soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2011/12/17 『In the Dark』 勝井祐二×山本精一 @ 旧グッゲンハイム邸

会場を完全な暗闇にして演奏する企画『In the Dark』。
想像するだけで面白そうな内容に加え、奏者が主催の勝井祐二さんと山本精一さんのROVO弦楽器ツインということ即行くの決定!
この日は兵庫にある洋館旧グッゲンハイム邸での開催。


明石の海を眺めながら電車に揺られ洋館に着くと客スペースは椅子が並べてあり、演奏者スペースにはアンプ、椅子、ギター&バイオリンに加えエフェクターを隠していると思われるダンボールで作ったカバーが置いてある。
まず見ないセッティングにドキドキが高まります。
おいしいミルクティーを飲みながら開演まで待機。


開演時間になるとイベンターの人のアナウンスで「開演時間になりましたが(出演者が)帰ってきません」。さすが自由人すぎるww「帰ってこない」って表現に笑いました。


5〜10分ほどしてのそのそとお二人がやってきて趣旨を勝井さんから案内、そしてスタート。
照明を消すと正真正銘の真っ暗闇。目を開けてても閉じてても変わらない。目の前に手をかざしても見えない。もちろん時間が経っても目が慣れて見えてくることはない。現代社会じゃここまでの暗闇を経験できる場面はほとんどありません。これだけでも貴重な体験でした。

山本精一

まずは山本さんのエレキギター・ソロ。
まずはクラシックギターにちょいスパニッシュが混ざったような音階でおだやかな旋律を紡いでいく。
5Mほど先で演奏しているのに音がどこからかわからない。これが暗闇での音楽体験か。不思議な感覚です。


しばらくするとエフェクトがかかりファジーな音に変化。音源地が一気に遠くになったような感覚がありました。
しだいに音の装飾が煌びやかになりながら最後までゆったりした雰囲気で終了。


いやー、なんとも言えない体験です。
音の距離感がわからなくなる……というより音が何もないところからポッと出ているみたいな今までにない感覚。うーん、言葉で表現しにくいな。
音に集中する分、音割れが気になって集中力が戻される時があったのが残念。

勝井祐二

お次は勝井さんのエレキバイオリン・ソロ。
ルーパーを多用してバイオリンの音を丁寧に重ねていく。
小刻みに弾いたり、ダイナミックに弾いたり、効果音みたいなのも音が飛び散ったりととてもひとつの楽器で演奏しているとは思えない。スピード感のあるフレーズのリピートがかっこ良かった。


中盤では音が後ろから聴こえてきたりと錯覚した(?)時は驚いた。轟音ライブなどでよくある音圧で身体が音に囲まれる感覚ではなく、音がそのまま「移動」した気がしました。暗闇の中だと音の違いに敏感になります。


ソロを比較するとまずは勝井さんに一点か。
過去に同企画をやっているだけあって慣れてる。
バイオリンだとほとんど音割れしなかったってのも大きいかも。

勝井祐二 × 山本精一

20分ほどの休憩のあとにデュオ。少し長めに演奏。


二人のソロの発展系のような内容でした。デュオになって劇的変化みたいのはなかったかな。音の気持ちよさに酔ってるうちに気付いたら終わってた。
しかし自分は「いまどんな変なことしても気付かれないよなぁ」とか「晩飯どこで食おうかなぁ」とか聴きながら邪念が多すぎだと思いました。




会場の外に出るとなんだかライブ自体が現実のものとは思えなくて空白の2時間がぽっかりとあったような気分になりました。詳細は覚えてなくて、ただ不思議な体験をしたって気持ちだけが残ってる。これって、夢を見た後の感覚だ。


想像していたよりかは「音楽的」な衝撃ってのは小さかったってのが正直なところ。ただ空間、経験、感覚といった「体験」としてすごく面白かった。
旧グッゲンハイム邸という会場の特異さもまた良いスパイスだったと思います。


今日は同イベントが難波ベアーズに場所を移して開催。
ということで今からそっちにも行ってきます〜。真反対とも言える会場でどう印象が変わるか楽しみ。