soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

◯ / ミニマルコンピレーション(HPなし)

M3-2010春にて100円で売られていた謎のミニマルコンピ。
曲名も作曲者も書いていないシンプルな紙一枚(ジャケ)に真っ白なCD-Rのみ。
どうやらRMTさんが中心になって14人の音屋さんが集った一枚らしいのですが、誰が参加してるかってのは公表されてません。


内容はクールなミニマル集。
ビートがガシガシ効いてるハードな曲は少なく、ダウナーな曲調が多いです。フロアよりホームリスニング向けかな?


サウンドのレベルはなかなか高い。心地良い音作りから実力者が集っているのを感じます。
曲そのものとしては3〜4分ぐらいでまとまってるのが多く「もう一段階展開して欲しい」「このノリならもっと長く聴きたい」ってのもあります。
ゆえに今作が4〜6曲のミニアルバムなら物足りなさが残ったかもしれません。しかし、今作は様々な小粒曲が14曲も入ってることでうまくカバーされています。ミニマルの詰め合わせってな感じで。
少し語弊のある言い方かもしれませんが、一曲一曲をどっぷりいくより数で勝負な印象。


ストイックというより謎。正体不明の14の曲。それが良い感じにミステリアスで面白い空気の一作です。

      • -


①ベースとクリック・リズムだけの曲。ベースの音がなんというか…艶かしい。情報量がものすごく少ない曲な分、ベース音の気持ちよさがジワジワと染み渡ってくる〜。掴みはOK。


②不穏な音色のピアノが左右のスピーカーで揺れ動く奇妙な曲。ピアノにリバースかけてるのかな?ドラッギーで浸れる。ラストに入る映画BGM(?)の逆再生がなんとなくビートルズの実験的音楽っぽくて好きです。


③力の抜けたテクノポップ気味のウワモノ。重心が軽めの曲がディープな曲2連チャンのあとにポッくるあたり、本作の基本スタンスはそれほどタイトではないのではないかなぁと予測します。フレーズは好きだけどループし続けるには弱いかな?


アブストラクト/トリップホップ風の深い曲。2:15からのサイレントとも鐘の音ともとれるような音が好き。何かが静かに覚醒するような感覚。神々しい薄暗い霧ってとこでしょうか。


⑥ノイズ/グリッチのミニマル。グリグリと動くサンショウウオ的ベースのうえを短いノイズが細かく入る。ラジオが連想される曲で非最先端なぎこちなさが気持ちいい。説明難しいけど、下敷きを曲げて弾いた時の音が妙にハマっちゃうみたいな痒いところを刺激するサウンドです。


⑧歩みの遅いベースでひたすらノソノソと。気怠げなベースと極わずかなビートが約4:30延々と繰り返されます。中毒性がある……というか何も感じないけど悪いとも感じない。トリップするでなく思考が停止しちゃうような「あ、オレ今、音楽聴いてたんだっけ」ってな感じになります。好き嫌いも判別できない変な感覚の曲。嫌いじゃない。


⑨ストイックだけどノリノリなアシッドハウス・ミニマル。耳に入りやすい太鼓(?)のリズムとその他のリズムが時にはリンクし絡みあって、時にはズレて土着的なグルーヴを作っています。こりゃ好きなリズムだ!今作で一番好きなのはコレ。


⑩相当を絞っての曲。後半に入ってくるシンセとかがKEN ISHIIっぽい。ここらへんの曲順はアンダーグラウンドミニマルテクノ良さが充満してて好きな空気。


⑪メランコリックなシンセに細かい粒のビート。こちらはOrbitalのパロディっぽい印象を受けました。機械的で幾何学的だけど温かい。


⑭キャラセレクトみたいな感じ。なんか聴いたことのあるフレーズのような……。うーむ、思い出せない。ここまで暗いムードで進行してるのに明るい曲で終わらせるのは面白い。

      • -


なかなかにレベルの高いミニマル・アルバム。ダウナーなミニマル好きならオッとなること請け合い。
ただキラーチューンには不足してるかも。ミニマルでキラーチューンってのも変な話ですが。


しかし、よくアバウトなお題でここまで同じ方向を向いた人が集まったなぁと。数曲ハミ出しすぎた曲もありますが統一感のあります。