soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2013/05/26 MDT 2013(ROVO、ogre you asshole、Salyu×Salyu) @ 日比谷音楽堂

昨年はじめて行って最上級の体験ができた宇宙の日ことMan Drive Trance。今年も行ってきました。
出演バンドがいままでと毛色が違うくてどうなるかと思ったけど……今年も最高だった!


前回、野音の近くでコンビニが見つからず彷徨ったのを反省して東京駅で酒とツマミを買いこみ。
野音には15:30ごろ到着。ちょうど自分の整理番号が呼ばれるくらいだった。
この時間帯だと前は埋まってるけど後方はまだスカスカ。全体を眺めたいので後方で。
結局あまり席にいないでそこら辺で踊ってたから、次回は横のほうでもいいかもな。

Salyu×Salyu

ギター(小山田圭吾)、ベース(大野由美子)、ドラム(ASA-CHANG)の楽器隊+Salyuを含めた声部隊が3人の編成。


3人で声を重ねながら人力でエコーやってる……恐ろしい。amazonのSalyu×Salyuのレビューで「サンプリングでずたずたにされた(とそのときは思った)salyuの声に一抹の不安。 (中略) なんと全部通しで歌っていたとは!ア、アホや!!そうそうたるメンツのなかで、salyuが一番クレイジーでした、というまさかのオチ。」という大好きな一文があるんですが、まさにその「アホや!!」とすら思ってしまう絶技を目の当たりにしました。声を完全にコントロールしているスゴさは想像をはるかに超えていました。



「ただのともだち」はCDよりロックはアレンジ。見てるこっちまで緊張感が伝染しそうな綱渡りの人力ボイスチョッピング・パフォーマンス。
アゲアゲな音楽ではないけど楽しい気分になる曲群を聴きながらスキップするように野音を歩いてるとめっちゃ気持ちよかったです。早くも氷結2本空けてもうた。


攻殻機動隊に提供される新曲「じぶんがいない」もフルで披露。ネットで聴ける短い部分だと別になんも思わなかったけどフルだとテクノっぽいとこともあってめっちゃ良かったです。


OGRE YOU ASSHOLE

オウガはとにかくスローテンポなんだけども、ねっとりとまとわりつくグルーヴがオシャレとは程遠い空気を作り出していました。野音に並ならぬ黒いエネルギーが溜まっていくのがわかりました。


それが爆発したのが4曲目の「素敵な予感」。ダブ的な重心が超低めのベース・フレーズがジワジワと客の身体を蝕んでいきます。その”ヤバさ”を溜めて溜めて溜めて……黒い爆発!ベース・フレーズは同じままに音の厚みが4倍くらいアップ。見事すぎる展開に自分も完全にヤラれ、上半身を大きく上下させてグルーヴを最大限に吸収してました。


5曲目で早くもラスト。それもそのはず。待ってるのは12分超えのロングアレンジ版「ロープ」。
もうこれは圧巻でした。野音という大舞台で完全に決めやがった。瞬間の熱量ならROVOと同等までいったのではないでしょうか。
ジワジワとボルテージを挙げてのインプロ。一番盛り上がった瞬間にギターが前に飛び出してトドメの一音を鳴らした絵が本当にカッコ良かった。
インプロが盛り上がるにつれ客も叫びまくり。たぶん”野音のオウガ”じゃないと見れない光景でしょう。


「ロープ」は期待値以上のモノを見せてくれたし「素敵な予感」が予想外に最高だったのが良かったです。素晴らしいライブだった!



最高のライブと酒祭りの空気にやられてすっかり出来上がってました。理性がぶっ飛び気味。売店でちくわ買って食べまくってた記憶があります。
野音最高やわ!

ROVO

ROVOが始まるにあたって、運良く良い場所を確保できました。中盤右側の柵前。表情までは見えないけど全体を見やすいし、周りも適度に踊ってる。


野音ROVOはスロースターターなイメージ。シンプルなベース・ラインが繰り返される「Batis」で演者も客もジワジワと身体を温めていく。
この日のメインは「Pyramid」という40分超の大曲を再現するというメインイベントが待っています。
「Batis」後も「Horse」「Urma」「Mattah」と続くけど、あくまで「Pyramid」の前段階。爆発しすぎることもなく野音の人々を”自然に身体を動かす”ように準備体操させているようでした。


そしてやってきた巨大三角形。
特別ver.としてsalyu×salyuのコーラス隊が登場。「Pyramid」のコーラスを完璧に再現してる。すげぇ……。
スタートはコラースに加え岡部さんのパーカッションと原田さんのハーモニカの少人数演奏。なるほどこうなってたのね。


ゲストのストリングス2人を呼んでドローン・パート。ナニかが始まる前の静寂というワクワクがあったんですが、叫び声も多くて気が散ることもしばしば。後ろの人らが「Pyramid作ろうぜ!」と騒いでたのは正直萎えました。


全員が入ってきて少しづつ盛り上がっていく。踊るための音楽に替わっていく。
ぶっちゃけ詳細は覚えてません。最近のROVOの曲によくある「キメの部分で爆発する」じゃなくて、どこまでも続きそうなミニマルが快感にかわり気付けば踊り狂ってる。ライブで聴いて「あれ?大枠はこんなにシンプルな構成だったんだ?」と思いながらもテンションは上限知らずにどんどん上がっていきました。


そして終盤。どんどん上がっていくBPM!もうわけがわからない!!とにかく楽しいって感情でいっぱい。どこまで速くなるんだっていうぐらいBPMを上げていく6人の演奏力には脱帽です。
ドラムだけから始まる最後のラストスパートは音楽が放つエネルギーの究極の次元を見た気がします。パンク・ソングで超巨大モッシュが発生したときのような勢い。スピリチュアルな意味も込めてのトランス・ミュージックとしての重み。それが同時にやってきてステージに”気”が発生しているのが見えました。リアル・ドラゴンボールです。
あまりに踊りすぎて終わった瞬間に座り込んで立てなくなりました。隣で踊ってた知らない人と膝をつきながら笑いあったのが忘れられない。


アンコールは「Astrovo」。踊りまくる系の曲ではない。もしアッパー系だったら体力が持ちませんでした。丁度いい曲調。これも今回が「Pyramid」を軸にしたライブだった、ってことなのかも。
最後の山本さんの一言はなかったけど、どうやらPyramidが終わったあとに満足気に拍手をしたそうですね*1。他のメンバーも晴れ晴れとした表情をしてたとか。ぜひ見てみたいのでDVD化希望!


野音ROVOって正直詳しいところは見れてないです。ライブハウスのほうが演奏をじっくりみれるし、曲構成とか認識できるし。でも記憶すらぶっ飛んでいく体験できるのは野音ROVOだけです。最高だった!



今年のMDTも200%楽しめました。
OGRE YOU ASSHOLEのドス黒い爆発は理性を壊されたし、ROVOの「Pyramid」を野音で見れたことは一生忘れないでしょう。


MDT最高!


*1:僕の位置からは見れませんでした