soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2013/06/04 リシャール・ピナス(HELDON)× 吉田達也 × 山本精一 @ CONPASS

プログレバンド・Heldonのリシャール・ピナス(gt.)とそれを迎え撃つ日本の至宝・吉田達也(dr.)&山本精一(gt)のトリオ・即興ライブ。


客数60〜80人くらい。年齢層は高めで30代〜40代が多かったと思う。

1部

ピナスはノイズドローン的なギターを演奏。粒子の細かい「ジュワアアアア」というギターらしかぬ音は意識しないともはや音楽の一部と認識できない。音楽を絵画に例えるなら、絵の具の”色”というより”透明”なコーティングといった感じ。しかし、たぶん認識できないところで耳/脳に影響を与えてて、ずっとナニカに包まれてるような感覚がありました。


山本さんはメイン(ピナス)を特別視することもなくやりたい放題。バンドの顔となってリードギターにあたる部分を弾いてました。


吉田さんは鬼のようなドラム。初見なんですがすげぇなこの人……。恐ろしい手数の多さなんだけど裏側で支えてる、とドラムの仕事を担ってます。


3人ともものすごい音の密集率。
頭に浮かんだのは雷鳴と獣。
ピナスの超粒子ギターは1m先も見えないような豪雨を思わせ、吉田さんの鬼ドラムは雷が落ちるように荒ぶり、山本さんのダイナミックなギターは強靭な筋肉をもつ獣が荒地を駆けるのを連想させる。
胃がきゅうっとなる圧迫感の中に確かな生命力を感じる。不思議なセッションでした。


休憩時間を取って2部へ。

2部

ピナスのソロからスタート。ノイズギターを丁寧に重ねてダークアンビエントな音を創っていく。Solmaniaっぽい?
バンド内の各者のポジションは1部と変わらず。山本さんは最後まで遠慮無しに生命力を誇示。


ずっと圧迫感のある演奏で「同じ音ばかりだなぁ」とかも思いはじめてきました。
でも音の洪水に身を任せてるとしだいに感覚が麻痺して、意識が常世の境界線をふと踏み外してしまった時間帯がありました。
ギター二人が珍しくしっかりとリフを刻み、そこに吉田さんのエコー気味のスネアが入っていったパートはどこまでも昇天できそうでした。boredomsの『Super You』の一番気持ちいいところみたい。

アンコール

アンコールはピナスのソロ。
2部の始まりと似てる。高品質なハーシュ。良かったです。
3人のセッションだとピナスは目立たなかったけど、あの圧倒的な音の塊は確実にこの人が作ってた。ソロを聴いてはっきりとそれがわかりました。


良い意味で生きた心地のしない緊張感と圧迫感のある即興でした。
客に擦り寄ることのない孤高の音。伝説の獣のような気品さがありました。