soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2014/07/17 Fernando Kabusacki with 山本啓、景山奏、川上優、堀川達 (from Nabowa)、山本精一 @ UrbanGulid

京都のライブハウス・アーバンギルドでカブサッキ。
前日のベアーズに続いてカブサッキ・ジャパンツアー2014の参加は2つ目です。


お相手はNabowaのメンバー全員 + 山本精一さん。珍しい組み合わせ。バンドとしてのNabowaは何度も見てるけど各者の即興は初めてみます。たぶん各メンバーとも即興ライブはそんなにやってないんじゃないかな?


なにげにアーバンギルドは初訪問です。*1
木材が基準で落ち着いたスペースでいいですね。想像してたより天井が高くて広い空間で驚きました。
料理がおいしいと聞いてましたが……タコライスを頼んでみると……うん、確かにウマイ!他にも美味しそうな料理がメニューに並んでたのでまた(食べに)きたいですね。


店内でずっと流れてたnabowaの曲に心地よさを感じながら、何気なくライブがスタート。

Fernando Kabusacki + 景山奏 + 山本啓

Nabowaからはギターとバイオリンの二人。弦楽器オンリーによるトリオセッションから始まりました。


カブサッキ特有の壊れそうな音響ギターにバイオリンが重なる。ブワーッと広がりがある穏やかなセッションでした。nabowaの二人からはまだ緊張してる感をちょこっと感じました。

Fernando Kabusacki + 川上優 + 堀川達

今度はドラムとベースのリズム隊ふたり + カブサッキ。


リズム隊ふたりの強固っぷりをがっつり感じました。この二人がいかにnabowaの土台を作っていたかがわかる。
軽快なドラムとツボを押さえたベースは難しいことを考えずにわかりやすくノリノリになれました。まさに”グルーヴ”を作ってた。


ふたりがグイグイひっぱていくその上でカブサッキが弾きまくる。その表情はとてもにこやかでした。
とにかく弾きまくりで”音響派ミュージシャン”より”ギタリスト”としてのカブサッキが強く出ていました。おそらくそれだけ弾きやすい土台が用意されてたんだろうなぁ。


フリージャズ系統のインプロ/即興より、ファンクバンドのジャムって感じがしました。しっかりとビートがある。次の展開を探す即興特有の時間帯がなく、まるで完成された曲を聴いてるみたいでした。


このセッションは自分のツボをクリーンヒット。100%の拍手を送りました。もうこのメンバーでバンド組んじゃえよ、ってなクオリティでした。




少し休憩して二部へ。



Fernando Kabusacki + 山本精一

フライヤー曰く、今回の山本さんは「影武者アルゼンチン」という謎の肩書きでしたが、蓋を開けてみると影武者どころかどんどん前に出て弾きまくってました。


音響派/アンビエントな演奏は少なめで二人ともとにかくよく弾いてた。湿っぽさのないカラッとしたギターは60'sロックみたい。”ギタリスト”というより”ギター少年”ってな具合に弾きまくる山本さん&カブサッキは新鮮でした。そしてカッコよかった!


お互いがステージで一番遠い場所に座りながら、完全に意思疎通できているのがモノスゴイ。山本さんが突然ガラッとフレーズを変えても2秒で反応するカブサッキには恐れ入ります。


即興とは思えない安定感。なにひとつ不安を持たずにお互いのギターを絡めていく。さきほどnabowaリズム隊+カブサッキを「もうバンド組んじゃえよってぐらいの完成度」って書きましたけども、このお二人はさらに上をいってました。出す音がとても自然。静かな化け物二人の名セッションでした。



次は全員でのセッション。山本さんが「そのまま続けます」と言った直後にカブサッキがどっか行っちゃってポカーンとしてたのが面白かったです(笑

Fernando Kabusacki + 全員



とびっきりポジティブな始まり方。まるで「マウンテン・マウンテン / cero」や「シカゴ / クラムボン」…もしくは「SUN / Nabowa」か。一瞬で目の前が野外ステージに変わるような演奏にこみ上げるものがありました。*2


5人で土台を作るなか、被さっ気が立ち上がってド強烈なノイジーなギターをうならせる。パンク的ではなくエナジーに溢れたポジティブなサイケ。ジャパノイズとは明らかに違うその音/姿に痺れました。


しばらくすると演奏は落ち着いていきました。でもビートはしっかりと続くのが良い。アブストラクトになりすぎない。


後半はちょっと減速気味なところがあり、ピークは演奏が始まった時でした。最後は少し続きすぎなところもあったかな?
一部入り込めないでいたメンバーもいたのはかわいそうではありました。まぁ、直前であんなデュオ見せられたら……?

Fernando Kabusacki

アンコールでソロ。


羽毛みたいな柔らかい音。最初の一音で「うわあ……」ってなりました。この人の音は「こんな綺麗な音が世界に存在するのか」と音楽観が変わるレベル。


一瞬でフレーズを作って重ねていくお得意の技も披露。毎回言ってますがホント魔法みたいです。


最後は、少年が歌ってるみたいなかわいらしくて幸せなフレーズ。それに下水道/洞窟を降りていくみたいなエコーがかかっていく。
下水道で幸せそうに歌ってる少年のカメラショットがフェードアウトする。そんな映画のワンシーンみたいな映像が鮮明に目に浮かびました。それぐらい具体的な情景を思わせる音でした。


2013年のカブサッキ・ソロは自分の音楽人生で一番感動した即興演奏のひとつです。その時は3.11を連想させるノイズで終わりました。
今回も少年の歌フレーズのあとに一瞬だけネガティブな方向に向かいそうになって心のなかで「そっちにいかないで!」と強く思いました。その想いが通じたかのように幸福な空気のままでソロが終わりました。
今回のライブは最初から通してポジティブだったので、ソロも幸せに終わってくれたのが嬉しかったです。


個人的には前日のベアーズより良かった。ジャムとしての楽しさに溢れてた。京都だからどうしようかなぁ、と思ったけど来てよかったです。名演!


*1:大阪のライブハウスはあまり行かないので京都のライブハウスには疎いのです

*2:幸せすぎる音楽、情景を見ると泣き出すタイプです