soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2013/06/01-02 TAICOCLUB'13 @ こだまの森(MOODMAN、ROVO、Polaris、Colin Stetson、クラムボン、Machinedrum、Tycho、電気グルーヴ、Clark、在日ファンク、Magda、JETS、Ricaldo Villalobos、EYE、cero、Nick The Record)

今年の頭からキャンプイン系のフェスに行きたくてしょうがなかった。ということで行ってきました長野のTAICOCLUB初参加!
テント、寝袋、イス、ウェア……キャンプ用の装備を整えてるころからすごいワクワクしてました。



交通手段は電車。
一日一本だけ出てる大阪→長野直通のしなの9号で約4時間半の旅。もうこの時点で非日常な気分で最高じゃないですか。
しなの到着駅の木曽福島で次のローカル線まで30分待ち。想像以上に田舎に来てしまった……。


木曽福島→藪原→シャトルバスで会場のこだまの森に到着。
荷物を抱えて20分ほど歩いてテントスペースへ。横を通ったステージではROVOがリハやってる。透き通った音。すでに気持ちいい〜。。
13:00ごろ到着でテントはすでにだいぶ立ってる。けどまだスペース見つからないってほどじゃなかったです。


テント立てたー、曇ってるから暑くないー、たのしー。
開場時間前だけどステージからは音が聴こえてくる。一番手のMOODMANがフライイングでDJスタートしてました。
とりあえずウコンの力(粉末)をレッドブルで飲んで……イベントを楽しむぞー。


MOODMAN (特設ステージ)


特設ステージはテントサイトすぐ横のステージ。地面はコンクリ。DJ/テクノ系のアクトが多めです。


ストレートにハウス/テクノDJ。結構アゲてきてました。かなり良いDJで早くも最高の気分。ぶっ壊れぎみに踊りながらさりげなくROVOの位置取り。ほぼ最前列を確保。


ROVO (特設ステージ)

力を抜いての演奏に見えました。一週間前のMDTと比べるとさすがに客も演者も気合の入り方は比べようにならない。でも時間が短い分、原田さんはしょっぱなから飛び跳ねまくってました。


曲は『BATIS』 → 『HORSES』 → 『Sukhna』 → 『D.D.E』。
Sukhnaの後半ぐらいからかなり盛り上がってきてD.D.Eではけっこうなモッシュも発生。ちなみに今回のD.D.E、かなり低速だった気がします。そこらへんもMDT後って感じ。


まぁ、普通のROVOのライブって感じだったでしょうか。
2週連続で見るとMDTという場の異常な空気が際立ちますよね。

Polaris (野外音楽堂)


野外音楽堂はこだまの森に元からある木製のステージ。地面は芝生。客席が段差になっててどこからでもステージが見えるのが素晴らしいです。


Polarisは大好きだったんですよ。そのバンドが再結成して最高の舞台で見れる。TAICOで一番楽しみにしてたアクトです。
ドラムに大助さん、ギター&キーボードにミトさんとクラムボンの2/3がサポート。ミトさん、マルチプレーヤーだなぁ。


オオヤユウスケさんの極限までに優しくて綺麗な歌とギター。景色が夢の中みたいに見える。なのに柏原さんのベースの重低音がヤバ過ぎました。静かな深海の底には怪物がいる……ってな感じ。野外なのに地面全体が揺れてるベース音は明らかに異質。なのに曲に溶け込んでるのがすごいです。
柏原さんは雰囲気が山本精一さんにどことなく似てたなぁ。


『空間』『季節』『光と影』と何度も今まで何度も聴いてきた曲が目の前で演奏される感動。「36.7分の微熱ならいいでしょ」を生で聴けた嬉しさ。たまらんっす。
そして『深呼吸』を聴けた時はマジでヤバかった。涙が止まらなかった。*1。柏原さんのエグいベースが唸ってるのに限りなくポップ。最高の曲です。ちなみにCDでコーラスをしてる原田郁子の登場は無し。ちょっと期待したんだけどなぁ……。
最後に新曲『光る音』。10分超のフル・バージョンで。


大自然に囲まれて素晴らしい歌を聴けたのがただただ嬉しかった。



まだ各ステージ3組しか終わってないけど辺りは真っ暗。イベントの4分の1の次点で1日遊び倒したぐらいの満足感に包まれてます。taicoはまだまだこれからだぞ!


Colin Stetson (特設ステージ)

バリトン・サックス(バカでかいサックスです)をループさせてテクノ/アンビエントな音を作り出す唯一無二なアーティスト。
最初の方はテントの中から聴いてました。


シンセとは違う木管楽器ならではのゆらぎ。パワフルです。かなり気持ちよかった。このまま寝たらサイケデリックな良い夢が見れそう。
ラスト一曲だけステージ前に行ってみました。青白い照明をバックに巨大なバリトンサックスを吹いてる姿を見るとさらにパワフルさアップ。クールでいてワイルド。
もっと落ち着いて見ればよかった。良いアクトが揃いすぎなのも困ったものよねー、と満足な悩み。


クラムボン (野外音楽堂)

CDは昔から聴いてたけど、実は初めて生で見ます。
入場規制ギリギリの満員。一番後方からでもしっかりステージが見れるのが野外音楽堂のいいところ。


最初は「ミトさんのMCが軽いな〜」とか思ってたけど『バイタルサイン』が始まってグワっときた。しかし、なんと肝であるミトさんのシャウト部分「デデッ!デデッ!デデッ!デデッ!」でミトさんが半拍ズレる痛恨のミス。シャウトもがむしゃらに聴こえました。原田郁子さんがわざと外し気味(壊れ気味)のピアノにしたのはフォロー、ってのは考えすぎ?最後の暴走も気合が入ってました。ベースでスピーカーを殴りつけまくってた。生々しいライブな部分も含め良かった。


苦笑いで言い訳したそうなミトさんを無視して次の曲のビートが始まる。曲は『シカゴ』。ピアノが入ってきた瞬間の幸せ感はこのうえなかった。本当にここにきて良かった!


ミトさん曰く「タイコは初めてだけど……最高じゃん!」上機嫌。初出演なのは意外だな。
次はまさかの『ナイトクルージング / Fishmans』のカバー。Polarisのあとの出番にコレは泣くわ。色んな気持ちが湧いてくる音を楽しみました。


最後の『バイタルサイン』→『シカゴ』→『ナイトクルージング』の流れは反則でしたね。やっぱクラムボンいいわ。
まぁ、オタク的に欲を言えば『YOU&I』のカバーも聴きたかったw


Machinedrum (野外音楽堂)

昨年のベストアクトという声も聴くJuke DJ。


ドラムンベースなトラックから始まり、しだいにJuke色が強くなっていく。Jukeとドラムンの境界線は声ネタ。狂ったように繰り返される声ネタにリズムも壊れてくる。
トラックの繋ぎセンスはたまんないし、マイクを握って声ネタを一緒に叫んだりする。この人、根っからのアゲ好きだ!こりゃかっけええ!すっかり魅せられて踊り狂ってました。
最後は「ざーーーーーーー!」とノイズ気味に音をだしてラップトップをバタンっ!と閉めて終了。かっこよすぎじゃん!


見た目はメガネをかけてナードだけど最高のDJでした。ベストアクトになるのも納得。


(Tycho)  (特設ステージ)

テントから聴いてました。バンド形態だったらしいけどCDの音が丁寧に再現されてた。余裕があればちゃんと見たかった。

電気グルーヴ (特設ステージ)

特設ステージでは一番の人入り、と言っていい人気(知名度?)でした。


セトリは舞音楽祭(旧・渚音楽祭)とほぼ一緒。新譜の頭3曲 → 中堅曲 → 有名曲。でもこっちの方がめっちゃ盛り上がった!客がよく踊るからかな?ある意味舞音楽祭の客層の悪さがわかる形になっちゃったかもしれません。
『レアクティオーン』のVJはTAICOCLUB用の映像をちゃんと挟んでました。


「(台車に乗って登場した卓球に対して)頑張れ〜、卓球くーん!頑張れ〜!立ったー!」とか瀧のアホなふるまいも絶好調。
とにかく皆で盛り上がって楽しんだ!って気持ちでいっぱいにしてくれる大スターらしいライブでした。楽しかったー。


しかし、なかなか『虹』を生で聴くことができないなぁ。



Clark (特設ステージ)

前半はテントで休みながら聴いてました。ステージの方を眺めてるとストロボライトで周りの森がビカビカと光ってる。どんな照明してるんだ……。この世のモノとは思えない凶々しい音楽。こだまの森という非日常な空間が常世から切り離されていく、と錯覚しそうでした。


途中からステージ前へ行くと。モノクロの目玉が大量に移ってる悪趣味な映像にイビツな音楽。ヤバイ雰囲気。あまりに凶悪で思わずデス声で吠えてしまった。
終わった……と思ったら20秒ほどの沈黙のあとに山の木が揺れんばかりの大轟音!フラッシュも全開!!うおーーーー、かっけーーーーー!!


狂ってました。
なにかとClarkを見る機会は多くてそろそろ飽きてきたなぁ、と思ってたのですが今回は最高でした!


在日ファンク (野外音楽堂)

3年連続で出演らしい。
それだけあってTAICOからの愛され方が半端ない。みんな穏やかな笑顔でハマケンとバンドメンバーをみてる。キレッキレのダンスをするたびに歓声が上がる。踊り狂う…じゃなく心地よさそうに身体を揺らしてる。


MCでは「どんどん出演時間が遅くなってるよ」「眠いんじゃない!?」「在日ファンクでしたー……って終わりみたいだけど残りあと3曲あるんですけどね(笑)」とハマケン節炸裂。
「眠いんじゃない!?」と煽ってたわりには、アゲアゲでなくゆったりした曲を中心に。眠気も誘われるけど心地いい。ハマケンのダンスが抜群のフックとして機能してダレを無くしてる。


まったりなムードの後にやってきた『京都』の軽快なイントロは本当に気持ちよかった。おなじみの京都&レスポンスでは「タイコクラブ注入中」なる名言も生まれて爆笑とともに客の心をひとつにしてた。
最後は『爆弾こわい』。「ふっとべ♪ふっとぶな♪」では会場全体が左右に手を動かす。振付をするのも恥ずかしいとは思わせないくらい会場を暖めてた。
代表曲の『きず』は無かったのにみんな満足そうに帰ってた。あんだけ楽しいステージ見せてくれたら不満も残らないよ。基本的に”踊りにくるフェス”であるTAICOCLUBにおいて、汗を書いてないのにあれだけ満足そうな顔を創りだしたのは本当にすごい。


愛され方、そしてステージング。素晴らしかったです。ハマケンのダンスは(動画を含め)今までみた中で一番キレがよかった。今回のベストアクトかも。


Magda (特設ステージ)

真夜中に2時間の持ち時間を任された女性DJ。オーソドックスなテクノで躍らせる。突出した部分はないけど堅実に踊らせてくれた。異常に高画質なVJが綺麗でした。


しかしこういうアクトを見るには良いアルコールが欲しいなぁ……。

JETS (特設ステージ)

Jimmy Edgaとソロでも出演してたMachinedrumのDJユニット。宇宙的なSEで始まり「どんな音楽かなぁ……」と思ってたら耳に飛び込んできたのはジュリアナレイブ的シンセフレーズ。爆アゲ!この時間帯(3:40 a.m.)にやる音楽かえ!?
とにかくハイテンションな曲を連発。アッパー曲好きがこうじてユニットを組んだのだろうか。あまりのトバしっぷりに笑いが止まりませんでした。

JeffmilesのX-102の『Groundzero』がずっと続くみたいなアゲっぷり。最後は他の外国人DJ(かな?)も飛び出してきてステージで踊りまくってる。最高のパーティDJでした。そのままお祭りレイブ騒ぎで朝日が出てくる狂乱の夜明け。情緒もクソもねぇw(褒め言葉


(Ricaldo Villalobos) (特設ステージ)

5:00 a.m.から3時間のテクノ/ミニマル。なんかノリにくかったのでテントで休む。正直もう身体が限界。しっかりと寝る時間を作らんといかんのだろうけど全部楽しそうなんだもの〜。


EYE (野外音楽堂)

予想外に良かった!


(ある意味EYEちゃんらしくない)普通に良いDJ。ちょこっとだけインド/アフリカっぽさはあるけど軸は普通に良いDJ。
しかし後半、ミキサーを空に高く掲げて弄りはじめました。しだいに”入っていった”ようでミキサーを動かす手の動きが激しくなっていき、しまいには飛び跳ねながら腕を振り回すロックなアクション。動きがBordoms化!DJとして出演してる時にこんだけ激しく動くのは珍しいです。


これだけでも”EYEちゃんらしさ”が出て最高なのだけど、さらに続いたのが終わり方。
脇のスタッフが時間超過のサインを出してるのに気づいて軽く頷いたと思うと曲の途中でブツンと切って「ありがとー」。自由人やなー。


終盤にかけてのboredoms化→ぶつ切りは痺れました。一筋縄ではいかん人だ。DJ自体もかなりよくて座りながら聴いてたけどノリノリになった。


cero (野外音楽堂)

評判がいいので楽しみにしてたんですが……うーん、どうも悪い意味での若手感が出てしまってたような。色々なものに手を出して音とアンサンブルがぐしゃぐしゃになってるように思いました。セッティングが長引いてたしPAがうまくいってなかった風もある


冒頭から『マウンテン・マウンテン』→『cloud nine』と僕の大好きな曲がいきなり来たものの「あれ?なんかイマイチ……」と感じてしまった、この時点で自分の中では終わった感がありました。続く『さん!』もイマイチ。


ただ「Contemporary Tokyo Cruise」が始まった瞬間に奇跡が起きました。それまでステージ前しか立ってる人はいなかったのに、段差部分に腰掛けてた人達が次々と立ち上がって最前エリアに駆け下りていきました。一人が行くとそれに釣られるようまた一人集まっていく。その光景は音楽の祭典(=フェス)として最高のモノ。僕が人生で一番好きな動画の「一人の男がフェスにダンスフロアを作ってしまう動画」を彷彿とさせる。見ていて震えながら感動しました。


そのあとパートチェンジしてテクノな一面とかも見せてたけど、アッパーチューンを出しきってるのでまた下がってしまった。終わりもしょんぼり。
正直、期待はずれでした。でも「Contemporary Tokyo Cruise」のあの瞬間は本当に素晴らしい空間が生まれてた。不思議なステージでした。


Nick The Record (野外音楽堂)

4時間ぶっ通しでプレイするハウスDJ。TAICOのラストの恒例らしいです。
アクトというより撤収のBGMに近い。友達と向き合ってリラックスして踊る人、テントを畳む人、朝食を取る人、芝生に大の字で寝てる人。みんなが思い思いの楽しみ方をしてる。
”終わったなぁ”て感覚が”楽しい”といっしょにやってくる。これは良い空間だ。僕も30分ほど仮眠をとりました。気持ちよかった。


時間配分がわからず、少ししたらテントを畳みに帰っちゃいましたが来年はこの時間をもっと有意義に過ごしたいな。


ZIP(特設ステージ)

特設ステージは変わらずダンスなトラックが流れてる。最後の出演枠で?????となってたのは外国人DJ達でのB2Bでした


大自然のなか、いっぱい踊れてバンドも楽しめて、本当に幸せな気分になれました。やっぱフェスはいいな!
最後に色々と思ったことを箇条書きすると:

  • ビール飲めない人間にとってアルコールが良いのが無いのが残念。氷結かスミノフが欲しいっす。カクテルもあったけどアルコールが少なかったような……。ダンス系フェスでこれは痛い。
  • 食べ物はそこそこ。ソーセージとピザがうまかった。特にピザはオススメ!
  • ライティングも綺麗。派手になりすぎず、自然とうまく調和して夜を演出してた
  • 「Taicoはとにかく寒い」と聞いてたけどまったく寒くなかった。レインコート着てたら逆に汗かいて熱かったです。確かに寝る時は寒いかもだけど夜通し踊って過ごす分には薄着で十分。……そういえば俺は冬場でも半袖で通すような人でした。他の人に参考になるかは微妙。
  • ガラ悪い客はゼロではないけど基本的に客層良いほうだと思う。ちゃんと踊ってるし。
  • ステージはとにかく見やすい。とくに野外音楽堂の段差ある客席はすばらしいですね。
  • トイレはそこそこ綺麗に保たれてた。ってか舞音楽祭は半日でなんであんなに汚くなるのか。
  • 電車での帰りは要注意。時刻表を見とかないと自動販売機以外に一切何もない藪原駅で2時間待ちとかありえます。(実体験)


楽しくて楽しくて仕方がなかったです!
来年もまた行くような気がします。

*1:疲れてる友達に「深呼吸」を焼いたCD-Rを渡して元気付けてた黒歴史があります