soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

TAIHAism Trico Trial Version / Giant Ant Unit

ノベルゲーム体験版。キャッチコピーは「ほとんどのギャルゲーへのほのかなアンチテーゼ」。ほのかなってのがミソ。
プレイ時間は4〜5時間ほど。面白かった!



絵は結構上手い。特に元気のあるキャラはシリアスな顔もギャグ顔も良い味出しています。
作品通常状態でもフルウィンドウぐらいにデカイ画面サイズは迫力があります。
時間経過のカットインがセンスある。
一見味気ないように見える背景もプレイしているうちに作品にあってるんじゃないかと思えるようになってました。
選択肢が変わっていて、時間制限があったり、画面の端に表示されたり、動いたりと面白い。
システムインターフェースの時点で普通のギャルゲーと違った空気を醸し出しています。
BGMはノベルゲームらしいBGM。まぁまぁ良い曲もあります。


全自動化が進み、人間は働く必要が無くなった。同時に生きがいを失った。
世界は活気を失い、無気力な精神状態「タイハイズム」が蔓延した。
陽一は「ユニーク」と呼ばれる数少ないタイハイズムに罹っていない人類。ユニークの外向性はタイハイズムに好影響を与えると言われている……という話。
設定の時点でガッチリ私のハートを掴みました。主人公と一人のヒロイン以外はタイハイズムでどこかおかしい所があります。
廃頽的な設定の割にキャラ同士のトークは楽しげ。
キャラも魅力的なヤツらばかり。
特にマホ毛ばりに頭が弱い柊が良いキャラしてます。喋れば笑えるナイス発言ばかり。他にも、柊といっしょにドタバタしてる真燈やクールになようでネタになってる榎などもお気に入り。
前半の和気あいあいとした雰囲気に油断していると、後半のドロドロした展開にガツンとやられました。
普通とは違った世界に生きる人々の奇妙な価値観による恋愛ストーリーは他のギャルゲーと一線を画します。ラストはかなりショッキングな展開。
これは人を選ぶシナリオだろうな。タイハイズムが蔓延している世界と現代の人々の考え方の違いをどこまで受け止められるかが肝になるでしょう。


表面は爆笑できる軽快トークでとっつきやすい。しかしギャルゲーへのほのかなアンチテーゼというだけあって、ユニークな設定とひねくれた展開が潜んでいます。あと結構エロい。HPを見るに本当の意味でのアンチテーゼな部分はまだ出てきていないようですが。
個性があって読みやすい。
これは傑作の予感がっ!