soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2011/10/15 SATURN daylight @ なんばHATCH (LITTLE CREATURES / 七尾旅人 / SAKEROCK / サニーデイ・サービス / トクマルシューゴ / イルリメ / MaNHATTAN / 浦朋恵リズム&ブルースブレイカーズ)

なんばHATCHで行われた昼とオールナイトの夜の完全入替二部制イベント。昼夜どっちも参加してきたけどまずは昼の部から。
客は同日開催してたMINAMI WHEELに獲られてたのか6〜7割ぐらいしか埋まってなかったけど、一筋縄じゃないかない変わり種バンドが次々と出てきて面白かった〜。

七尾旅人

意外な一番手。自分は5分ほど遅れて到着したけど、まだ曲始めずに昔フィーメールラッパーに乱入されたとか大阪のどうでもいい思い出を語って笑わせてた。


と、気の抜けたスタートからおもむろに一曲目に「圏内の歌」。真上からライトアップされる七尾旅人と聴こえてくる壊れそうなほど繊細な音。始まった瞬間から泣きそうになりました
「星に願いを」の日本語カバー → サビがいままでになくポップな新曲 → トラックありの新曲・「サーカスナイト」 → 「どんどん季節は流れて」と続く。「どんどん〜」の合唱は大人しかったかな?後ろの娘がすげーかわいい声で歌っててドキドキしたw


最後の「Rollin' Rollin'」ではイルリメ先生を呼んでのスペシャルバージョン!アガるわ〜。
やけのはらのリリック無視のフリースタイル。始まる10分前に声かけたとのことでスムーズではなかったし旅人の歌が崩れるところもあったけど、トリミングの歌詞を取り出したり、投げキス連発したり、最後は二人で寝そべったりと仲良さそうにやりたい放題してて面白かった。イルリメが出てきた瞬間の「うわっ!マジで!!」っていう興奮。こういう空気を作るのが七尾旅人は上手いよなぁ。


震災直後に七尾旅人を見たときに比べて、飄々とした語り口に戻っててだいぶ立ち直った気がする。でも現状に対してしっかりと行動/メッセージを送ってるのをヒシヒシと感じました。

SAKEROCK

ホニャララインストバンド。昼の部で一番の目当て。
本番ではやらなかったけど音あわせで大好きな「菌」。ほぼまるごとやってくれたから満足〜。


「KAGAYAKI」でスタートして「ホニャララ」「慰安旅行」「MUDA」と代表曲&自分の好きな曲から多くやってくれた♪
「ホニャララ」はキーボード無いと少し寂しいな。スピードアップからのフレーズはハマケンが必死に吹いてました。
大地さんがMCで「演奏を見ながら頑張れと思う音楽家はハマケンだけだよ」って発言がまさにこの時の自分の気持ちと一致してて吹いたw


大地さんのドラムテクの凄さはわかってたけど、星野さんのギターがすごくテクニカルなのにびっくり。特に「Green Mockus」のソロ部分は「おぉっ!」て痺れた。


MCは笑い殺す気かってぐらいに爆笑のかけあい。「自分のことしか考えてない」と言われたハマケンが上から目線でメンバーにコメントししいって全部玉砕してたのは大笑いした。それと最後の変顔ふたつも最高〜。


でもなんだかメンバーのテンションが低かった気がする。肯定的なマッタリ感ではなくノリきれてない感じ。特にハマケン。
最後のMCでやっとテンションが上がってきた気がする。そこから「MUDA」での合唱は感動的。改めてイイ曲だ。


イルリメ

七尾旅人でサプライズ登場したイルリメがサブステージで本チャン。
ちなみにサブステージは普段HATCHのエントランスに使われている場所をデコレーションして素敵空間になった場所。スピーカーやスチームオブジェとか渚音楽祭の太陽ステージをそのまま持ってきてたな。


ヒップホップ外もひっくるた作りこまれたトラックにも定評のあるイルリメ。楽しい
早口でもまったく噛まないラップスキルもさることながら、客の動き、フロアの空気を瞬時に読み取って切り返してくるMCがすごい。
ボールを配ったり、クラッカー鳴らしたり、客にリズムマシンを操作させたり、とフロアを楽しませるためなら音楽以外のことでも遠慮なしにどんどん組み込む生粋のエンターテイナー。それでいて「細かいことは俺にまかせ ボタンを押して客を沸かせ」「ダンスが始まったら 思わず笑っちゃうな」とどこまでも「音楽」を感じさせてくれるミュージックライブでした。


最後はフロアへ降りて名曲「トリミング」。綺麗に出来た人間の花道を行ったり来たりして存分に沸かせていった。下の動画の最後でもチラッと聞こえるけど、終わったあと「良かった〜」と言えるエンターテイメント・ライブでした。

トクマルシューゴ

ミニマル、民族、現代音楽など難解な音楽を消化してソフトなロックへと落としこんだサウンドが特徴の通が大好きなバンド。ライブは初めて見た。


ピアニカ、笛、トイピアノ、ウィンドホースなど色々な楽器、むしろ音が出れば楽器じゃなくても次々と持ち替えて演奏していくのは観てて/聴いてて非常に面白い。


ロック面はトクマルシューゴ本人のギターテクニックと二人のツインドラムがガシガシと引っ張ってくれる。ツインドラムは同じフレーズを叩いてても静と動の両極端のアクションが対比できて面白い。動の人のドラムはアクション激しくて見てて気持ちよかったなぁ。


クラッピング・ミュージックみたいな手拍子や鉄筋/木琴のミニマルフレーズなどの現代音楽フレーズを取り入れながら優しい音色に。「Rum Hee」のメロディにやられ「Green Rain」の独創的なアレンジメントに驚き「video kill Radio star」のカバーもグッときた。


面白い。そして心地よい!


MaNHATTAN

赤犬のドラム + The Miceteethのキーボード二人のインストバンド


リズムは跳ねてるのに全体はダブ感覚で充満してる面白い音楽。ウォッカがスローなスピードで身体中を充満していくみたい。ズブズブと気持ちよくなってくる。
ドラムビートは面白いし、キーボードのフレーズがイチイチお洒落でたまらない!


演奏している見た目も面白かった。
あんながっつりメンバーを凝視しながら演奏するバンドは初めて。お互いがお互いを見守ってるみたいな感じだった。
気怠げな表情をしながらふとしたタイミングでニヤっと笑うのが「本気で音楽を楽しんでるなぁ」と観てるこっちまでにニヤけてくる。スカやアイリッシュフォークみたいなとにかくテンションが高くて笑うんじゃなくて……うーん、説明が難しいけど下の動画見たらすこしはわかるかも?


ステージが狭いのでキーボードに隠れてドラムの手元があまり見れなかったのは残念。でもトリッキーなフレーズにグルーヴを加えながらキープしてた。赤犬はアホな面ばかり気になるけどこんなテクニシャンなドラムがいたとは。


4曲演奏。前から興味あったんで見れて良かったー。期待通りの気持ちよさでした。


LITTLE CREATURES

繰り返しミニマリズムのストイックさと非邦楽的でアメリカンロックなポップス性が出てる。イーグルズのライブでも見てるのかってぐらいに非日本人的なメロディには驚かされた。

曲はかっこいいけどビジュアル的にはちょい退屈?
がっつり見るより座り込んで音だけに集中してたほうが気持ちよかった。野外フェスの開いた時間に飯でも食いながら聴きたいなぁと思いました。

浦朋恵リズム&ブルースブレイカーズ

SAKEROCKのステージで大地さんが”豊満な女性サックスのステージなんでみてください”と紹介されてたロック&ジャズ。大地さんはドラム。びっしりと髪をセットしてSAKEROCK時と雰囲気が違う。最初誰かわからなかったw


バンドのライブは一言で言えば熱気溢れる演奏。シカゴのロックバーに入り込んだかのような陽気でロックな曲を朗らかにプレイ。
特に髭の生やしたギターが面白い。テンパったMCで喋ったかと思ったら、渋い声で歌い出したり、楽器をこれでもかと見せつけながら熱いギターソロを弾くのがカッコイイ。
ラスト曲では客席にど真ん中で熱すぎるソロ。初老のような見た目からは想像つかないロックな人だ


と、家に帰って気付いたんですが赤犬のコーラスの人じゃん!こんなギターうまかったのか!ほんと赤犬ってわけわからな〜。
さらにサックスの女性は先日のエゴラッピンで吹いてた人だ。つーか気づかない自分にびっくり。
普段見るライブとは違う、ミュージックバー的な良い意味で身内なノリが楽しめました。


サニーデイ・サービス

再結成した曽我部恵一のバンド。


直球なギターロックにスッと耳に入ってくるメロディ。変わり種が続いた最後にストレートに響いてくるロック。良イベントがポジティブな終わり方で思わずウルッときちゃった。
ラストはアンコールありでギターとベースのエグい間奏もあったりと、アレンジメント面でも他の出演者に食い込むところを魅せてくれた。


今の邦楽に存在する面白いバンド見本市みたいなイベント。
とにかく「面白かった」!かなり良いイベントでしたよー。