soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2017/02/22 Jeff Mills × 東京フィルハーモニー交響楽団 @ フェスティバルホール

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職場がフェスティバルホールに近いのでランチタイムに周辺をウロウロしてたら、会場までの道を訊いてきた外国人とジェフミルズの話で盛り上がった有意義な昼……を経ての夜にJeff Mills × 東京フィルハーモニー交響楽団


湯山玲子が企画する”爆クラ”というイベントのひとつ。題名のない音楽会でも話題になったジェフ・ミルズとオーケストラの融合が見れるとワクワクしてました。客層はクラブミュージック層もいたけどメインはクラシック層かな?


最初はジェフ・ミルズ抜きでジョン・アダムスのクラシカル・ミニマルやドビュッシーなど。黛敏郎の「BUGAKU」は雅楽器を使わずに日本っぽいムードを出してて面白かったです。


問題曲の「100台のメトロノームのための」は演奏者が手元にあるメトロノームを一斉に鳴らす、というもの。基本それだけ。BPMは全部バラバラ?テテテっ!っとビニール屋根に雨が当たる音に聴こえました。
次第に1台1台とメトロノームが止みむことで音が減り、散らばってた音が波のような流れになっていった。最後の1台が止まるのを見届けて終了。ほー、足し算の音楽になるとは意外でした。


第一部の最後にジェフ・ミルズが登場。テクノ・クラシックの「The Bells」をオーケストラで演奏。ビートはジェフ・ミルズがDJで鳴らす。ステージ脇に大きなスピーカーが配置されてて、デジタルサウンドもなかなか強力な音で鳴ってました。
聞き慣れたDTMフレーズがハイクオリティな生演奏に生まれ変わるのは鳥肌モンでした。暗くして簡単な照明効果もあり。



第二部に60分のジェフ・ミルズがオーケストラ用に初めて描き下ろした新曲「Planet」を披露。


前半はビートの効いたミニマルな展開。途中でブラス楽器が退席。そして客席の四方に登場して演奏。サラウンドで聴こえてくるミニマルサウンドに脳がグワングワンと。アイディアとしてはシンプルですがめっちゃ効果的に働いてました。


終盤20分ほどは小さな音の旋律とドローン的な演奏に移行。
ジェフ・ミルズのチルアウト的なデジタルサウンドが前面に出ててクラシックとデジタルどっちがメインか、という境目が無くなった感覚がありました。蕩けるような気持ちになって静かに終了。


融合が新しい次元に連れて行ってくれた!とかでもなかったかなぁ。
でもスピーカーからだけ聴こえるDTMのチルアウト/アンビエントとは違うジェフ・ミルズの”宇宙”がありました。


ジェフ・ミルズの場合はまず根っこにテクノがあり、チルアウト/アンビエントを作ってもテクノの要素が見え隠れします。さらにそのチルアウト/アンビエントがオーケストラ用に書き下ろされる、という2段階の転生が感じられるのも面白かった。


やはり今日のメインは「bells」でも「メトロノーム」でもなく60分大曲の「The Planet」でした。
効果的に働いた"ギミック"からのチルアウト/アンビエントな展開により精神が宇宙へ……。