2016/11/21 山本精一ラジオドラマ 『サルガッソーからの脱出』 ＠ 難波ベアーズ

山本精一さんの謎イベント・ラジオドラマ『サルガッソーからの大脱出・その他』。
ベアーズ的な意味でスゴすぎました。やったことはそのままラジオドラマです。
山本さんは”狂気”とか”奇天烈”とか”キ◯◯イ”って単語でカテゴライズできるレベルじゃなくて存在自体が別時空なのかもしれない。水道メガネを越えて2016年１番のカオスでした。

山本さんはゴーグルにハット姿で登場。必要最低限で最高潮に奇妙。ゴーグルの下にメガネかけてるし……。
ギターでBGM……的なことはほとんどやらずセリフの読みに専念していました。
作ってきたオープニング曲をPCで流しながらアコギをかき鳴らしてたけどマイクが入ってないのかまったく聴こえない；

演目通りに声＆音だけのラジオドラマを一人で演じる。音楽ライブ的な要素はほぼ無いような…あったような。
びっしり書き込まれた（であろう）台本ノートを読みながら、音楽に合わせて山本さんのあのセンスのあのクオリティのドラマが展開。

セリフは決まっている様子。読み方が辿々しい。たまにアドリブ入れてる？
ごく真面目にラジオドラマを遂行してる。たまに自分のセリフに吹き出してたけど。厨二なセリフも大量。

なにが奇妙って”間”が奇妙。変なとこに間が入る。考えてるのかぼーっとしてるのか。意図的なのか。
ラジオのチューニングをノイズ発生装置にしてBGMに。シンプルに耳障りな音。なにがしたいのかはなんとなくわかるようなわからないような。台風の音にしたり、異次元を表現したり……なのか？

ストーリーはしらすうなぎに誘われてサルガッソーで漂流する話。維新派とかレッドタートルを連想したのは自分だけ？

急にリクエストコーナーでフリージャズを聞いたり、CMが入ったり、宝塚的な歌がはじまったり……とラジオドラマあるあるなネタも多く詰まってました。そのクオリティがギリギリでずっと面白かったです。

何をやってるのか、何を見せられてるのか。
いや、何がやりたいかはすごくわかるんです。
けどなんでソレをやりたいかと思ったのかがわからない。
世界観とか奇抜な表現とかじゃない、もう混沌の構造が違う。
そんなカオスの渦に巻き込まれ脳がショートしそうな約1時間でした。
爆笑するでも吹き出すでもなく、今までしたことない”ニヘラ～”って笑い方をし続けてたので頬の筋肉がおかしくなりました；
唯一無二すぎる笑いの空気。

で、ラジオドラマが終わった後のライブ演奏（？）がまたスゴかった。
ラジオドラマ直後にやったアコースティックギターは名演でした。あんなカオスなドラマをやったあとに超上品なギター。姿はゴーグルにハット。そのアンバランスがジワジワおもしろくなった。

”一曲だけで終わる”と言いながらなかなか終わらず。
「しらすのテーマ」（おそらくラジオドラマのテーマソング）を歌ったり、
”最後に有名な曲を歌ってお別れします”→「雪の降る街を」→苦笑いとか……エンジンがかかってきた……否、エンジンがかかってない状態で止まらなくなってた。

”表現のソコの極地までいってみようか……”
”スカムにすらなってないな”
”いけるとこまでいってみようか”
”もう10時やないか”

探り探りでその場かぎりの表現＝１番の混沌。しだいに山本さん完全に壊れだす。
弾く音に合わせて歌う。チョンチョンって弾きながら「ミョンミョン」って言う。ニャ～と鳴く。コンコンってギターを叩く（一流のミュージシャンが絶対やらないことでしょう；
なかなか帰らない。手を前にスライドするポーズで「しらすのこんちゃん、ありがとう」と呪文（？）を×10ぐらい。
「いい加減にしろ～！」って言いながらラジオをステージ前に投げ捨てる。無言でラジオを指差す。定規で叩く（爆笑）

一度はける。
拍手ないのに”アンコールありがとう”と帰ってくる。
また”こんちゃん、ありがとう”。
はける。戻ってくる。
はける。袖から覗いてる。

そんなことを結局1時間以上やってたんじゃなかろうか。最終的にはこっちも脳は完全におかしくなってました；

ココぐらいが書ける限界です。
お客さんは20人ほど。この名（迷）演をそれだけの少人数しか見てないのはもったいない気もするし、かくあるべきな気もする

そういやフライヤーに書いてる「DJ：引力のぞきからくり」はなんだったのだろうか？会場前に音楽は流れてたけど……？

今日わかったのはチューニングが完全じゃない状態、エンジンがかかりきってない状態で止まらなくなってる狂人が１番ヤバいなと。ゾーンとある意味真反対のヤバい状態。