soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

山本精一のCD-Rレビュー (Physical Fantasia取り扱い音源)

https://physicalfantasia.stores.jp/
先月、山本精一さんのTシャツやCD-R音源を販売するネットショップ・Physical Fantasiaがオープンしました。
応援もこめて扱ってるCD-Rをレビュー……ってか紹介しようと思います。
いままでライブ物販でしか手に入らなかったCD-Rを通販でゲットするチャンス。
購入の参考になれば幸いですー。

premiere guitar

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ギター・インスト。
アコースティック・ギターのクラシカルな演奏の後ろでフィードバック・ノイズがうっすらと鳴っている。
アナログな感触なのにエクスペリメンタルな雰囲気がある。
闇の世界でアコギを弾いているみたい。
温かく包まれてる気持ちになるけど、包んでいるのは灰色の世界。そんな独特の趣のある1枚。

Bluesless Emotion

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山本さんの考える「ブルース」という概念を表現したギターインスト。
ブルーノートを使用しているけど曲調はフリージャズっぽかったりアンビエントぽかったり。
ブルースをまったく感じないのが面白い。
アプローチが興味深い1枚。

Milky Way

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ライブハウス・外での素晴らしいアンビエントライブの録音。

鐘の音っぽいギターが間隔をあけて響く。雅楽/エスニックな空気。
しだいに持続的な音が奏でられ、完全なるアンビエントドローンになっていく。ここからの気持ちよさが半端ない!

音のセンスが神がかってる。存在感ある音が耳から身体に入り、内から拡張される感覚。
ほっこりする温かいアンビエントは山本さんでは珍しいスタイル。

54分間、音にがっつり浸れる良盤。週イチくらいで寝る時のBGMにしています。

Arpeggiate

あ、持ってない!物販では何度か見かけてたのに……ゲットしないとー。

7th string - Seiichi Yamamoto's chaotic guitars

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27分ワンテイクのギターノイズが収録された大名盤。
意外にも山本さんにとって初のギターノイズ音源だそうです。

凶々しいノイズが耳に叩きつけられる快感。ノイズのブルドーサーが脳を抉り揺すってくる。
暗黒ドローンノイズと破壊的な高速ストローク
CDなのに山本さんの鬼の形相がギターをぶん投げてきそうでハラハラする。

前半からかなり音が大きいのだけれど、中盤からさらに音量がアップするので要注意。(フルテンにした?)
音量アップからの凶暴性は本気でヤバい。生命の危機を感じるレベルです。
このときに鳴ってる音がまたカッコいいんだ。そのあとのサイレンのような爆音も怖いコワい最高。

人生で聴いたノイズ音源で一番好きかもしれない。凶暴性抜群のウォール・オブ・ノイズ。大必聴!!

Complicated sign

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ギターノイズ二枚目。
『7th string』が音の暴力で360°を塗りつぶした内容だったのに対して、こちらは多彩な音を出している印象。
出ている音はあくまでも黒/灰色系統ですが、足元がノイズ化してる間隔だったりSolmania的なノイズのリズムがあったり。
強力な1枚なんだけど『7th string』のあまりのインパクトに影の薄さはあるかも。

In rehearsal for Old Rashinban Songs (山本精一/須原敬三/吉田正幸/伴野健)

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2018年に行われた羅針盤の初期メンバーでのライブ。その時のスタジオ・リハーサル音源を5曲。
リハーサルといえど演奏のクオリティも録音状態も素晴らしいです。
歌ものだけど楽器の音に存在感があってとてもエネルギッシュ。

即興インストセッションも素晴らしい。たゆたうサイケセッション。
そして最後に収録された「SONG LINE」は涙モノ。
サイケにドライヴする……というより温かい空気を持ったまま昇天していくのが感動的。
羅針盤好きなら必聴の1枚。
またスタジオ音源で羅針盤の良さがあまりわからなかった人もこの生々しいテイクを入り口にハマっていく可能性も?

Improvised Guitar Duo #1 (山本精一 & 津山篤

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想い出波止場のふたりによるnot想い出波止場な即興セッション・ライブを6テイク収録。
アコギ、エレキ、笛などを使用しており、音もクラシカルだったり実験的だったり色んなジャンルを展開してる。

アバンギャルドではあるけど想い出波止場のカオスなスタイルとはちょい違う。凄腕ミュージシャンの質の高いセッション。
どの曲調でも阿吽の呼吸で合わせにいくのがすごい。なんでコレが即興で出来るの?
BGMより集中して聴くのに向いてるCDです。

OUTMAN (想い出波止場

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想い出波止場の過去音源を山本さんが再構築した48分の一本音源。たぶん2009年にリリースされたCD-R。

ほぼSEが鳴ってるだけの場面もあるし、唐突に曲が変わったりもして最初ははてなマークが浮かぶ。
けど気づいたら聴こえてくる音の心地よさを覚えている不思議。
ぶつ切りなカオス編集さえも”らしさ”になるのが想い出波止場という存在のすごさ。

ストップ&ゴーを繰り返す「Out Rockers on Your Angel Hair」に休符/BPM変化/過剰パン振りをしてるの部分が好き。頭おかしくなる変態性と快楽。ダブアレンジのような趣もありますね。
床をドラムスティックで叩く音がずっと続く終盤パートもむず痒いのに気づいたら虜になってる。
最後に「Mantral」っぽい素敵な昇天サイケで終わるのがまた反則。

クセの塊。でも素晴らしい音がいくらでも鳴ってる。聞けば聞くほど新しい発見がある1枚。

HEAVEN (想い出波止場

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2018年の想い出波止場・ライブに合わせて作成された5曲入りCD-R。

一曲目がDinosaur Jr.やDEERFOOHあたりっぽいオルタナティブな曲。これがめっちゃカッコいい!!ヘヴィなリフ&グルーヴに痺れる。ロックバンドとしての想い出波止場の魅力が詰まった名曲。

二曲目からスカスカな打ち込みだったり、某・蛾の怪獣の声ネタを反復するだけの曲だったりとヘンテコな短い曲が入る。
そして最後めっちゃカッコいいオルタナに戻る。
コンパクトだけど変態性と普遍的な良さが詰まった良盤です。




個人的にぜひオススメしたいの『7th string』『Milky way』と想い出波止場の2枚。
特に『7th string』は大推薦盤。ここまで聴いてて怖く、そして凶暴な気持ちが湧き上がる音源はめったにないです。


ミュージシャンが大変なことになっているこのご時世。
ちょっとでも気になったCDがあればサポートの気持ちもこめて購入してみるといいのではないでしょうか?