soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

Super Dull / PING-Music Label

テクノ系ミニアルバム。4曲入り。
Hyper Dullの続編に当たる作品で、とってもだるい感じを目指してがんばらないようにがんばったとか。


ダウナー系のエレクトロニカアンビエント、70'sエレクトロポップ。
一曲目から「いつものPINGサウンドとは明らかに違うぞ」と思わされるドープな作風で驚かされました。
ほとんど生命感を感じさせないクールなサウンド群はダルいというより深い。SUPER FUKAI。


普段の体が自然と動くテクノトラックとは違い、ズルズルと人の精神を鈍らせていくデフ・トラックスです。
でも、音数が少ないPINGサウンドから四つ打ちをマイナスすればこんな作風になるのは必然なのかもしれません。


研ぎ澄まされたストイックなダウナーサウンドは浸れる。
ただ一部の曲がDullすぎるところもあり、CD一枚を通して集中するのは結構難しいかもしれない。

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①リズムは鈴のみ。しんしんと降る雪を思わせる反復チャイムと悲しげなメロディが一気に今作へと導いてくれる。一曲目からPINGにしては異質な空気です。物悲しい旋律に涙する。
しんしんとした雰囲気はNackyさんソロの名盤「Snowland」を思い起こさせれくれます。今作で一番好きなのはコレかな?


②エコーの効いたカットアップが飛び交う中、音数の少ないブレイクビーツが刻まれる。空気作りはうまい。気分によってはかなりハマる。しかし、開始二曲目にしてこれだけ抑揚の無い曲が13分続くのは少し長すぎると思うところも。


③ピコピコしながらダルいクラフトワークを思わせるテクノポップ。一定フレーズを刻み続けるベースにケミカルなシンセで脳みそが蕩けそうになります。2:18の一瞬のタメがカッコ良すぎる。music non stop。


⑤一曲目のpt2に当たる曲。似たループにメロディですが、こちらはしっかりしたリズムがあってダブ系の曲調となっています。グワングワンなってるベースがすごく気持ち良い。


⑦今作の中でも正統派のミニマルテクノ。クリックのように細かいキックが良い意味で耳を刺激して快感。ウネるシンセベースと金物リズムもジワジワとテンションを上げてくれる。音数が厳選されたピアノもイイ味出してます。


⑧Dullすぎる曲その2。奇妙なSEと不気味なシンセ、そして超もっそりしたパーカッション。ダウナードラッグにも睡眠剤にもなる問題曲。


⑨渋〜いエレクトロ・ダブ。ゆったりと進むビートに、しっかりと下から楽曲を支えるベース。コレが浸れて気持ち良いんだ。2:40からのメロディもすごくいい。気持ちのいいダルさという点ではこの曲が一番、かなりお気に入りです。

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下へ下へと誘う室内ダウナー・打ち込みサウンド。


ストイックな音作り/音数により、全体に充満した緊迫感と深さ。今までのPINGとは一味も二味も違います。
過去より良いとかではなくて方向性が全然違う。いつもは徹底した一次元の線状サウンドだけど今作は次元のどこまでも奥があるサウンド。個人的にはどっちもアリ。


ダルさはありますが、不思議と聴きやすさもあってダウナーな音が好きな人にはオススメ。
Disorder Circulationあたりが好きな人も楽しめるかもしれません。