2013/01/19 中谷達也+山本精一+DAVID STACKENAS、増田哲冶+廣樹輝一+松本智仁 @ 難波ベアーズ

海外からやってきた即興パーカッショニスト&ギタリスト with 山本精一の組み合わせをメインに、もう一組即興演奏を当てたインプロビゼーションなブッキング。ロックというより現代音楽的アプローチの即興でした。


……と色々書いてますがチケットを予約した時点では完全に山本精一さん目当てで他の人がどういう音楽をやるのかまったく知りませんでした。即興かも知らなかった。
終わってみるとCD2枚も買っちゃう大満足な一夜でした。


客の年齢層が高い。20〜30人くら入ってて6割くらいが40〜50代。非ロックの即興演奏客の年齢層?普段のベアーズではめったに見ないおばちゃん、おっちゃんがいて不思議な感じでした。

増田哲冶+廣樹輝一+松本智仁

一組目はシンセサイザー、12弦ギター、あと尺八や琴など雅楽器を使った人のトリオのセッション。


バンドマスター的な役割をしているのはは雅楽器の人。7割は琴*1を弄ってたかな。
琴の弦下にある三角を動かしまくって無調律の音を鳴らす、琴と床の間で鈴を打ち付ける、木琴のスティックで琴を打楽器のように叩く……と常識を覆す演奏方法。琴に比べて尺八は普通に吹いてた気がします。
健康的とは言いがたい細いルックスで夢遊病者のように演奏する姿はほんのりとホラーでもありました。しだいに祝詞的なのを唱えたりと(自分の世界の中で)盛り上がってく。
最後は寝転んで琴を抱きかかえながら呻くという奇行を披露。


他の2人は雅楽器の人を外からコーティングするようなプレイ。シンセサイザーはほぼずっとピー音を鳴らし続け、ギターも基本は明確なフレーズがなくポロンポロンと弾いてる。
一般的に言われる”音楽”なところがほとんどない演奏。でもなんだか気になる音の出し方があったり、と楽しませていただきました。


ただカズーみたいな笛は○痢の音にしか聴こえなくて受け付けなかったな。



↑の雅楽器の人のインプロヴィゼーション。改めて見ると……ホラーだ。

中谷達也+山本精一+DAVID STACKENAS

中谷さんは有名なパーカッショニストみたいです。NY在住の日本人。
DAVID STACKENASはアコギを中心としたインプロビゼーション・ギタリスト。スウェーデン人。
非ロックなインプロビゼーションに大阪から対抗するのは山本精一エレキギター一本で迎え討っていました。


まずは中谷さんからかしこまったトーク。山本さんが「ベアーズで喋る人がほとんどいないから客が戸惑ってる」とツッコミながら「で?」と話しを広げていく。
中谷さんが「なんだか酸素が薄いですね。僕フラフラしてますね」「もし何かあったら財布の中に……保証書が入ってるので」あ、この人も頭おかしな人だ(褒め言葉




一度演奏が始まるとものすごかった。超絶テクニックと数々の演奏アイディアが高次元に繰り出されていく。


中谷さんのドラムは地鳴りに聴こえるぐらいストロークが早い。シンバルを弓で弾いたりシンバルをフロアタムに置いたりと色々やってました。


山本さんもエフェクターを駆使してセッションを彩る。
唯一デジタルな楽器を使用しており、スペーシーな成分を持ち込んてとおそらく普段のふたりでは発生しない化学反応を呼び起こしてました。たまにものスゴイ勢いで速弾きをすることもあり。
また七尾旅人の百人組手でのvsROVO(youtube)でなかば伝説になってるスプレー吹きかけもやってました。


個人的に一番おもしろかったのはSTACKENAS。
猛烈スピードでアコギを弾く通常の演奏もカッコイイんですが、弦を指で弾く”以外”の方法でこんなにいっぱいギターから音を出すことが出来るのかっていう独創的なアイディアの数々が興味深かったです。
例えば、弦に置くとドローンサウンドがでる青い光を放つ機器を4つほど置いては腕組んで眺めてまた置いて……ってのを繰り返す静のパートはシンセアンビエントのような透き通った音世界を作り出してる。
他にもプロペラを使った人間外の速弾き、ボウイング(ヴァイオリンの弓をつかった奏法)、弦にモノを挟んだプリペイドなど。
中でも驚いたのがギターを裏返して舌で湿らせた指を擦る音の出し方。これがまためちゃくちゃいい音を出してました。


静の部分もあれば動の部分もある即興演奏。
動の部分で3人が一斉に盛り上がっていく時はものすごい破壊力。生身の人間じゃ立ち向かえない核爆弾みたいなパワーのある演奏に痺れた。


とても面白かったです。
目からうろこな演奏方法がいっぱい見れた/聴けた。神達の高度な音遊びを拝見していた気分でした。
ロックな人達との共演時とは少し違う山本さんの一面を見れたし、今まで観た即興演奏でもかなり上位…BEST5に入るくらいに良かったと思えるライブでした。
山本さん以外はすべてアコースティックな音。現地で聴くと音がとても良かった。


終わったあとにちょっとだけSTACKENASと話す機会があったんで「指を擦る音が気に入りました」と伝えると「ギターなんて線と木の箱だからね」とはにかみながら答えてくれました。



*1:正しくは箏かもしれません。雅楽はあまり違いがわからない……