soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2014/03/20 サンヘドリン [灰野敬二、吉田達也、ナスノミツル] @ CONPASS


最強のリズム隊・吉田達也さんとナスノミツルさんをバックに灰野さんがギターを弾きまくるサンヘドリンのワンマンに行ってきましたー。


フロアに入ると……暗っ!
ポーンと地面を照らす豆電球系統のライトだけのシンプルな照明。雰囲気めっちゃ出てました。ステージは目を凝らさないと楽器が確認できないくらいに闇。


客は意外と少なくて開始10分前で10人いるかいないかでした。そのあとに30〜40人くらいにはなったのかな?
開演時間を20分押しくらいで登場。真っ暗なステージは人が出てくる気配がまったく無いのでちょっと焦りました(笑


ライブ前のBGMが流れている状態から合図も無しに、本当に自然に演奏に入って行きました。BGMと演奏の境目がわからないくらいに自然でした。
最初は断片的なフレーズを3人で奏でる、音を慣らしているかのような演奏。そこから徐々に吉田さんが明確なビートを刻み始めて……16ビートを刻みだした瞬間から1部の演奏が終わるまで約40分間がずっと気持ちよかったです。


サンヘドリンはギタリストとしての灰野さんをたっぷり満喫できる音楽形態でした。
リズム隊の激しく、時にダンサブルなビートに合わせて灰野さんが弾きまくる。アヴァンギャルドな部分より直球でカッコイイ/気持ちいい!と思えるような演奏。
おそらくはベースになる曲(フレーズ)があって、それを基準に全員で半即興的にやっているのだと思います。


吉田さんとナスノさんの”舞台作り”のセンスには感服しました。自分のような素人でも「これをバックにしたらカッコよく演奏できるんじゃなかろうか?」なんて思ってしまうバックを瞬時に作り上げていきます。
恐ろしいほどテクニカルな演奏をしてるのに決して先頭に出ようとはしない。


そして用意された舞台を悠々と駆け巡る灰野さんのギター。
ギターをグワングワン回したら音も回る。灰野さんとギターという2つのモノの組み合わせが1つの生き物みたいに感じられました。


役割は、吉田さんとナスノさん : 灰野さん = 2 : 1のバンドだけど決して灰野さんだけがメインじゃない。3人が揃って素晴らしい演奏を魅せてくれました。




休憩を挟んでの第二部。


第一部より灰野さんの身体の揺れが激しくなって、他でもよく見る灰野さんの演奏アクションに近づいてました。ギターの常識を打ち破る生命力のある音へ。でもあくまでも聴きやすいのがサンヘドリン。


3人の集中力はまったく途切れることなく、何度も「最高!」と叫びたくなるすばらしい演奏が続きました。
灰野さんなんか中頃で弦が一本切れたのに「それがどうした?」と言わんばかりにまったく動じずに演奏を継続。むしろどんどん熱を帯びていく。


盛り上がりもピークとなったクライマックスでは、灰野さんが打楽器のようにギターを叩きながら「もっと来いよ!」とリズム隊を煽る!3人の音に洪水が空間を塗りつぶすような演奏でほぼ轟音ノイズ状態。トドメは灰野さんが軽くジャンプ → からのエフェクタ踏みつけで音を止めて素晴らしいフィニッシュを決めました。
約40分の熱演。いやー、すごかった!




意外にも応えてくれたアンコールは短時間勝負。
隙間だらけの演奏 → 灰野さんの合図ひとつで大暴走 → 隙間だらけの演奏にもどり灰野さんが倒れこむようにフラフラっとして終わり。
灰野さんは一言も声を発することはありませんでした。ギタリストとしての灰野さん。




基本的に引きと盛り上げが交互にやってくる音楽。でもずっと感じる緊張感。隙が無かったです。意外とリズミカルなのが良かった。三人で駆け抜ける場面は「うおおおおお!」ってなりました。


すべての音がてても自然に鳴ってました。
灰野さんのなかでは耳に馴染みやすい音楽。でも飲みやすいと酔っちゃうアルコールと一緒で聴きやすいからこそ放心状態まで持ってかれました。
終演後はマッサージ受けた後や温泉入った後みたいなホクホク感がありました。微粒子に身体が包まれてるような感覚……。


ものすごい演奏に客のみなさんもほとんど喋ることなく無言で帰っていきました。気持ちはすごくわかる。ここまで色々書いてきたけど言葉に出来ない壮絶なライブでした。