soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

沈黙への返答 / b

ボーカル、作曲、編曲を女性一人でやってしまうbさんの4曲入り無料配布CD。
ネットでも無料配信中


深くしんみりと聴かせる歌モノ。ジャンル的にはアンビエント/トリップホップ/ダウンビートあたり。
暗くて踊れない聴かせるテクノ系サウンドですが、似たり寄ったりになってしまっている日本の歌モノニカではなく、北欧系の陰りのあるニカやかもすればダークアンビエントの趣きがある内に篭ったディープな音世界。


音のスキマが際立つ低密度のループで聴き手を曲の中に引き込み、そこに入り込む歌メロはキャッチー。キャッチーと言ってもポップス的なものではなくあくまでも陰りのある旋律なんですが、それなのにすんなりと頭に入ってくる耳あたりの良さ。
灰色が似合う病んだ世界観、なのに聴き苦しさがまったく無いバランス感覚が素晴らしいです。抑えめながら確かな「ビート」を感じるリズムセンスもスゴイ。


bさんの歌声も「切ない」とか「儚い」とかそういう次元ではなくどこか悟ったような歌声で別世界へと連れて行かれそうです。
良作!

      • -


①アコギループと空間的なシンセをバックにビートがジワジワと染み渡る。英語歌詞のクールな曲。耳に残るアコギループを作った時点で勝ち。


②ディープで少し陰湿な音空間。そこに静かながら生命力のあるボーカル。bさんの真骨頂といえる曲。祈るように歌う様に胸が締め付けられる。
「今は光が見えなくても、灰色の先は、いつも晴れ」と歌詞にあるけどbさんの曲は徹底的に暗いようで実は後ろに希望が溢れてる気がします。それが暗い曲調で絶妙なポップ感を出しているのかも。


③心温まるシンプルなピアノ伴奏の上をピアニカでまったりしたメロディが漂う。演出されるのは日常。
アニメとか漫画によくある「壮絶な非日常が起こる前の(間の)輝かしいどうってことのない日々」を一曲で切り取ったような曲。
基本はピアノとメロディ。でもうし〜ろの方で環境音やドローン・アンビエント的な音を足して惹きつけてくれるのが上手い。ピアニカの旋律と全体の雰囲気が好きで今作で一番気に入ってる曲です。『素晴らしき、平凡』、良いタイトルだ。


④ピアノとわずかなビート。bさんの歌声。しんみりとくるメロディ。グッとくる。
サビはだいぶメロディアスで耳に残ります。

      • -


聴きやすいダークなディープ・サウンド。


綿密なトラックメイキングで形成される空気。その世界観に合わせた圧倒的なメロディセンスで歌われるボーカル。
何度も聴いてると別世界が見えてくる。好きなタイプのサウンドです。
暗いけどポップ。この点が他の空間系歌モノサークルと一線を画すところだと思います。
日本人ならではのサウンドなのかもなぁ。


無料配布でこの高品質はヤバいですわ〜。