soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2012/05/17 Boredoms @ なんばHatch

BOREDOMSのワンマン!
このタイミングでワンマン?構成はどうなるんだろう?ここ数年のドラム中心??
何が起こるか読めないドキドキ。当日まですげー楽しみだった。


30分前に到着するとスタージ前の2列ぐらいしか埋まっておらず。「え?こんだけ?」と驚いたけど、祭りが始まる前の静けさみたいでワクワク〜。


ステージにはドラム5台とEYEのセヴンナー *1が円を描いて配置されてる。頭上には大きなスクリーンが垂れ下がってる。VJが映るのかな?
そしてもっとも目立つのは後ろに用意された15の椅子。事前に15人のギターを導入してるとの情報をキャッチしてたのでそれでしょう。
整理するとEYE + 5ドラム + 15ギターの21人編成。


開場まぢかになると人も増えてきてフロアはほぼ埋まってた。Boredoms人気は健在だな〜。
そして始まったライブは今の複数ドラムによる宇宙/太陽ミュージックのひとつの到達地点とも言える内容でした。


基本はEYEの指揮によるアンサンブル。
チューニングしてるかのようなギターの音が少しづつ重なって音楽になっていく。EYEが手を掲げると音が強まる。シンバルも重なり徐々に音に厚みが出てきます。
高まってきたところでスクリーンに5ドラム+EYEを頭上から撮った映像がパッと映しだされる。綺麗な六角形を描くかっこ良さに感極まって泣きそうになりました。
ドラムの周りに配置されたライトが綺麗で儀式のようだった。中心でEYEが周ったり、屈んだりするのが鮮明に見える。実物も見たいし、スクリーンも見たい贅沢な悩み。


15分ほど漂うように音を重ねつづけ、ついに民族的なリズムがスタート。徐々に熱気にやられていく客。聴こえてくるのは「ニュー・サーーーーン♪」え、これってまさか?『Vision Creation New Sun』!
リズムが始まると同時に爆発するように踊りだすフロア。軽いモッシュも起こる。音源が発表された時代のような爆発力には及ばない。けど21人の厚みがすごくてまた違う魅力がありました。
続けて「ジャ〜ン♪ジャ・ジャ〜ン♪」と聞き慣れたフレーズ。これは『Super Going』!スネア連打からの高揚感!!「ザイオン♪」を力の限り叫びながら踊り狂う。やばい、めちゃくちゃ楽しい!
途中のスピードアップ部分はなかった。前の曲もあわせて暴力的よりもっと空間的な広がりを重視した今のBoredomsを表す演奏。


この二曲に頭をやられて残りも取り憑かれるように踊ってました。
四つ打ちでテクノっぽい曲、EYEの歌いかたがラップっぽい曲など。意外にもこの構成でも”音楽的”なんだな。メンバーがインタビューでよく言ってるけど即興性は薄い。
EYEが中心で回るのに反応して、同じフィルインをドラムが回していくのは凄すぎて笑っちゃった。
2ドラムがリズムをキープしてる間にYOSHIMIがさり気なくカウントして他のドラムが合わせる、とかぐちゃぐちゃになったなかに複雑に絡み合った計算されつくした構成。
銃弾/爆発音が飛び交う戦場の中にある頭脳戦、ってイメージが頭に浮かびました。


この景色の全体を眺めたいから途中で後ろの方に戻る。前方は当然盛り上がってたけど中ほども抑え切れないようにジャンプしてる人やら”キテる人”が何人も。
PAブースのある上の段まで下がると逆に空きのあるスペースで踊り狂ってる人多数。めちゃくちゃ盛り上がってる!
ここはここで楽しそう。いや、自由気ままに踊るって意味ではここが一番楽しそうだったかも。手すりに立ち上がって舞ってるの女性とかもいてクレイジーになってる。ステージもよく見えるし。


自分も気持ちよく踊ってたら聴こえてきた『アシッドポリス』の特徴的なリズム。「ドドドドタッドドドドドドドタンッ!」ギター全員が立ち上がっての爆音。凄かったです……。照明は決して派手じゃなかったのにビッグバンみたいなのがステージの上に見えた。


EYEの優しい声での「ありがとう」で終了。大興奮の拍手。


そしてまさかのアンコール。Boredomsがアンコールやるとは思わなんだ。
アンコールは比較的大人しい曲。音の粒子が染みこんでくるような気持ちの良い音を届けて、増子さんの誘導の元21人の演者が舞台を降りていく。


終わった直後は爆発無しで終わるのはどうか、とも思ったけどライブの帰り道にアンコール曲のリズムが頭から離れなかった。フェスの帰り道みたいな日常と非日常の間。身体がポワポワする素敵な充実感と余韻を残してくれました。


あれだけ大勢のメンバーが居て、YOSHIMIやザック・ヒルといった個性的なミュージシャンが居ながら、やっぱりすべてが真ん中で吠えて指揮するEYEへと収束していく。
大量のミュージシャンがいてもEYEのバンドなんだなと強く感じました。


いやースゴかった!
今までにない体験でした。そう”体験”と表すのがしっくりくる。
原始に戻って踊り狂った。忘れられない体験になりそうです。


*1:増子さん(DMBQ)が創ったオリジナル楽器。大量のギターネックをアンテナみたいに組み立てたモノ