soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2014/03/13 四万十川友美、水野智広、犬風、4月44日(3月33日+みやけをしんいち) @ 難波ベアーズ

平日のベアーズにて。
3月33日が久しぶりに見たくなったのと四万十川友美さんの2ndアルバムが試聴したかぎりかなり良さげだったの行くことにしました。

四万十川友美

女性みたいな名前だけど男性。ギターの弾き語りスタイルです。
見るのは二回目なんで衝撃は薄れてるだろうと思ってたけど……予想を上回ってがっしり心を掴まれました!


まず楽曲にある抜群に良いメロディセンス。ひとつひとつのメロディが強烈なフックになってる。サビ的なキャッチーさよりAメロBメロのちょっとした良い部分みたいな……例を挙げるなら「チョコレート・ディスコ/Perfume」のBメロとかの良さみたいのがたんまり詰まってます。


そして四万十川さんの声にものすごく力があります。
暑苦しいわけじゃないけどひたむき。歌を歌うことに意味を見出そうとしてる。そんな声の出し方に集中力が向きます。それによって歌詞もスイスイと脳のなかに入ってくる。
あと「ディダンドン♪」「a〜he〜he♪」など多用するハミングがただのメロディじゃなく歌詞と同じくらいに”意味”を感じました。表現が全部音楽しててなんだか泣きそうになりました。


あと、これだけパワーのある歌を少人数の前で披露してるって事実が良かったな、とぼんやりと思いました。
この先で四万十川さんがどれだけの人数を前にして歌うかはわからないけど、十数人の客の前で歌の力強く「ディダンドン♪」と歌ってる時間がこの日は確かにあったってのが……自分の中でも漠然としててうまく言葉にできないけど……いいなぁと思いました。*1


うーん、今回の持ち時間だけじゃ足りない!「え、もう終わり?もっと聴きたい〜」と思える良いライブでした!


水野智広

こちらも男性のアコギ弾き語り。


昔の歌謡番組の映像で耳にするような歌。ちょっと女らしい歌声でフォーク歌謡のような……パッといい例が思いつかないですが女性的な歌い方をしてる時のさだまさしみたいな?
そのスタイルをあまりに徹底しているので、なんだか30年前の日本を生きてる人みたいでした。


歌詞や振る舞いはシュール。歌詞的にまだ続くかなと思いきや20秒で曲が終わったりなんだか変わった人でした。


最初はシュールさにあっけに取られましたが、途中から世界観に染まりつつありました。

犬風

こちらも男性の弾き語り。ただし楽器はエレキギターで歪ませまくったサイケ弾き語り。


ノイズじみたギターがかなり効いてました。音量もかなりデカイ。
最初はボソボソと静かに歌ってたけども、ときたま絶叫…といより死霊の声のような喉を締めあげた高音で歌う場面もありました。


聴きながら自分の頭に浮かんだフレーズが「和の怨念 meets モグワイ」。
歌や雰囲気は日本怪談みたい。そのままだと日本のフォークやそこから派生したサイケデリックとかよくあるパターンになりそう。でもマイナー・コードの轟音ギターはモグワイにそっくりなところもあって、ちょっと違うなと思いました。
モグワイと日本がこうも綺麗に噛み合うのか!?」と感動しました。


長い一曲?もしくはノンストップで数曲?
目の前にいるのに顔が見えないほど暗くしたライティングも手伝い、統一された世界観に魅せられました。


ただダークで重苦しい雰囲気なだけでなく、ときたまモロにブルージーなフレーズでロックしたりとシンプルな曲の良さもありました。


4月44日(3月33日+みやけをしんいち)

お気に入りの歌モノ・トリオ3月33日。今回はサックスのみやけをしんいちさんを迎えて4月44日として出演。曲は3月33日の持ち曲です。


みやけをさんのサックスはシンプルに楽曲に味付け。難しいことはせずに温かみのある音で3人に寄り添っていました。


しかし、3月33日に1人加わるとここまでバランスが変わってしまうのか……と驚きました。3人のコーラスやくらみらく流さんのギターの意味が全然変わってた。それが悪いってわけじゃなくて違う魅力がありました。自分の中では3月33日と4月44日は完全に別モノだな、と。


オリジナル編成で好きだった、(佇まい的にも)頼りがいがあるとは言い難い3人だからこそ生まれる緊張感といった部分が消えてたところもあるし、逆にサックスの音色が増えてきらびやかになることで普遍的なポップ感などいままで見えなかった良さが出てきてるとこもありました。いや、ポップな部分は持ってるバンドだとは思ってたけどもここまでだとは……。


一番良かったのは「かえる電車」。サビでグワッと盛り上がるアレンジには鳥肌を通り越して寒気がしました。
「川に足をさらしながら」の頭30秒ほどはみやけをさんが休んで3人だけに。この時は明らかに空気が違いました。いつもの3月33日だった。


ラストに四万十川友美さんをゲストに呼んで昨年のツーマンでも演奏した名曲「ギター」。良い曲だな―。




目当てだった四万十川友美さんと3月33日あらため4月44日は歌が存在証明になってる素晴らしいライブだったし、犬風と水野智広さんも個性的で面白かったです。


想像以上に満足度の高い一日になりました。

*1:フェスで少人数しか客がいなかった時のライブが異常に心に残ったりするのに近いかな?