2014/05/13 山本精一 火曜日の置きもの/サウンドインスタレーション @ 難波ベアーズ
山本さんのサウンドインタレーション*1・ライブ。
”ベアーズという空間に音を流しとくから喋ったり食べたり好きなようにすごして”みたいなユルいノリかと想像してたら真反対。物音ひとつ出すのもはばかれる集中力のいるライブでした。
スピーカーが客席の両脇にも置かれていて「何が起こるのか?」とドキドキしました。
開場までBGMは一切無し。無音のベアーズはいつもと違う印象がありました。「もしかしてすでにサウンドインスタレーションが始まってるのか?」とも思ったり。
ライブは2部構成。
1部はがっつりとサウンドインスタレーション。
レコーダーで再生した録音した”物音”*2やギターを触る音、レコーダーを動かす音などその場の”物音”と共に、音楽と認識できないレベルで(おそらくノンエフェクタトの)ギターを鳴らす。物音7:音楽として利用した物音2:音楽1ぐらいのバランスです。
音楽として創り上げる/組み立てるんじゃなくて”こんな音が鳴ってるよ”と耳を澄ます会みたいな感じでした。それを楽しむかは人それぞれ。
しだいにステージやスピーカーから発せられる音と客席が出す音―パイプ椅子の軋む音、空気洗浄機の音(=最強のドローン発生装置!)、PAを操作する音、自分が唾を飲み込む音―の区別がなくなってくるのは面白い感覚でした。
冒頭に”物音ひとつ出すのもはばかれる”と書きましたが、実際にはその物音にも耳を澄まして感じ取る、そんな時間でした。家具の音楽や4:33に結びつくモノがある。
面白いものでこれだけ音に集中してるとベアーズ内の音だけじゃなく外はこんな音がなってるんだろうな、と想像の音まで聴こえてきます。例えばすぐ外の道路で談笑する酒飲みの声とか。私は家の家族の生活音まで行きました。
その外の音(=想像の音)が聴こえてくる時は、山本さんが音楽的なフレーズを弾きはじめた時だったりする。外とリンクするのに音楽がメディアになるような感覚。ランダムに音を鳴らしてるようで絶妙に”音楽的”なモノを配置してたように思います。
自分のような初心者でも”似たようなこと”は出来ても、同じものを再現することはできないでしょう。
そんなことを考えながら聴いてると、山本さんの有名なスカム論の『我々は、ナカナカ賢いですから、「偶発的な現象」としてのスカムな部分だけをチョキチョキ切って、つなぎ合せ、「真性スカム」にかなり近いところまでたどり着くことができます』の一節を思い出したりしました。*3
2部はエフェクターをフルに使ってのギターアンビエント。普段の山本さんのエレキギターソロに近い演奏でした。1部に比べれば格段に音楽的。
NEU!を連想させるポジティブなドローンが気持ちよかったです。出す音がぶつ切りになるエフェクタが気持ちよかった〜。
山本さんの出す綺麗な音にどっぷり浸りまくり。不意に平衡感覚が無くなって自分がイスに座れてるのかがわからなくなる場面があるほどでした。
こちらもかなりの名演。
終盤、音が重なりまくって大爆音になりそうになったりもしましたが、轟音ノイズライブになることはなくあくまでもアンビエントな空気で終了。
アンコールもあり。
2部に近いギタードローン/アンビエント。ただ音がもっとゴリゴリしてるというか、粒子が詰まってた気がしました。
なんとなくさっきの大爆音なりかけで山本さんのスイッチが入ったように見えました。
衝撃だったのはやはり1部。In the Darkと同じくらいに新感覚でした。
ちょうど先日のキース・ジャレットのライブから”演奏以外の音とは?”みたいなことを考えていたとこだったので興味深かったです。いやー、良い体験できた!
↑山本さんのライブ映像ではなくサウンドインスタレーションの例を貼り付けました。
今回のと趣きが違うかもしれないけど僕の中のサウンドインスタレーションってこんな感じでした。