soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2014/03/16 ASTRO、KKNULL、CRIS X @ 難波ベアーズ


エレクトロニクス・ノイズな3組のライブ。
普段、日本人のノイズのライブばかり行ってるので「海外のノイズにも触れておきたいな」とfrom ItaryのCRIS X 目当てで行ってきました。


開演5分前くらいに到着すると……客2人かい!
出演者の人もまったくフロアに出てこないので寂しいことに。
まぁ、時間すぎてから少しづつ増えてきてなんだかんだで十数人くらいになりました。でも「こんな人数じゃもったいない」と思うくらいに良いライブでした。


横一列に並べられた3つのテーブルに全員分の機材がすでにセッティングされてました。おかげで転換には5分もかからなかったです。エレクトロニクス・ノイズ3組分となるとものすごい機材/ケーブルの量……。



ASTRO

長谷川洋さんのソロユニット。今回はRohcoさんとコラボ。昨年の9月に見た時と同じ編成です。


端のベンチで壁に背中を預けながら聴いてました。
密かにずっとやってみたいと思っていた”ノイズのライブをリラックスした体勢で見る”という夢が叶いました(笑)


延々と続くハーシュノイズ。お二人とも機材に集中してて顔は伏せたまま。職人な印象を受けます。


前回は気づかなかったんですが”ビヨビヨビヨ”と光線銃みたいな音が多用されてました。高速でリフレインする音はなかなかにラリってる。サイケな色の螺旋階段に迷い込んだ気分になりました。
表面は一面灰色のノイズ世界ですが、中に潜っていくと案外カラフルな世界なのかもしれません。
水江未来さんの映像が3倍速で再生されたてるようなイメージを持ちました。


リラックスした体勢で聴けたのでじっくりとノイズを浴びることが出来ました。おかげで気持ちよさはかなりのもの。前回はそこまでクルものは無かったけど今回のは良かった!


KK NULL

過去2回見たライブではしっかりとリズムがあって”ノリノリなノイズ”って印象でした。そしてコズミックノイズと呼ばれるのも納得の”隕石”が降ってくるみたいなパワフルさがありました。


今回はいくぶんかテクノ度が抑えめでドライブ感のあるノイズ。”隕石”より”宇宙船”っぽい印象を受けました。高速移動と爆発/衝突を何度も繰り返す宇宙船。振り落とされないように必死に捕まる心持ちで聴いてて、グイグイ惹きつけられました。


中盤に始まったド迫力のヴォイスノイズにはゾクゾクした。龍の鳴き声ってこんなんだろうな、ってスクリームでめっちゃカッコよかった!


ゼロ・グラビティデブリ飛来シーンを過激にして延々に見せられた感覚。スリルがあるライブで面白かったー。


お決まりの締めの咆哮も見事に決まった!コレ大好きです。




CRIS X

イタリアからやってきたソロユニット。フライヤーのプロフィールには”インプロバイザー、サウンド・ビジュアルアーティスト”となっています。Justin(Godflesh / JESU)みたいなシャープな顔つきでかっこいい人です。


前半はダークアンビエント的なホラーシンセでベアーズを暗黒空間へと変える。うっすらとノイズを効かせていきます。途中、数秒間だけ完全に音を止めて再始動させてホラーからノイズ色が強くなっていく。ノイズのライブで完全に音が止まるって初めてかも*1。めちゃくちゃカッコイイ瞬間でした


私が座ってる側からは何を持っているかよく見えなかったのですが、おそらく鉄板のようなモノを脇に抱えて捻ったり、高く天に掲げたりと魅せるポーズでノイズを放出してたのが印象的。


暴力的なノイズが間近にあるんじゃなくて、不穏なナニかが微かに感じられる距離感のあるカオス。『2001年宇宙の旅』の静的な怖さを連想しました。
雨の音や鳥の鳴き声などミュージック・コンクレート要素もあり。ノイズ一辺倒とは違う研ぎ澄まされた感覚があって非常によかったです。静の部分が際立つノイズ……ってのはあまり見たことがなかったので新鮮でした。


最後は持ってた鉄板(?)を投げ捨てて終了。




各人のソロで十分満足したので「さて帰ろうかな」と支度をしてるとPAさんから「このあと全員でのセッションがあります」とのアナウンス。
「ほー、そんなおもしろ企画が」と気軽に構えてたんですが、このセッションがものすごいことになりました。

全員セッション

それぞれが演奏したテーブルの前に立ってスタンバイ。音出す前から、4人が一列に並んでる絵の時点ですごい。


誰ともなく音を出していく。最初は「ドーーン」という大きい音が定期的になるKK NULLさんの色の強い始まり方。次第に各人のボリュームが上がってきてとんでもないノイズの嵐が巻き起こり始めました。ヤバい、音でぶっ飛ばされる!


中盤のそれぞれが得意な音を出しあったはパートガチバトルでさながらノイズ怪獣大戦争でした。CRIS Xはサイレン音、KK NULLさんはマシンガンのようなバスドラ連打、ASTROは異星人が放っているようなビヨビヨビヨという音。宇宙船での銃撃戦のど真ん中にいるようなド迫力でこっちもど興奮。今まで見たノイズのライブでも5本指に入るくらいに「ヤバい!」と思った瞬間かもしれません。


意外にも一番熱くなってたのが長谷川さん。ASTROのクールなイメージとは違いマイクを握りしめて叫びまくってました。機材を操作する手つきも荒々しい。
終わらせ方がわからなくなってそうな探り合ってたように見えた終盤もKK NULLさんが締めようとしても長谷川さんがノイズを放ち続けてた、ってシーンがありました。


ソロだと知的な雰囲気すらもあった3名が大爆発した合体セッション。各人が負けじと音を出しあった結果、時空が歪むんじゃないかってぐらいにすごい音空間が出来上がりました。いや〜すごいモン見た!


純度の高いノイズをがっつり浴びることができたとても有意義な3マンでした。

*1:だいたいハウったりしてる