soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2014/11/03 あらかじめ決められた恋人たちへ、The fin. @ CONPASS

大好きなあら恋の(ほぼ)ワンマン!
今年の3月に見たNot Forget Pressureでのライブがめちゃくちゃ良かったのでワンマンは期待が高まります。

The fin.

フジロックのルーキーズで見てる神戸発の若手バンド。
ドリーミーなインディーズ/ローファイロック。完全に日本人離れしたセンス。音源だけ聴いたら絶対にUKのバンドと間違うと思います。


その完成度の高さは絶賛する人がいるのもわかる。ただフジの時思ったけど僕の好みからは外れてるかなぁ、と。硬めの音が苦手なのかな?フックも弱めだし。


こんなめっちゃUK曲をやってるバンドがMCで関西弁だったのに妙な安心感を感じたり。
後半、お酒に酔ってくる気持よくなってきたんで今後も見る機会があったらまた感じ方が変わってくるかな?


あらかじめ決められた恋人たちへ

踊らせまくり攻めまくりのセトリだったNot Forget Pressure。*1
今回は最初こそ「カナタ」で爆発しましたが、ンサブルな側面は抑えめにしてスロー/ミドルテンポの曲が中心。ノスタルジーとスケールの大きさを感じさせるライブ運びでした。


「テン」も「Conflict」も「ラセン」も無し。しかしアッパーに踊れないからといって物足りなさを感じることはなく、この世のものとは思えない神がかり的な演奏に完全にハートを掴まれました。霧の奥から気功的な何かを感じるような、そんな理論じゃ説明できないオーラで充満してました。特にクリテツさんのテルミンの泣きっぷりは凄まじかったです。


終盤は「Back」で盛り上がるフロア → 続いての「前日」で”うわーーーーっ!!”って気分が高まりました。アゲた状態で本編終了。




アンコールでやった「翌日」。これがスゴかったです。
元々17分の長い曲なんですが、この日はもっと長く感じました。それぐらい底なしのスケール感でした。
寂しいような、温かいような……あら恋ならではの絶妙なメロディに合わせて色んなキオクの映像が流れこんできました。大きな出来事から小さな日常まで、鮮明にビジョンが頭を駆け巡りました。どこまでも非日常でどこまでも日常な、ただただスゴイ時間を過ごしました。


周りを見渡すとみんな目を閉じてる、もしくはステージの奥遠いところを見ていて……みんな自分のキオクのナニかを見てたんだろうな。あんな光景が見れるライブなんてなかなか無いです。
客とバンドと音だけじゃない。色んな人の思い出が巡ってたCONPASSの空間に存在しました。 トランス的な暴力性のあるものじゃなくてジンワリと内面からドコかへ飛ばされました。


最後の爆音は”この人達ジョーみたいに真っ白になって燃え尽きるんじゃないか?”っていうエネルギッシュな演奏。圧巻でした。


終演後、熱いWアンコールの拍手が起こりましたが池永さんが出てきて「今日はこれで終わりです。精一杯やりました(笑)」。池永さんらしい言葉にたぶんみんな納得してたと思う。


踊りまくる気分で挑んだ今回のワンマン。終わってみると全然違うベクトルでぶっ飛ばされてました。とにかくラストの「翌日」がスゴかった。


最後に山本精一さんがあら恋の1st(2003)へ寄せたコメントを引用しておきます。
この日の「翌日」の体験を経た今、山本さんの言葉の意味がよくわかる。

自分はこの作品を聴くと(あらかじめ〜の音楽を聴くたび)、子供の頃に還って、近所の駄菓子屋の店先に入っていくような感覚にとらわれるんだけど、これは たぶん自分だけのことじゃないはずだ。リスナーの多くが、遠い記憶のトビラが開くような、懐かしい気持ちに陥ること受けあいであり、その意味では、池永君 はすごいハイパーな、駄菓子屋のおばあちゃんだ。
http://arakajime.main.jp/discography/album (ページ一番下)

『キオク』*2という作品が発表される11年前にあら恋の本質を見ぬいていた山本さん。そしての音をいまも変わらず表現し続けているあらかじめ決められた恋人たちへには感服です。



*1:凶悪なテン、アンコールにBACK、Wアンコールにラセン!

*2:2014年発売のあら恋のライブDVD。今回のツアーはこのレコ発もかねてる