soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2014/12/11 山本精一×内橋和久 @ 難波ベアーズ


日本が誇る非表舞台世界の怪物ギターリスト・デュオセッション。近々に発売するデュオCD「ノーコン」の発売記念ライブです。この二人の組み合わせを見るのは2回目。*1


ベアーズに到着すると顔なじみなお客さんが続々とやってきます。和やか〜な雰囲気。
下の写真は出張喫茶キンメさんのお茶に付いてきたフォーチュンクッキーおみくじ。
「良き妻は大きな財産」
今の自分にはあまり関係のない言葉(笑



で、わかってたことだけど最高の演奏でした。
相手の演奏に一秒で反応して合わせていくお二人に脱帽。
ステージの上では常に音楽的なアイディアがリアルタイムで出続けてるのに、その安定感ゆえ客に必要以上の緊張感を感じさせないのは化け物の粋。単純な意味のノーコンとは真反対。即興なのに完成度が高すぎて〜。


内橋さんの音は編み物みたいに繊細でサラサラ〜っとした感触。山本さんの音はドチャっと質量があってバスドラみたいに聴こえる時もありました。ふたりの音がしっかり聴き分けれたのも面白かった。ベアーズのPAで見れてよかったなぁ。




ライブは2部構成+アンコール。


1部は山本さんをして「今日はこれでいいでしょう。非常に完成度が高かったです」と言わせた超名演。どんどん展開していく素晴らしい演奏。即興にありがちな探りあう場面がほぼなく、新しい音楽がひたすら生まれていました。
内橋さんのトレモロループにふたりで味付けしていく場面とギターだけなのにインダストリアルみたいにリズミカルになる場面がたまりませんでした。ライブ2、3本見たぐらいの満足度!


2部は攻撃的にスタートして、最終的には歌モノばりにメロディアスな希望あふれるエンディングへ変わっていた演奏。
クライマックスのポップとも言えるフレージングはお二人の演奏では珍しい。
Mogwaiで昇天してるときみたいな音響的な気持ちよさとOASISのドンルクのギターソロみたいな旋律の気持ちよさが合わさって昇天しました。個人的にはこの瞬間がこの日で一番好きだったかも。


2部最後の幸福昇天エンディングを聴いてるときに頭をよぎったのがおみくじの「良き妻は大きな財産」の一節。未来/老後を見据えた言葉から「2015年も…そしてこれからも素晴らしい人生待ってるよ」とポジティブな気持ちに満たされてました。まさかここでおみくじが効いてくるとは(笑


アンコールは奇天烈なアルペジオが折り重なる5分ほどの短い演奏。本編が濃度MAXだったんであがりのお茶感覚で受け取れました。




1部が40分ほど。2部が25分ほど。アンコールが5分ほど。
それほど長くない演奏時間に濃縮されてて良い意味で「もうWアンコールの拍手はしません」って気持ちで終われました。


終演後の山本さんはいつになくハイな様子。前の伽奈泥庵の時もハイになってたし内橋さんとのデュオはどんどん音楽を創造してるから脳が活性化してるんだろうなぁ




文句無しに名演。二人の怪物が才能をフルに発揮した一夜。
後日『ノーコン』を聴いてもベアーズのライブのほうが絶対に良かったと思います。
2014年はとにかくベアーズにお世話になりましたが、年末にスゴいライブを見ることができました。


あとこの日はお客さんがベアーズに来てる一般客(=notバンドマン)オールスターみたいなのがなんか良かったなぁ。落ち着く&みんなが楽しみにしてた一日って空気がありました。演奏、お客さん、音響、お茶、空調……全てが良い感じだった〜

*1:一回目は2013年6月の伽奈泥庵