soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2012/05/26 Room special 1日目(fresh!、stim、LITE、L.E.D.、dry river string、WUJA BIN BIN、環ROY、ペトロールズ、NATSUMEN) @ 服部緑地野外音楽堂

インストバンド中心の中規模イベントがまさかの特別野外版!発表される鬼のようなメンツに興奮しまくり。1日目だけ行ってきましたー。


まだ5月だとういうのにめっちゃ暑い!スミノフがうまいっ!
客席は1/3埋まってるか埋まってないかぐらいで会場の規模にしては集まりは悪い。でも盛り上がってたし、どこからも見れて快適だったし会場が大きすぎたとは感じなかったなぁ。ロケーションは最高でした。


前に同会場でやってたMOONSTRUCKと違い再入場不可。フードあり、ドリンクありだからそんなに困らず。


客層は大人しい。身体を揺することもなく棒立ちが多かったです。変拍子のバンドばかりってのでノリにくくはありますが……自分好みの客層では無いな。
ただ、このラインナップで最前に行こうと思えばほぼいつでも行けるってのは魅力だけどね。


各バンド20〜30分と短い持ち時間のなかそれぞれの個性を爆発させてました。

fresh!

テクニカル系インストバンド


家族連れが遊ぶ服部緑地公園を気持ちよく歩いてる時から聴こえてた音。
変拍子の連続。ジャジーなドラムが良かった。
ノーカウントでユニゾンフレーズを合わせていく技が印象に残ってます。KING CRIMSONの『21世紀の精神異常者』……ってか後に出演するLITEと同じ技とも言えるかも。


テクはあるんだけどベース、ギターが地味?ロックな爆発力が弱いかな〜って気がしました。

stim

ボッサ系のマッタリした中にもグルーヴがあるサウンド。う〜ん、野外のロケーションと合間って気持ちよくなる〜。


LITE

激テク4人によるインストバンド


一曲目『IMAGE GAME』の癖になるフレーズ。そして、まったくついていけないストップ&ゴー。先に演奏したfresh!が似たようなことやってたからそこまでインパクトはなかったけど……それでもすげぇ。
フレーズのわりにドラムが笑顔で叩いてるのがなんだか意外でした。


爆発力(ってか爆発しない)よりリピートの中毒性。単体だと気持ち悪い変態フレーズが、繰り返されることで独特のトランス感を帯びてくる。コーラスを重ねていく曲の浮遊感も素晴らしかった。


途中『Bond』のイントロをミスって「もう一回やらせてください」と行ったあとにMCからやり直すのには笑いました堅物な音楽やってるけどウィットに富んだ切り返し。


L.E.D.

ベース・佐藤元彦(Jackson vibe)、サックス・加藤雄一郎(NATSUMEN、)、ドラム・オータコージ(曽我部恵一BAND)を中心にした7人組のスーパーインストバンド。楽しみにしてたバンドのひとつ。


ツインドラム+パーカッション(and スティール・パン)の厚いリズム隊だけど押せ押せなノリではなく、むしろしんみりと身体に染みこんでくるアンビエント的な音のシャワー。清潔感のあるメロディがこの手のバンドにしては珍しい。どことなく聖剣っぽい?


最初、椅子に座って見てたときは照明が無いのと音響が弱いのとで「期待ほどではないかなぁ」と思ってたけど、スミノフ片手に最前で頭揺らしてたら死ぬほど気持ちよくなってきた〜。ここらへんから完全に”入って”いきました。


dry river string

インスト中心のイベントだけどここは歌モノ。前に行ったPANGEAでのRoomでも出てました。繊細なアコースティックギターに彩られる歌モノ。今回もLLAMAのドラムサポートあり。


前のROOMで見た時に「こんな優しい音を野外で聴けたら気持ちいいだろうなぁ」と思ってました。そして早くも叶った野外!
そこまでフェス雰囲気じゃなかったら理想が100%叶ったわけじゃない。けど十分に気持ちよかったです。昼ごはん食べながら席でゆったりとリラックスタイム。
やっぱ巨体のギターがいい味だしてる。体型から想像できない繊細なギターに聴き惚れる。
いいバンドです。


WUJA BIN BIN

ビークルのキーボ・ケイタイモが楽器をベースに持ち替え、大人数を引き連れてハッピーな音楽を奏でるグループ。


「WUJA BIN BINサウンドチェック始めまーす」「でも本気でやります!」とウィットなMCで「うお〜〜!!」と客席から歓声が上がりました。かっこええわ〜。
すぐにミスって「本気じゃありませんでした」とオチが付いたのもいいw


怪しさと暖かさが同居するサウンド、味のあるコーラス、粘っこいケイタイモの動き、笑顔で演奏する美人な木琴……こりゃ楽しいわ!
曲は『ORQUESTA YOUNG』『DISTANCE EDUCATION』『RAVE ANDERSON』『NUCLEAR SCIENCE』だったかな。コーラスの幸福感が半端無い〜!


ひとつの曲でキーボードの野村さんが大暴走。キーボード持ち上げたり、飛び跳ねたりで大暴れソロを披露。痺れた……。


イロモノの男性コーラスは正直”ホンモノ”っぽい技術はなかった気がします。せわしなく動きながらも声は全然出てないところがありダモ鈴木マイク・パットンには遠く及ばない。でもWUJA BIN BINという奇妙なバンドに囲まれることで技術が足りなくても気持よく騙されちゃうって空気が生まれてました。


ケイタイモはなんでキーボード弾いてたのってぐらいベースうまいし……楽しかったー!


環ROY

インスト中心のなかで異質なラッパー。


スタッフがWUJA BIN BINの機材を片付けてる中でFISHMANSの『LONG SEASON』を流してサウンドチェック。「もうできますよ」とPAに一言。押してるタイムテーブルに巻きを入れる優しさが普段のスレたキャラとギャップがあって印象に残ってます。。
周りでPAがまだ機材動かしてる状態でモニタスピーカーの向きを自分でかえたり(またこれが放り投げるようなラフな動きでカッコイイ)と自由奔放なのがかっこいい。


一部熱狂的なファンはいたみたいだけどやはり完全アウェーなイベント。
「イスに座ってる奴を立たせたらオレの価値だな。たぶん無理そうだけど(笑)」と挑発。そして『B-Boy in the Dream』。


ここでは真っ向からラップで勝負しました。
『みえないもの』でスタンディングゾーンに飛び降りて客に囲まれる中でラップ。さらにスタンド席まで走ってど真ん中に座ってのラップ。カッコよすぎる〜。会場全体があっけにとられると同時に一人のラッパーに心を掴まれてる。
環ROYのラップは発音を崩しまくってるラップなのにものすごく聞き取りやすいんだよな。


『街並み』でトラックを止めて前回と同様にアカペララップを披露し、『調子良ければいいね』『HAPPY BIRTHDAY』では笑顔も魅せる。どういう意味の笑顔かは僕じゃ確信は持てない。けどつまらなかったようには見えなかった。


前回のROOMもアウェー環境でその時は客がついていきてなかった。始終ヤリづらそうに見えた。
でも今回は果敢に攻めていって客の心を持っていったように感じました。ラッパーとして、アーティストとしてかっこ良かった!

ペトロールズ

オシャレ&クールなロック。
ここまででアルコール飲みまくってたし、後ろで寝転びながら半分意識が飛んだ状態で聴いてました。あんまり覚えてないけど気持よい一時だった。
MC面白かったのは覚えてる。

NATSUMEN

トリは最強ジャズロックバンドのNATSUMEN!ほぼ最前で観る!


奇妙なSEに合わせてダッシュでメンバーが登場し『New Summer Boy』で幕開け。AxSxEの力強いギター、飛ばしまくり〜。


ドラムは正式メンバーの山本達久が怪我で活動休止中なので初代ドラムのマシータ(ex.BEAT CRUSADER)。山本達久のような正確さはないけど勢いはすごいなー。
WUJA BIN BINに続き二回目の登場の野村さん。マシータとはほとんどやったことないだろうから合わせるの大変だろう。あまり前に出てくるプレイではありませんでした。


急遽復帰のマシータということで曲は2ndまでからの最強セトリ。『New Summer Boy』『Pills to kill ma August』『Whole lotta summer』『Natsu no Mujina』!

ホイン a.k.a. アインがめちゃくちゃ楽しそうにギター弾いてるのが最高。いつもはもうちょっと難しそうな顔して弾いてるイメージがあるけどこの日はもうずっと笑顔。楽しくてたまんないって感じで感情抑えきれずに飛び跳ねてる。かわいいわー。


『Whole lotta summer』では「カカカッ」の超速カウントから入るイントロで盛大にミスw
でもメンバーも客も盛り上がりきってるから「ウオー!」て叫んで更にテンションが高まってるー。
スイッチが入り始めたAxSxEがブラスメンバーの前に移動して見せつけるようにギターを弾く姿にメンバーも苦笑いw
AxSxEとホアン中心に高まり方がすごい。有名な『君と踊りあかそう日の出を見るまで/じゃがたら』の江戸アケミに感化されて周りのメンバーも熱の篭った演奏をするってのと通じるものがあるかも。


この曲で終わりかな?とも思える熱狂的な演奏後に軽くMC。ホアンの満遍の笑顔の「楽しいね!最高のイベントだね!」って叫びが最高でした。


ラストに『Natsu no Mujina』。この曲でAxSxEの奇行が止まらなくてすごかった。
曲が始まる前からマイクスタンドを天空を突き刺すかの如く限界まで伸ばしてく。*1


ゆったりしたBPMから徐々に熱を帯びていくこの曲のキモはやはりAxSxE
鬼気迫る迫力でギターを弾きまくる。力いっぱいに弾くからチューニング外れてギターを交換するのが通例なんだけど、完全にスイッチの入ったAxSxEはなにを思ったのかPAに「お前ギター弾いとけ」と任せて(戸惑いながらすぐに対応して弾くPAもすごいw)本人はマイクを持ってステージの前で飛び跳ねまくり。


それでも止まらず履いてたサンダルを手に持ち暴走。右手にマイク持ってるのに左手に持ってるサンダルに向かって吠え続ける。もうわけわからん。
さらにマイクスタンドをバットに見立ててホームランノックを打ちまくる。球場系の会場が彼をそうさせたのだろうか。
打つごとに盛り上がりまくりの客。最後までギターを手に取ることはなくホームランに合わせて決めの一音を出しで終了。一番下部分しか残ってないマイクスタンドに向かって「ありがとうーー!!」と叫び終了。


当然のごとく大音量のアンコール拍手。
会場/時間の都合で難しいだろうなぁ、と思ったけど、PAがどうにでもなれって顔で腕を回してアンコール決行!
モニタースピーカーをジャンプして飛び越え意味もなく走り回って再登場。野生児のようなテンションのままメンバーが帰ってきた。
そしてAxSxEはここでもPAにギターを任せる(さすがにPAも混乱の表情を隠せないw)。30秒ほど全員でギャギャギャーと音を鳴らして去っていくハチャメチャなアンコールで締めました。勢いの塊みたいだ。曲はやんなくても大満足!



今回のイベントはフェス/イベントとして100%完成してるかって言うとそうでもないと思う。ところどころ気になるところはあった。今まで開催してきた規模と比べると一気に大きくなってるもんな。。
でも次々と開催されマンネリ化してるフェス事情のなか、インストバンド中心って面白い切り口を提示した面白いイベントでした。


あとかなりタイトなタイムテーブル、1ステージ、時間が遅れたら音出しできない会場のなか手際よくセッティングしたPAスタッフには最大限の拍手を。
ちなみにPAの1人がマゾンナTシャツ着てて笑ったw*2


時期は初夏。気持ちのいい音楽。そして最後のNATSUMEN。少し早い夏フェスに持って来いのイベントでした。楽しかったー。

*1:※マイク使わないインストバンドです。無駄な行動です

*2:この日は昼にRoom、夜にマゾンナワンマンがあって自分はハシゴしました。