soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2011/12/18 『In the Dark』 勝井祐二×山本精一 @ 難波ベアーズ

会場を完全な暗闇にして演奏する企画『In the Dark』。昨日と同メンツで会場を旧グッゲンハイム邸から難波ベアーズへ変更しての二日目。


席数は昨夜の1/3ぐらい。椅子のボロボロっぷりが昨夜に比べて段違いに酷いww床も平らじゃないからグラグラする〜。ベアーズって感じがする。
ステージには昨日と同じエフェクター隠しの段ボールが置いてあり、左・勝井/右・山本のセッティング。一点違うのがマイクが用意されている。声も入れてくるのかな?と期待したんですがMCで使うだけで演奏中は使用しませんでした。
あ、あと山本さんが黒のテレキャスじゃなかったってのも違いか。


そしてさすがベアーズ、今回みたいな「演奏中は絶対に入退室できません」と書かれたイベントでも当然のごとく時間に来ない客。45分遅れぐらいでスタート。
昨日と同じく各ソロ→デュオの構成。ベアーズでも完全な暗闇を実現していました。この真っ暗を体験できる時点でこのイベントに来る価値はある。

山本精一

ディレイをふんだんに使って音と音の間隔を大きくとった演奏。流れるようにフレーズを紡いだ昨夜とアプローチがだいぶ違います。


微ブルージーなギターでしっかりと音を組み立ていく。頭に浮かんだのは音の氷山を落としていくイメージ。ナニカが少しづつ崩れていくという印象です。冷たい音はインダストリアルの触感も思わせた。
音に輪郭があって昨夜より気持ちよかったかも。


次の勝井さんソロの合間に軽くMC。山本さん上機嫌。勝井さんも気楽そう。
山本さんが「途中入場は絶対させませんからね、絶対!」と変なところでヒートアップして「内臓が出るまでどつく……」と不穏なセリフをポツリとつぶやいたのには爆笑した。

勝井祐二

いやー、このソロは凄まじかった。


山本さんと同じくスローテンポに進みドローンのような感覚もあった。
前演が徹底して冷たかったのに対して、こちらは力強い、「太陽」を思わせる音でスタートし、途中からエフェクターを駆使して「ブルルン」「キュイーン」とわけのわからん音が飛び交う。真っ暗闇の中、高速で何かが飛び回っている感覚は怖くさえありました。
そしてまた重みのある長いストロークのドローンに戻る。


全体の流れとして「太陽の光」 → 「ブラックホール」 → 「ナニカの誕生」ってな具合で宇宙を感じました。ただ宇宙と言ってもキラキラ星が輝いているのではなく、うっすらとしか光のない本当の宇宙。
ラストがちょいしつこく感じたのが惜しいけど、勝井さんも相当入ってたんじゃないだろうか。「ブラックホール」部分は危ない世界への扉が開きかけました。。
二日間通してこの演目が一番良かった〜。

勝井祐二 × 山本精一

二人の発展型というのは昨夜と一緒だけど今回はどちらも出来が良かったからデュオも気持よく浸れた。
バラバラに始まった2つの音が少しづつシンクロして、途中に短いリズムでのせめぎあいがありつつ、最後は二人でドローンな音を長いこと出しあって終了。
邪念が浮かぶこともほとんどなく、眠いのと音に酔ってるのとでぼーっとした意識がよくわからない方向へと落ちていきました。




このIn the Darkというイベント。目を閉じても開けても見えるのは同じ黒だけと一緒でも感じ方は全然違います。見える見えないってのじゃなく目を開いてるってのが精神に大きく関連してくるのが面白かった。
ベアーズとグッゲンハイム邸の違いも暗闇にしたら一緒ってことはなく、音の伝わり方、イメージする空間が違う。ベアーズのほうが狭くて変なパワーが充満してた気がする。


今までにない体験で面白かったです。
単純な音楽としての気持ちよさ、かっこ良さなら正直ほかのライブでも良いのはあるけど、この「体験」はなかなかできない。ぜひまた関西でやってほしいものです。
物販で買った勝井さんのソロを聴くとよりそう思う。