soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

空の紡ぎ / 全裸ネクタイ

ひぐらしアレンジの3曲入りミニアルバム。


アンビエント/現代音楽/実験ポップス・アレンジ。
ビートは一切無し。音数の少ない壊れ物のような音楽でひぐらしを表現しています。
キャッチーなメロがあるわけでも、プロばりの音圧があるわけでもない。とても質素な音楽なんですか、その空間的なサウンドメイキングに、気づいたら動悸が速くなるほど集中して聴いてる自分がいます。
優しい音色ばかりなのに緊張感が半端無い。命の灯を目の前にしているような感じ。
聴き終わったらいつも息を吐き出してます。絶対聴いてるときの呼吸数が少なくなってる。
この空間作りはすごいとしか言いようが無いです。何が良い/気に入ったとか全然わからんのですがとにかく世界に取り込まれる。
おそらく原作とリンクしてる内容だろうからプレイしてたらもっと楽しめるんだろうなぁ。


※原曲は表記がないのでわからず
①笛やストリングスで穏やかに美メロを紡ぐ。繊細な音作りは今にも壊れてしまいそうな印象を受けます。母のように暖かく、赤ん坊のように脆い音楽。
②波の音、シンセによる音響系アンビエント。小音量で鳴っているシンセサイザーは洞窟に微かに入り込む光と風のように弱々しく、同時に存在感がある。音を聴き逃すと何か大切なモノを失ってしまう、そんな錯覚に陥ります。もう完全にkurabesさんの世界に沈んでるな。終盤のギミックは毎回ハッとさせられます。
③「you」と同じメロディをしっとり聞かせて泣けるフィニッシュ……かと思いきや→次第に様子がおかしくなって力尽きそうな音量のピアノ→神秘的なシンセ→少しだけ力強くなったピアノ。5:05あたりからのピアノに泣かされる。
④ラストはあのSEが深々と。このエキストラ・トラックがなかなか効果的で何とも言えない後味になっている。


音響系のひぐらしアレンジ。
わずか3曲なのに明確な「世界」がCDの中に出来上がっています。
音圧で包み込むのでなく、逆に音を引くことで聴き手を音楽へと近づけている。もはや気持ちいいとか、泣けるとかそういうのを超越した次元にある気がする。
ぐっと集中して聴きたい一枚。
また一段階レベルアップした作品を出してきたなぁ。というより方向性が今までと微妙に違うのかも。