soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2014/03/21 前野健太とソープランダーズ @ 梅田シャングリラ


連日ライブに参加してたので、今回のは直前まで行くか悩んでました。いまは行って良かった心から思います。素晴らしいライブだった!


前野健太のキャラ立ちの上手さ。どっかで「前野健太は自分がどう見られてるかよくわかってる」って文章を見たことがありますが、まさにそれ。急に踊りだしたり、サングラスを大切にしてるようで結構外すことも多かったり、となんだか惹きつけられるギミックを用意してる。
もちろん歌の力はスゴい。パッとみ井上陽水みたいなルックスだけど、ライブで触れて見ると意外と青年で熱い歌い方をする人です。


そしてスーパーバンド・ソープランダーズの存在。メンバーはジム・オルーク(gt)、石橋英子(pf)、須藤俊明(b)、山本達久(dr)。
どうスーパーバンドかというと、無茶ぶりなキーワードを振られて即興でそのイメージを演奏する脅威のメンバー紹介や一度も合わせたことない前野健太のソロ曲をその場でバンドアレンジしちゃう神技を披露。
そして曲中での素晴らしい演奏。特にジム・オルークのギター、山本さんのドラムは息を飲む凄さです。
さらには全員でビーチ・ボーイズばりの美声コーラスまでこなしちゃう。これをスーパーバンドと言わずになんと言いますか!


前野健太も彼らから一歩も遅れを取ることはなく、一つのバンドとして存在してる。それに加えて曲の良さ。
スゴい歌い手とスゴいスーパーバンドの組み合わせはポップスの極地でした。前野健太のエンターテイメント能力もあってとにかく幸せな気分でライブが見れました。




リリースツアーということで新譜の曲が中心。そこに旧作の代表曲や前述した神技メンバー紹介、その場でバンドアレンジ。さらに弾き語りのダブルアンコールも答えるとボリューム満点でした。


ライブ始まりはソープランダーズのメンバーだけがステージへ。演奏が始まって、客席の後ろのほうで妙にでかい音で手拍子してる人がいると思ったら……なんと後ろから前野健太が踊り狂いながら登場!一気に心を持って行かれました。


伊豆の踊り子」「花と遊ぶ」などを披露。イントロが聞こえると客からよくあるwhooo!という歓声。それよりデカイ声で興奮した叫びを聞かせてくれるのが前野健太。自分のギターでwhooo!って叫ぶひとをはじめて見たw


新曲も2曲ありました。
ひとつは「新宿アベニュー」というスピード感があるポップサイドの前野健太

もうひとつは「じいさんとばあさん孤独死」というド演歌風な曲。ジム・オルークが轟音ギターでド演歌なフレーズを弾くソロがかっこ良すぎて完全に虜になりました!
ギャグみたいな曲名だけど「じいさんとばあさん孤独死 山まで登る必要も無い」ってのが都会を表してて”やっぱこの人すごいな”と思いました。


ジム・オルークに目をキラキラ輝かせてると「カフェ・オレ」でジム・オルークスキャットタイム。始まる前に前野健太スキャットをさんざん煽って心の準備はできてたのに……マイクをガッと掴みとってハンドマイクでスキャットするのにズキュンときました。この時、”本当にこのライブきて良かった”と思いました。



ここらで即興メンバー紹介。
石橋英子さんは”新幹線”。ノイズでトンネルのゴゴゴゴを再現する。そうきたか!
須藤さんはカーディガン。ベースという下地の楽器でカーディガンがしっかり見える演奏を。派手なプレイはしないけど、この人もすごいよな。
ジム・オルークはピクルス。ギターを”弾かずに”ピックアップを擦り点けて足でエフェクタを変えまくってのノイズ。いわく”ピクルスの後味”だそうです。
山本さんはナンパ。足をフロアに置いたりと小技を効かせた超絶ドラムソロ。



次に「青い部屋」「鴨川」をその場でバンドアレンジ。曲は客からのリクエストなんで本当に初音合わせだったんでしょう。それでも完璧な演奏に聴こえました。神技です。


「Love」めっちゃポップ。ダンスビートなサビが楽しくて仕方がありませんでした。
「冬の海」後半になるにつれ激しくなる、おそろしくエモーショナルな演奏。終盤の山本さんのドラムは鬼気迫るものがありました。


「悩み、不安、最高」からMC少なめでシリアスなムードへ突入。テクノな曲調で問題作とされてる楽曲ですがまったく違和感なくライブに組み込まれてました。
「ジャングルのともだち」も同じくシリアスに。須藤さんのベースが印象的。


「ばかみたい」ではハイテンションに戻って前野健太が踊りまくるダンスソング。
PV曲の「ねぇ、タクシー」はライブだと歌謡曲風の濃さが薄まって普遍的なポップソングに聴こえました。曲始まりの石橋英子さんのピアノがヤバかった。


本編最後は「TOKYO STATION HOTEL」を前野健太ひとりで弾き語り。
この時点で終わってもおかしくないぐらいのボリューム満点なライブでしたが、しっかりアンコールにも応えてくれました。



ピンクな照明、シャングリラ点灯、ミラーボールのセクシーな空気で「FUCK ME」この歌詞を石橋英子に歌わせるのがすごいよなぁ。


「国家コーラン節」フジロックでも合唱を巻き起こした名曲。テンション上がりすぎた前野健太のギターから音が出なくなって焦る場面もありましたが、その分勢いある演奏でした。


「東京の空」これも名曲。グッときました。良い演奏が詰まってた



これで終わりかと思いきやソロでダブルアンコールに応えてくれました。
「18の夏」と「「100年後」を弾き語り。”また100年後にここで待ち合わせ”って歌詞を次のライブに繋がげるのは見事。




スゴい歌い手とスゴいスーパーバンドの組み合わせはポップスの極地でした。前野健太のエンターテイメント能力もあってとにかく幸せな気分でライブが見れました。モノホンの音楽と歌をたっぷり堪能した!


いま一番ライブを見とかないといけないバンドは前野健太とソープランダーズなんじゃないかな、と思います。前野健太のソロ時代のイメージが強い人は度肝を抜かれると思います。機会があればぜひ!