soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

【ライトノベル】リヴァイアサンのセカイ / チャー

ちょっと趣向を変えてラノベの感想をば。
寝る時間も忘れて一気に読んでしまった一冊です。



体験版が一部で話題になった同人ゲーム・ですろりの作者チャーさんによる単行本。商業誌デビュー作。


ストーリーは:人間を遥かに超える『吸血鬼』と対抗する力を持つ人間『ピースメイカー』との戦い……ってのが大前提で実際にはゴニョゴニョなんですがネタバレになってしまうがゆえこの説明で。
キーワードは「その生き物の名はリヴァイアサン。セカイを支配する絶対的多数の怪物と呼ばれている」。


スタート地点から10歩も進めば用意されてる落とし穴にハマって「あっ」となる展開。数ページ進むと2chノリなキャラのやり取り。5Pも読めば好きになっちゃうキャラ。
「あー、商業誌でもモロにチャーさん節だ」と思わず笑みが。
それは「熱い!これこそチャーさんだ!」と叫びたくなる部分もそのままです


そう熱い!アニメ版カイジのチンチロ編のような熱さ!
ジャンプの漫画に熱中した少年時代へと戻らせてくれます。
雑学、科学、軍事など大量の知識をぶち込んだバトルシーンは楽しい。
例えば、陣地内に侵入者が現れるシーンで敵が持っているのはボンベ。それは突拍子もないようで先を読めば納得できる設定で、他の作品で見たことのない面白さへとつながっている。
さらにシナリオでも鉄球で殴られるような衝撃展開が次々と飛び出してきて「うおっ」となったり、タイトルの意味がわかって「ほぉー」となったりとにかく読ませてくれます。
吸血鬼の絶大な力を持つゆえの悩みもみどころ。


そしてこの作品の特徴として挙げられるのがめちゃくちゃグロい点。顔をしかめてしまう残酷な描写がいくつか。
小説という媒体ゆえか「ですろり」より描写が細かに書かれているのでよりグロい。
まどマギ3話がバイオだとすればこの本はサイレントヒルです。免疫が無い人なら貧血起こしかねないレベル。モザイク無しのグロ映像を見せられた気分。
友成純一とまではいかないとしても「かまいたちの夜」の流れで「殺戮にいたる病」を読んじゃったみたいになる。


精神にダメージを与える欝展開なグロさも待っている。
特大級の爆弾が最後に待ってるもんだから読後感は正直なところ最悪。「なぜこんな酷い話にした!」と怒りをぶちまけたくなるって心理はある意味作者の思い通りなのでしょう。
若干バッド展開が押し付けがましくてこの1巻だけで見ると無くてももいいかな、という展開も多かったりする。ゆえにこれが生きてくる次巻を期待したいところだけど……いまのところは発表はないみたいですね。


熱い!この熱さはトリプルA級です。
面白いラノベがあると言いふらしたいけど、けどグロいし欝なんでめちゃくちゃオススメしにくい。トラウマを残しかねない。扱いに難しい一作です。
自分が言えるのは「このうえなく面白いラノベ!けど趣味合わなくても責任は持てません。」ぐらいでしょうか。


ネットにあるサンプルをまず読んでみるのが良いかも。
リヴァイアサンのセカイ - 小説 - ガンガンONLINE
もしくはですろりの体験版に手を出してみるとか?
刺激的な物語を求めてる人はチャーさんの作品は一度触れてみて損は無いと思いますよ?