soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

Saremm / S.C.X

S.C.X『Saremm -サレン-』
ここのところボカロメインで活動してたS.C.Xさんから久々の生歌ボーカルアルバム。


ポップスを基準にデジロック、エレクトロ、ハウスあたりのデジタルサウンド。加えてレゲェ、ラテン、AOR、R&Bといったアナログなサウンドも入っています。
後者の方が比率は高いかな?でも、元がクラブサンド方面の人なんでダンサブルなポップスアルバムな仕上がり感。


特筆すべきはすんなり耳に入ってくるメロディ。アルバムの端から端まで極上メロディで溢れかえっており、グッドメロディの宝庫なアルバムになっています。
様々なジャンルをカバーするアレンジもハイレベル。特にキックとスネアは大味に、ハイハットは細かく刻むリズムがお気に入り。


今作はパッと聴くと同人音楽というより一般のJ-POPみたいに聴こえる所があるんですが、よく聴くと全然そんなことないんですよね。様々なギミックが用意されてて、「あー、同人音楽っぽいな」って曲調/展開も多い。


J-POP的に感じさせるのは楽曲の安定感もあるだろうけど、一番の理由は写真が前面に押し出されてるCDジャケだと思います。
歌い手の写真が前に出ることで同人音楽らしさが薄まるというか、つい「おおう」って一歩引いてしまうところがある。作風から大きくズレてはいないんだろうけど「同人音楽CD」として見ると損しているところもあるのかもしれません。、
ジャケでこんなにCDの印象変わるのかとちょっと驚き。

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②ロッキンなギターが耳に残るデジロック。リズムはヒップホップ。ラップも飛び出してのクールなトラックです。「Fuck me / I've」 meets ヒップホップみたいな?


③走るドラムが気持ちいいハイテンポ・ポップス。リズムの刻み方はドラムンっぽい。ハウス/AORなストリングス&ピアノも心地良い。そしてAメロからサビまでグッドメロディに溢れてます。良曲。


④過去作「Selfish Color」のレゲェ・セルフカバー。まったりした中に切なさがあってむちゃくちゃ好きな曲です。メロディがぐっさりと胸に潜り込んでくる。原曲の時はこんな良いメロだとは気づきませんでしたが……素晴らしいアレンジだ!丹下桜の心の名曲「Thinking of You」のspur mixに似てるのも好きな点だったり。今作で一番のお気に入り!


⑤ラテンハウスナンバー。クールな熱さ。ブラスとパーカスが熱気を持たせ、クールな歌メロはカッコよく決める。3:14からのノリが好き。元ボカロ曲ですがこっちのほうが好み!


⑥ジャンル名を付けるならフィルター2stepポップス。跳ねたリズムに極上メロでたまらない。オートチューンを薄くかけたサビが素晴らしいです。


⑧R&Bな空気もあるアーバンなダンス・ポップ。大人な魅力。


⑨スローテンポのバラードポップ。透きとおったきれいな歌声が胸に響きます。しっかり刻むハイハットが心地良い。これも④と同じく丹下桜の「true love spur mix」を思い出したり。


⑩スピード感のあるデジタルポップ。ブレイクビーツが効いてて、中盤では低音の効いたドラムンパートもあり。ちなみに今作のイントロはこの曲のサビのフレーズを使っており、10曲目にして最初のフレーズが現れるのがカッコイイ。良いメロです。


⑪は②のリミックス。エレクトロ/デジタル色を強くしてパワフルな四つ打ちダンスチューンになってる。迫力のある音使いでビッグビートっぽくもある?


⑫は⑨のリミックス。流行りのエレクトロ寄りテクノポップ。これはこれでまた。メロディがいいのでどんなアレンジでも映えそうです。

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色々なジャンルの音がポップ&キャッチーな方向へと収束した良質ポップス・アルバム。


普遍的なポップスとしては、このレベルを超えれるCDはなかなか無いのではないでしょうか。
ストレート
*1なポップ性が逆に新鮮かも。


BGM代わりに流し聴きも良し、集中して聴くも良しな良作。
わかりやすいサウンドゆえ、最初は「高クオリティだけど面白みが……」と思ってたけど、ちょこっと眠らせてから、ある日通勤中の電車で聴いてると「あれ、やっぱり良いな」と、その質の高さを再確認しました。

*1:ポップスはジャンルごった煮というのも含めのストレート