soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

フリックドロップ 体験版αVer. / .17

同人ノベルゲーム体験版。プレイ時間は6〜7時間と大ボリューム。


隕石の衝突により世界の人口と海水の90%が消失した時代。
しかし皮肉にもその隕石「フリック」がもたらす未知のエネルギーを利用して人々は生きながら科学を発展させた。
そのひとつがヒューマノイドである。
主人公の元に最新のヒューマノイドがやってきた。


近未来的なんだけどどこかノスタルジック。
舞台の都市が発展しているので地球が壊滅的な状態のわりには穏やかな空気です。
ほんのり科学的で落ち着いた文体。とはいえキャラ間のトークはギャグも多い。
研究者ソウラの徹底したずぼらさが素晴らしいし、クールな外見からに反してバカなことにも乗ってくるイロハも面白い。
ギャグセンスは悪くない……んだけど、やってることのわりにはどこかはっちゃけが足りない気もする。BGMのほとんどが大人しいのも関係してるのかも。
あと細かいとこでは普通「聞く」と書く所も「聴く」になってたのが気になった。わざと?
ストーリーは2視点を交互に進めていく形。
ロボットを通じて「人間」を語るようなテキストは少々説明臭いというか説教くさいところもあります。個人的にはもう少しテンポ良く大筋が進むほうが好きかなぁ。
とはいえ、体験版終盤になって物語が動き出してからは面白くなってきたので、今後の展開に期待。
ただ、壮大なネタバレになるやってはいけない誤字がひとつあった気がする。2視点の関係がわかっちゃったかも。


グラフィックは水彩画調の独特な塗りで気に入った。かなりレベルは高いと思います。
どこかの同人ゲームで見たことがある絵柄な気がするんだけど……どこだったかなぁ。
BGMも曲自体は良い感じ。ただ、大人しい曲が多く、無音のシーンも多いので全体的に重苦しい雰囲気になっています。


文章、キャラ、グラフィック、音楽と個々のレベルは高い。
しかし、SFなのか、哲学的なのか、コメディなのか、詩的なのか文章にイマイチまとまりが無い印象も受けました。
読みやすいタイプの作風ではありませんが、ゲームの中に世界がちゃんと構築されてて惹かれるものはあります。この先面白くなる予感がする。