soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2014/12/09 The Drums @ SOMA

インディーズバンド・ブームの火付け役として一世を風靡したThe Drums。
脱退が続きメンバーは二人だけになった状態でリリースされた3rdのジャパン・リリースツアー。正直、ブームは完全に過ぎた感のあるバンドです。そんな状態が逆に気になったので行ってきました。


会場はSoma。そんなに広いハコではありません。次の日が健康診断なんで珍しくアルコール無しでライブを見ました。




The Drumsといえば”江頭”とも評されるジョナサンのダンスを筆頭にした”意外とアグレッシブなライブ・パフォーマンス”が特徴でした。
しかし久しぶりに見たThe Drumsは非アグレッシブな空気が充満してました。
スモークを大量に炊いてサポートバンド(ギター、ベース、ドラム)はうっすらとしか見えない状態に。The Drumsであるジョナサンとジェイコブに注意がすべて注がれる。


元ギターのジェイコブが精神状態が心配になるくらい挙動不審でした。常に通常の1/2のスピードで妖しく動いて静かにキメ顔/決めポーズを決めてる。彫刻が動いてるみたいなよくわからない世界観。唯一速く動いたのがテンポに超遅い「Down by the water」ってのがまた……。
ちなみに担当楽器はギターではなく巨大なタンス型シンセとキーボード。演奏タイムは少なめで20秒に1回しか弾かないこともあります。相当な不思議空間を生み出してました……;
ジョナサンも動きは少なめで歌うことを重視。


ダウナーともアンニュイとも違う……ムリヤリ表現するなら”ゆっくりと”、”スムーズ”に動く、他にはない落ち着きのあるサウンド/ライブでした。
サウンドもジョナサンとジェイコブの動きがそのまま出ているような感じ。ゆーったりと頭の中に入ってくる。表現するならドリーミー。でも他の”ドリーミー”と表現されるバンドのような”心地よい微睡み”ではなく”虚無感”や”放心状態の先の世界”みたいなのを感じました。


セトリは1st〜3rdまでを満遍なく。
「Money」「Let's go Surfin」あたりの元気な曲も良かったんだけど、今のThe Drumsだと一歩引いてる曲が良かった。「Kiss Me Again」「Books of Stories」とか。ジワジワと染みてきてアッチの世界に持って行かれそうになる。
新譜イチオシの「There is nothing left」はやらなかったのが心残り〜。あと1stの名曲「Foever and ever amen」もありませんでした。twitterで出回ってたセトリ用紙には曲名が乗ってたんで急遽ナシになった…のかな?




当時のハッスルハッスルな躍動感がほぼ無くなってひたすらメンバーが没入してくライブ。グローファイにも近い感覚。テンションの向き方が真反対に変わった。でも「ドラムスだー♪」って気持ちになる不思議な変化をしてました。


3rdはピンときてなくてそこまで期待してなかったライブなんですが…良かった!今のThe Drumsの生み出す世界観に没入してきました
メンバーがひとり、またひとりと脱退してけっきょく親友だった2人だけが残った。
そんな2人が生み出す倒錯的で放心的な空気はどうしようもない切なさがあります。そこに元来The Drumsがもつキラキラ感が微かに顔を覗かせることで常人の景色とは違う”その先”の景色を垣間見た気がします。


この記事がそこらへんについて興味深いことを書いてます。

悲劇が幾度となく襲いかかり、人間関係も崩れてしまった先で、The Drumsが世界に放つ復活作 - 音楽レビュー : CINRA.NET http://www.cinra.net/review/20140908-thedrums