soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2013/02/09 ya-to-i、長谷川健一、柴田聡子 @ 元・立誠小学校

ROVO羅針盤山本精一ムーンライダーズ岡田徹が組んだ伝説的ユニットya-to-iが10年ぶりに再始動という”事件”。
ya-to-iの(唯一の)アルバムは好きだし、何より山本さんが歌モノライブでよくセルフカバーしてる『空の名前』の原点を聴けるチャンスがくるなんて……。夢のようです。


会場は廃校になった小学校。昨年のスキマアワーでも来たところですね。
到着すると入り口に長い列。入場が押してて30分遅れだったそうです。列が建物外まで伸びてたので寒い……。
気を紛らわすために列を眺めてるとミュージシャンが多い。それだけ期待されてるのを感じる。


ようやく入れた会場は3階の畳の部屋でした。
階段を昇ってく時にya-to-iのメンバーとすれ違いました。年齢的に大学ゼミの先生と生徒みたいw*1


ぎゅう詰めではなく、みんな余裕を持って座ってる。学校の催しにやってきたみたい。ほんわかして良いムードだなぁ。空調が聴いてて意外と暖かったのも嬉しかったです。
ステージはほぼ段差無しだけどみんな座ってるからとても見やすかった。


柴田聡子

まずはya-to-iのゲストボーカルがソロでギター弾き語りライブ。


どデカイ黒縁メガネが醸し出すサブカルなルックスはインパクト抜群。
曲が終わった時の挙動が不審で拍手するタイミングがわからないw
ギターをマイクにゴツンとぶつけたり、MCもコソコソ声でかなり変わった人でした。


曲は素朴に日常の楽しさを歌い上げるフォークソング系が主。
見た目に合うような合わないような綺麗な声はいいな、と思ったけど曲はそんなにハマらなかったりする、ってのがこの日の感想。


でも次の日も彼女のライブを観に行ったのですが、その時はすごく胸に響いた。
この日の時点でこっそりと胸に染み渡ってたんだろうな。


谷川健一

こちらもギター弾き語りの方。
普段はオリジナル曲を歌ってるそうですが、この日はJ-POPのカバーライブ。


J-POPと行ってもカバーしたアーティストはのっけから中島みゆき、そして石橋英子山本精一……と続くなかなか癖のあるセレクト。
石橋英子さんを男性がギターでカバーってのは面白い。
山本さんカバーも良かった。曲は『めざめのバラッド』。山本さんの無感情歌唱じゃない歌い方だと……めっちゃ良いメロディだなぁw
あと鳴海徹朗さんという人の曲がなかなか良かったです。


渋い歌声とカウボーイハットが似合ってる大人の魅力に溢れた歌モノライブでした。


ya-to-i

そして登場、本命のya-to-i。


一曲目『Funny Feelin'』が始まった瞬間からキラキラしたキレイなモノが現代に甦る感覚に襲われて叫びだった。サビ(?)でドコドコと元気よくリズムが打ち鳴らされるのとまた感動がひときわ……。早くも「来てよかった〜」と思うのでした。
中盤のサンプリングっぽいとこも完全再現。一瞬入るドラムとかもそっくりそのままでした。
山本さんは上機嫌で演奏中も笑顔が隠せない様子。あんなニヤニヤしながら演奏する山本さんは珍しい。


岡田さんの緩いMCが面白かったです。曲コール → 関係ない話が始まっちゃう → コールした曲を忘れるってのが何度か。ボケじいさんぎりぎり。始終ニコニコしてて和む〜。
逆に山本さんは「京都は反応が悪い。なんだか腹が立ってきたぞ。」と山本精一節炸裂。しかも冗談ってわけでもなく後半に行くに連れ言葉数はなくなり真顔でひたすら弾いてた。一曲目ではあんなのに楽しそうだったのにw


ya-to-iは2人がメインのグループですが、格別目立つ演奏をするわけでもなく優しくポップな曲を奏でてました。
その2人に支えられるように真ん中に立って歌ってたボーカル担当の柴田聡子さんとじゅんじゅんさんはぴったりya-to-iの曲にハマってました。
特に『Nothing New Under the Sky』などテクノポップ色のある曲ではイイ意味でのロボット感がよかった。


『シークレットソング』では伊藤さんのサンプリング・リズムまみれ。最初はサンプリングが前に出過ぎてて違和感あったけどしだいにハマってった。
「ya-to-iの当初コンセプトはおもちゃの音をサンプリングして曲を作ってく。それが守られてるのはこの曲(シークレットソング)だけ」「"ya-to-i"のto-iはtoy(おもちゃ)のトーイ。」といった裏話も色々聞けました。


柴田さんによる新曲『ラスト・テクノカッター・キャン。ノット。テクノカット』や再販盤の新曲『となえるよ』を披露。


岡田「(新譜は)秋ですよね?」
山本「精神が暗黒モードやからya-to-iのモードになれるか」
なんてやりとりをして最後に『空の名前』


タイトル通り青空のような美しい音のイントロに次いで聴こえてきた歌声はなんと岡田さん!アナログなエフェクターをかけてて、これがまたグッとくる響きでした。
ボーカルを務めるのは岡田さんと山本さん。女性はコーラスに注力。こりゃ意外。
どこまでも優しいメロディ、歌声、トラックに完全に心を奪われたところに入ってきた山本さんのギターソロは氷から100億年前の生命が甦るような奇跡的な音を奏でていました。
この日は小学校という場所で子供時代に戻ったようにワクワクしたり、素晴らしい演奏を聴いたり、ベテランならではの落ち着いたMCを聴いたり……と思い出すだけでも素晴らしい1日だったけど、それらをあのギターソロにすべてが集約していったように感じました。最高でした!


「曲がもうないです」ということでアンコールは無し。


復活……といっても休止前は一回しかライブしてないから3回目らしいです。そんな少ない回数のひとつを見れたことを嬉しく思います。
全8曲と曲数は多くなかったけど満足の行くライブでした。ギターソロが持っていったなぁ。


ライブが終わったのは21:00時前。こんな早い時間に遊び終わるなんていつぶりだろう。
なんかこの日の「楽しい」って感情は小学校〜高校時代の「楽しい」って感情に似てた気がします。


*1:もちろん先生は山本精一岡田徹のお二方