黒猫/biascrashers
エドガー・アラン・ポーの文芸作品「黒猫(the black cat)」を作者側の解釈で大幅リメイクしたノベルゲーム。私は原作を読んだ事がないので詳しい事はわかりませんが、聞いた話では原作からかなり変わっているらしいです。
ヴィジュアル効果は主要な場面でラフ絵のような白線で書かれた一枚絵が出る以外は一切ありません。真っ黒な画面と文章のみで進行します。
文章はギャグは一切無しで、哲学や歴史上の人物に関する話題が出てくるのが特徴です。ゲームより小説よりの文章かな。かなり硬派な文です。
また19年代のイギリス、女性差別や人種差別が激しかった時代が舞台なので、そのような言動が多く出てきます。
気になったのは、たまに行の最初の横線がずれる事がある。フォントの関係か?
主人公のエドガー・ポーは最初から最後まで腹の立つ言動を放ち、また狂気が宿っています。ここまで感情移入できない主人公はめったにいない。基本はそのエドガーを中心に進むのでストーリーはかなり暗いです。
もう一人の主人公であり、正常な人物である女警察のマーガレットに焦点が切り替わる事があり、それが余計にエドガーの狂気を浮かび上がらせています。
黒いゲーム画面、クラシック調のBGM、心理描写のうまい文章、狂ったシナリオが合わさってゲーム内の狂気の世界へ入り込んでしまいます。
このどす黒い感覚はブラックメタルバンド、エンペラーの2NDを聴いてる時の感覚に似てるな。(わかりにくい
もちろんすっきりしたEDは期待しないように。
乏しいビジュアル、狂気を扱ったシナリオと万人に進められる作品ではありませんがハマる人にとっては忘れられない作品になること間違い無しです。とりあえず落として15分ぐらいやってみてください。なにも感じなければこのゲームは合っていないのかもしれません。だいたいの人は先が気になって止まらなくなっていると思いますが。
終わった後にオマケシナリオが出てきますが、こちらは本編とうって変わってギャグ。これがかなり面白い。上から3つ目のシナリオのラスト2行でお茶吹いた。ここ一年でやったノベルゲームで一番笑ったかも。
またHPで公開されている短編ノベルゲームの「1895年2月14日」と「1895年12月25日」は「黒猫」のサブシナリオです。マーガレットはイイツンデレだ。
結論としてはかなりオススメ。しかし受け付けない人もいるかもしれない癖の強い作品なので人を選びます。
「文学離れは勿論活字離れしている人々へのアプローチの一環として製作」されたこの作品ですが、さっそくオレは哲学の本を読んだり、黒猫の原作を探しにいったり(まだ買ってないけど)と影響されました。まぁ、新書や日本の近代文学あたりは元から読んでいたので完全に活字離れしていた人にどういった影響をあたえるかはわかりませんが。
蛇足ですが次回作の「マッチ売りの少女」の原画が変わったようです。個人的に最初のほうがよかったな。
ギャグも多い作品だから今回の絵は硬すぎな気が。まぁ、単純に前のほうが萌え絵なだけという気も…。
↓ネタバレ↓