soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2017/12/26 山本精一+西滝太、須原敬三、ann ihsa、黒岩あすか @ 難波べアーズ

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ベアーズ30周年記念のラストイベント。
素晴らしいブッキングでベアーズの「未来」「今」「過去」そして「本筋」が可視化できる素晴らしいイベントでした!説明を求めるんじゃない。身体で心でベアーズの歴史を感じるんだ!


振る舞い酒あり。10本くらい瓶があったかな?
おつまみもズラ~っと並んでおりました。おそらく店長セレクト。本人が配給のおじさんのように配ってました(笑)
ベアーズの大人な常連たちが集まってて非常に過ごしやすい空間~。自分は北新地で買ったタマゴカツサンドを。美味っっ!!

黒岩あすか

風の精霊のようなウィスパーボイス。なんだか体調が悪かったらしくいつも異常にウィスパーだった気がします;
テンポの微妙な溜め、ウィスパーな中にかすかに聴こえて来る力強い部分。静の中の”ひっかかり”が良いなぁ。


エレクトロニカから電子的な部分を抜いた、のが別の道順からやってきた。とも思えました。
須原さん(エレキギター)をゲストに一曲カバー。浅川マキさん?
爪弾くギターからブラックホールみたいな音が重なって音が恐ろしくデカくなってく瞬間ヤバかった。須原さんすげぇ!


ann ihsa

ベアーズでたまにスタッフしてる女性(のはず)。
カセットテープ、ラジカセ、ターンテーブル(with 三角の変形レコード)やらで環境音、優しいノイズを鳴らしながら静かなギターと歌。歌詞の詰め込み方がかなり独特ですな。セオリーからわざと外れるみたいな。


環境音とかが気持ちよくてかなり効果的に働いてた。
途中で最前列の客にマラカスを振ってくださいという無茶振りをして、後方に集まるベアーズ出演者常連をして「……それは無茶やろう」恐れおののかすとこも。
マラカス一つずつを2人に手渡し。適当に振らせる。拍の頭で鳴らすだけ。砂の固まってない拙い音、2人の微妙なズレが絶妙なグルーヴを産んで、さもアフリカ民族の儀式に聴こえてきた。スカムだ!
狙ったのかどうかわからないけど”素人”の”2人”に振ったのがド当たりしてた。気持ちよかった―。

須原敬三

須原敬三さんのエレキ弾き語りソロ。かなり珍しい?
普段は大暴走する山本さん津山さんとかの後ろで落ち着いて支えているイメージだけど、いざ前に出ると……この人も相当ぶっとんでるな(笑)
MCが適当と自虐とトンデモでめっちゃ笑えた(笑)


他力本願寺のセルフカバーや他の人のカバーとかで4曲。
ソロのギターというよりバンドで鳴ってるギターを抜き取ってきたように聴こえました。それが生々しくてえらくカッコいい!
ルーパーでバッキングを作ってソロ弾いたり、同じフレーズを絶妙にずらして癖になるフレーズにしたり。


ベーシストのイメージが強いけど歌もギターもいいんだなぁ。
今回みたいにルーパーつかって技を披露する須原さんは滅多に見れないからドキドキしました。やっぱセンスすごい。


そして最後に歌ったのがなんと山本さんのカバー!!!(のはず
たぶん「虚空の屋根」だったと思うんだけど;;(飲みすぎて記憶が…
コレが名演。中盤のエモーショナルのギターソロをなぞって入り、そのままノイズに昇華していく素晴らしい演奏。終了後は拍手喝采でありました!

山本精一+西滝太

素晴らしい歌モノが3組出て、トリの山本精一さん× 西滝太さんはどんな素敵な歌モノを披露してくれるのか……と思ったらまさかの歌なし即興インスト。
ズコー!っとなりながらもこの演奏が鳥肌モンの素晴らしさで……ベアーズ音楽神の真髄を見ました。


ノイズは抑えめに神聖さが漂う演奏。『Crown of fuzzy groove』の世界を発展させた感じかな?
最初はチューニングするようにバラバラに音で探り合いながらスタート。それがどちらかが印象的なリフレインを弾くでもなくふとしたときに重なりあってベアーズが音の波/壁に包まれていきました。


ドローン系なんだけど単純なドローンとは違う…聴いてるだけで涙が出てくるようなエネルギーと感情が内包されてました。
誇張でもなく喜怒哀楽が混ざり合った第五次元の感情のセカイを感じました。耳だけが天国にいってしまった。


西さんがけっこう引率する部分が多かったです。単音を連打することが多くてギターのストロークかな?と思ったらキーボードの連打だったりする。その細かい音が攻撃的でなく優しく耳に入ってくるのがよかった。
山本さんは印象的なフレーズより音の感情を作ってくようなプレイ。


たまに”なんで即興でそれ合うの?”ってな場面も。
ダン!ダン!
ダン!ダン!
ダン!ダン!×7
ジャーーーーーン!
ってな場面のタイミングが完璧。アイコンタクトもほぼ無しで。なんで合うの?;;;


とにかくスゴいとしか言いようがない演奏でした。カッコいいではなくスゴい。




ハコのイチオシで今後どんどん大きくなるであろう黒岩あすか
現スタッフ(まだやってる?)のann ihsa
ベアーズらしいコトをやるベテランの須原敬三さん
そして核の山本さん


ベアーズの未来・今・過去、そして本筋が可視化される素晴らしいイベントでした。
須原さんの演奏はベアーズのひとつの側面の象徴だったなぁ、と。
世界的評価を得ているものすごい人たちが”どうしてそんなことしちゃうの?”的な自由なことをやる。そしてそれがめっちゃ素晴らしい。これぞベアーズなんだと思います。


そんなコト考えながらココが好きでよかったって強く思ったり。