soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

幻想事変 / 岸田教団&The明星ロケッツ

東方の生ロックサウンド・フルボーカルアレンジCD。8曲入り。
SuperSonicSpeedStar」にボーカルを入れた感じになっています。


東方の和なメロディに、アジカンや初期ナンバガ系のエモいロック/パンクサウンドを高次元で解け合わせています。
生演奏で奏でられるサウンドはがっしりとしてて、同人バンドサウンドにありがちな音の軽さがほとんど感じられないのがすごい。特にドラムのシンバルなんかは打ち込みには出せない生の良さがあります。


楽器隊はギターが細々と面白いことをやってて、勢いだけという印象はないです。そこらへんはハスキンっぽい?
どの曲もイントロ〜Aメロ間のギターリフが絶品。確かに東方なんだけどそれを感じさせない良質リフが満載。ここらへんは「SSSS」と繋がるところがありますね。
所々にでてくるメジャーバンドのオマージュも面白い。
色々な所で言われていますがボーカルは椎名林檎っぽい。実力はあると思います。ただちょい感情表現が淡白なのと、元が東方BGMということもあり、メロディラインがせわしなく動きすぎてる印象もあります。演奏面に比べるとボーカル面が気になるのは否めない。
それでも東方ボーカルとしてはかなり成功している方と言えるのではないでしょうか。


①和風歌謡メロディ+ロックというCDの方向性が端的に表れた一曲目に持って来いの曲。最初とサビのドラムが裏打ちハイハットフェチにはたまらない。ボーカルラインも今作で一番東方メロディを自分達の音に消化していると思います。
②サビの疾走感が良い。Aメロがちょっと東方色が出すぎてる?
③ミドルテンポ曲。他の疾走系に比べるとちょっと聴き劣りするかな。遅い曲が好きじゃないというのもありますが。
⑤Aメロの鋭いカッティングギターが好き。サビの勢いのあるコードにギターソロとギターに良いフレーズが多いです。
⑥イントロのギターから惹きこまれるは疾走曲。聴き所はBメロのボーカルライン。このアルバム随一のグッドメロディです。
⑦(あたりまえなんですが)東方アレンジなんだなと思わせるサビが印象的。いや、これだけ自分達の音にしてるつい東方アレンジというのを忘れてしまいそうで……。


とここまで誉めまくってきましたが、手放しに絶賛できるかと聞かれると即答はできなかったりします。
完成度は物凄く高いのですが、何か引っかかるものがあってヘビーローテイションとまではいってないんですよね。
おそらく

・音が同人外のバンドサウンドに近い分、普通のバンドとどうしても比べてしまう

・テンションが一定(10曲以上ならダレてるかも)

・やはり自分の苦手な東方ボーカルだからか。楽器隊にくらべて(特にサビの)ボーカルのインパクトが弱い。

・ただ単にルサンチマン

ってなところが引っかかってるんだと思います。


最後に落とす形になってしまいましたが、東方好き、バンドサウンド好き、ボーカル曲好きなら、まず買って損は無いと思います。十分傑作と言える出来。