのベアーズでビクビクしながら演奏してる少年みたい。あえてこの言葉を選びますが小物に見えました。関西の音楽に憧れを持ち、同時に距離も感じている


マーヤのベアーズへの愛とリスペクトが吐き出されたライブでした。それなのにこの日のベアーズはまったくベアーズらしくない空気が流れてて奇妙な感覚でした。


正直なところ”ライブ”としては期待値以上の満足はエられなかった。
でもテンパリながらベアーズを語るマーヤはロックなステージと同等かソレ以上に心に残りました。
今年最後のベアーズがこのライブでよかった。*3


『フェアリー』でマーヤが腕を振るたびにメンバーが音を出す、わずか1分半ほどのアンコールも刹那的でカッコ良かった。パッションが動きと音となって表出して感覚。あの日あの場所のライブとしては最高のアンコールでした。
「一年に一回はベアーズ!」って叫んでたけど本当に毎年一回はやってほしい。夙川ボーイズってバンドが変わっていく中でベアーズに対してどんな姿勢をとるのか見ていきたい。


*1:自分はよくフェスT着てベアーズ行っとりますが

*2:「シンノスケーは某ス○ムさんが騒いでただけの気もするけどw」

*3:10日の山本精一×YOSHITAKE EXPEは主(あるじ)によるカーテンコールとの勝手な位置づけ