soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2013/05/29 山本精一 × 内橋和久 @ 伽奈泥庵

日本の音楽史(の一部)における偉人とも言える二人のデュオ。
山本さんは「7年ぶりくらいかなぁ…」と言ってましたが、他の人が「4年前もやってた」とか聞きました。おそらく後者の方が正しいw


店は初めて訪れる伽奈泥庵。ライブをするカフェの走りみたいな店らしいです。食べログを見ると「昔はやばい雰囲気だった」「危ない雰囲気だったけどマシになった」というレビューがいっぱいヒット。
確かに怪しい。ちょっとした洞窟みたいな。80年代の映画で子供の隠れ家として出てきそうな空間。系統としてはムジカジャポニカに近いです。


山本さんと内橋さんはオーナー(?)との雑談がめっちゃ盛り上がってて開始は30分遅れ。まぁ、いつものこと。


おじさん二人がエフェクターに囲まれながらギターを持ってる。家でゴルフの練習をしてるのが似合いそうな風貌。でもそんなおふたりが超絶な演奏をする、というギャップがまたスゴイです。


全部で6セッション。

1

キラキラと綺麗な音響派な即興。まずは手慣らしといった感じ。


山本さんはいつになく力を抜いて演奏してる様子。でもやってることは変態。内橋さんなら安心して好き放題できる、って感じでした。


内橋さんはテーブルの上に置いたペダル・エフェクターを手で操作する独特のスタイル。新鮮で面白い。聴いたこともない新しい音が次々と飛び出してきました。


なんとなく終わってすぐさま次のセッション。

2

大人しい一回目から一転。今度はキレっキレの爆音大会。恐ろしいスピードで速弾きしたり、超轟音をぶつけたり……鬼人の攻防に常人である私は呆然と見るしかできない。
一人が爆音で弾きはじめたらもう一人も暴走しはじめる。0.1秒で反応する二人がすごい。音のやりあいです。

3

さらに爆音が続く。ギターから出てるとは思えないド低音がぶつかり合うのはさながら怪獣バトル。目の前にいるのはおっさんなのに脳内にはゴジラメカゴジラが見える……。
先日の西さん×山本さんとかも轟音だったんだけど……この二人がやると重みが桁外れだな。




一度休憩を挟んで4つめのセッションへ。



4

最初は内橋さんがペンペンズの中林キララさんみたいなトリッキーなギターで始めたんだけどすぐさま山本さんが攻め込んでまだテンション高い演奏へ。
轟音度は下がったけど、速弾きが多めで音の密度が濃い。指を高速で動かしたり、痙攣するようにストロークをしたり速弾きにも色々種類があるんだなぁ。


5

ひとまずの最終セッション。最後らしく美しい旋律の演奏。即興とは思えない完成度の高さで、何十年も前に完成している歌モノを聴いてるみたいでした。
そのままCDアルバムに入ってても違和感ない。山本さんが最高のメロディを奏で、内橋さんが完璧に支える。
美しくもありポップでもある。感動モノでした。



6 - アンコール

伽奈泥庵の空気のせいで山本さんが”入って”しまいました。「ネットには書くな」と言っていたので詳しくは書きませんが、言動も行動も演奏もカオス。幼児退行と躁状態が同時に来てるみたいな状態。
横で素の顔をしながらしっかりカオス山本さんに合わせる内橋さんも変態です。


山本さんいわく「ギターによる変態の極みの即興」。この人らの頭はどうなってんだ?って演奏でした。
笑いの神(紙*1)も降りてきて腹抱えて笑いました。





すごい空間でしたね。
全力で変態。たまに振り落とされそうになるけど、関西の音楽家の特性か。なんか親しみやすい。
巨匠の戯れを見ることができました。ライブ続きで直前まで行くか悩んだけど行ってよかったー。



*1:行った人だけわかるネタ