良曲を手に入れつつ募金しよう 〜DIY HEARTSのススメ〜
3.11の震災以降、音楽でチャリティを募るケースがいくつもありました。
その一つが七尾旅人が3月15日と早い段階で開設した東日本大震災義援金募集プロジェクト・DIY HEARTS。実力派アーティストによる様々な音楽(もしくは映像)がダウンロードできるプロジェクトです。
非払いは投げ銭制。最低金額以上の金額を自分で設定して購入する形式になります。払ったお金は東日本大震災義援金として使用されます。
今までほとんどしなかったMCを解き放ったTOSHI-LOW(BRAHMAN)震災後のライブでこう言ってました。
「なでしこジャパンおめでとう。でも知ってるよ。みんなすぐ忘れることを。」
日本人にとって忘れられなくなった2011年。年が明ける前に震災直後の不安、希望、そして人を思いやる気持ちを一過性で終わらせるのは良くないと思います。
引きずりすぎるのもよくないのだと思う。
だからDIY HEARTSで良い音楽を手に入れて、ついでに募金もできるぐらいの感覚で。
ということで、自分のDIY HEARTSオススメ曲を下にリストアップしておきました〜。
■A (超オススメ。ぜひとも聴くべき!)
Babui & U-zhaan「へまんと」
30分に及ぶインド楽器セッション。ビョ〜ン、ビョロローンとサイケデリックな弦楽器を、日本を代表するタブラ奏者・ユザーンが迎え撃つ。スパイスを煮込むようにじっくり時間をかけて盛り上がっていくセッションはトランス感抜群。ちなみにミックス・マスタリングは故レイハラカミ。
渡邊琢磨(COMBOPIANO)「PIANO SOLO@YCC 2011,2,26」
「ファックシット!」が合言葉の攻撃的なピアニスト・渡邊琢磨の20分ほどの演奏動画。
クラシックを経由した高い演奏技術でありったけの感情をグランドピアノにぶつける様は感情を揺さぶられること必須。
光るポップセンスがそこらじゅうからはみ出すサウンドはピアノ演奏の常識を覆されます。
KLEPTOMANIAC「ANGRY REQUIEM -2011.03.17.live at forestlimit-」
アンダーグラウンドな音のDJMIX調ライブ音源。混沌をキャンバスにぶちまけたような奇妙な音でスタート。次第にリズムが音楽的になってきて気付いたら別次元に飛ばされてる。恐怖さえ覚える不穏な音使いは間違えてもポップじゃないけどハマると抜けられない音源です。
ZAZEN BOYS「赤とんぼ」
「どうしてこうなった?」と突っ込みたくなるキワモノ赤とんぼカバー。マスロック/ファンクの変態な演奏であっけに取られたところに、今までの向井秀徳になかった優しい歌声が入ってくるのがニクい。一緒についてくる東京節のスタジオライブ映像も良い。4人が音楽で楽しんでいる空間はこの世界から絶対に失いたくない空間です。
Man「甦れ!」
外国人ラッパーが日本語リリックで3.11以降の日本へラップする。
とにかくリンク先のYouTube動画だけでもいいから聴いて欲しいです。必ず心に残るものがあるはず。3.11に向けられた曲の中でもっとも心に響いた曲です。初めて聴いた時は笑いながら泣きそうになった。
Oorutaichi+Ytamo「Plant」
元・ウリチパン郡のオオルタイチ&ウタモのペアによる歌モノ。ヘンテコ要素はほとんど顔を見せず、子供に聴かせてやりたい優しいメロディで充満した良曲。オオルタイチってこんな穏やかな声してたのか。こりゃたまりません。
■B (オススメ。DLして損はさせません)
大友良英「after10days」
か細い音にによるアンビエント・サウンド。極限まで儚さを感じさせるサウンドはさながら音のガラス工芸。そっと優しく扱いたくなる。プチプチと鳴るノイズに心が休まる。
CARRE「UNDERTREATMENT」
美しいシンセとくぐもったリズムが約13分に及び続くノイズ・アンビエント。作品ページにある「生者と死者全てが一体となった巨大なデモ行進を思わせる楽曲」という表現はうまくこの音源を捉えている。寂しいけど美しい。そんな音源です。
miwa mura「海辺のあしあと」
ゆったりしたフォークが5曲セット。心が静まる優しい歌とギター。5曲目「天の然り」は素朴なリコーダーと胸を打つ歌が身体にほっこりと入ってくる良曲。
スダマニ×朝崎郁恵×ウロツテノヤ子「Live at Seijyo hall on 10th sep 2010」
沖縄島唄とガムランが混ざりあったライブ音源が5つ。ケチャも三味線も入り乱れる無国籍・祝祭音楽は「みんなが祭りで一つになる」点を軸に不思議な統一感がある。祭りはいいなぁ。
KillerBong「blackrain」
スムーズでお洒落なインスト・ヒップホップ。ヒップホップの基本ループとブレイクビーツを極めたクールな魅力。
高知重要FAKTAZ「たしかなHOT」
こちらはラップ有りのヒップホップ。物悲しいピアノループが耳に残る渋いトラックが◎。
佐藤 那美「in spring at the north wasteland」
ピアノ(+一曲だけピアニカ)のインストが5曲セット。強く主張はしないけど「心休まるピアノ曲とはどんなものか」の答えとも言える美しい曲ばかり。穏やかな音しか鳴ってない。
AUTORA「MAMBA WALK」
和風とも中華風とも取れるエレクトロニカ。リズムもベースもギターも声ネタも全てが跳ねてる楽しい音楽。でもそこはかとなく寂しさも感じるのはなんでだろう。
■C (良曲。要チェック)
neco眠る「LIVE2010.12.29」
盆踊りもダンスホールも対応できるインストバンドneco眠るのライブ音源。neco眠るにとって「この音源ならでは」ってのは無いけど『ENGAWA DE DANCEHALL』の盛り上がりやはり聴いてて楽しい。
旅団「雪解け(2011 remix)」
遅いエレクトロニカ/ダブ。タイトル通り、大きな何かがゆっくりと溶けていくスケールの大きさが気持ちいい。
灰野敬二+mito+doravideo「受けいれよう」
異色の三人の組み合わせ。特にクラムボンのミトは意外。細い腕を折れんばかりにベースを振り回すのはなかなか見れません。
篠原ともえ「桜の咲くまで」
本人による作詞、作曲、編曲。さらに絵までも。素直に良いと思った。センスあるんだなぁ。
サラーム海上 presents “Allah Huu”
これもインド音楽かな?チャッチャカチャッチャカと刻まれるリズムが効いたことのない音で面白い。異国の音楽は妙な高揚感がある。
ランキン・タクシー&ダブアイヌバンド「誰にも見えない、匂いもない 2011」
元祖日本レゲェ・ランキンタクシー。古臭いけど今でもヴァイブスは感じる。
フェルナンド・カブサッキ、勝井祐二、益子樹、迫田悠「桜(Sakura)」
地球裏側の音響派からのプレゼント。演奏者と聴衆の対角線上に音を配置するのでなく、空間に散りばめていく。大人しいミュージック。
サカキマンゴー「small」
親指ピアノ奏者・サカキマンゴーの歌モノ。しっとりと歌われる唄と親指ピアノのトリップ感が抜群。気に入れば本曲が収録されてるCDもぜひ。
DODDODO「夕日」
DODDODOの代表曲。童心を刺激する原色のノスタルジア。気に入れば本曲が収録されてるCDもぜひ2。
沢田穣治「未来へ:そして子供達と新しい命へ」
ジャズでチルなゆったりミュージック。バーのBGMにぴったりの大人の曲ばかり。
募金だけをずっと続けていくのは難しいことだと思います。
だからDIY HEARTSのように何かに紐付けて持続的に募金しやすいシステムを利用するのも手だと思います。
他にも私はライブハウスに行ったときに募金箱があれば財布の中の小銭を全部入れるようにしてます。
ムリしない範囲で「この時は募金する」と決めごとを作って実行してみるのはオススメです。